住宅手当を正社員だけに支給するのは危険?同一労働同一賃金の判断基準と見直し方を社労士が解説|一般社団法人クレア人財育英協会
住宅手当は正社員だけに支給するもの――そう考えている会社は要注意です。同一労働同一賃金では、雇用形態ではなく「何の目的で支給しているか」で判断されます。支給目的が「家賃や住宅ローンの補助」なら、パート・有期を一律に対象外にするのは危険です。手当ごとに目的を洗い出し、たとえば「転勤のある社員の住居費補助」と整理し直す方法を、特定社会保険労務士が約2分半で解説します。
この記事の要点
- 住宅手当を正社員だけに支給するのが危険な理由
- 判断の基準は雇用形態ではなく支給目的
- 手当ごとに支給目的を洗い出す方法
- 「転勤の有無」による目的の再整理と注意点
解説動画
チャプター
0:00 質問|住宅手当は正社員だけでいい?
0:19 結論|目的が家賃補助ならパートも対象に
0:38 大切なのは手当の支給目的
1:13 対策|手当ごとに目的を洗い出し整理する
1:45 今日の格言
解説のポイント
住宅手当は、多くの会社で正社員だけを支給対象としてきた手当です。しかし今回のガイドライン改正では、裁判例(ハマキョウレックス事件、長澤運輸事件)を踏まえ、転居を伴う配置変更の有無に応じて支給する住宅手当は、同じ条件のパート・有期雇用労働者にも支給すべきとの考え方が示されました。
判断基準は「正社員かどうか」ではなく「何のための手当か」
就業規則や賃金規程に、住宅手当の目的が「家賃や住宅ローンを負担している従業員の補助」とだけ書かれている場合、パート・有期の方にも家賃や住宅ローンの負担があれば目的は同じです。この場合、「パート・有期だから支給しない」という説明は通りません。
手当ごとに目的を洗い出し、必要なら整理し直す
動画では、各手当について「何の目的で支給しているのか」を洗い出し、必要に応じて目的を整理し直す方法を紹介しています。たとえば住宅手当を「転勤の可能性があり住居費を負担している社員への補助」と位置づけ、転勤があるのが正社員だけであれば、転勤のないパート・有期に支給しないことは正当な差と説明できる可能性が高まります。ただし、目的が同じであれば、パート・有期への支給も検討が必要です。
よくある質問
Q. 住宅手当を正社員だけに支給することは違法ですか?
A. 支給目的しだいです。目的が「家賃や住宅ローンの負担を補助すること」であれば、パート・有期にも同じ負担がある以上、一律に支給しないことは不合理と判断されるおそれがあります。
Q. 正社員だけに住宅手当を支給し続けるには、どうすればよいですか?
A. 手当の支給目的を確認・整理します。たとえば「転居を伴う配置変更(転勤)があり住居費を負担する社員」への補助と位置づけ、転勤があるのが正社員だけであれば、正当な差と説明できる可能性が高まります。
解説者
小野 純(おの・じゅん)|特定社会保険労務士
企業・教育機関等で累計400回以上のハラスメント・労務研修に登壇。「法律をどう現場に落とし込むか」を重視した実践的な講義に定評があり、雇用クリーンプランナー資格の監修・講師を務める。
参考資料
パートタイム・有期雇用労働法施行規則等の改正(令和8年厚生労働省令第87号、厚生労働省告示第201〜203号/令和8年4月28日公布・告示、10月1日施行)、同一労働同一賃金ガイドライン、ハマキョウレックス事件・長澤運輸事件(最高裁平成30年6月1日判決)
報道関係者・企業担当者様向け 個別質問会
日時:2026年11月6日(金)12:00〜18:00(個別対応のため時間は要調整)
形式:電話・オンライン(いずれでも可)
費用:無料
申込:事務局 info@koyo-clean.com までお問い合わせください。
雇用クリーンプランナー 公式サイト