2026.07.23

【社労士解説】安易な「変更なし」が会社の首を絞める。労働条件明示の新ルール「変更の範囲」に潜む経営リスクと正しい雇用契約書の書き方|一般社団法人クレア人財育英協会

一般社団法人クレア人財育英協会は、労働条件明示のルール変更に伴い、多くの企業が雇用契約書や労働条件通知書の作成時に陥っている重大な法的リスクと、その具体的な回避策を解説する最新動画を公開いたしました。「うちは基本的に転勤がないから」という親切心や思い込みで、書面に「変更なし」と明記してしまうことが、将来の店舗閉鎖や事業統合の際にどのような致命傷になるのかについて、当協会の特定社会保険労務士・小野純が徹底解説します。

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1. 労働条件明示の新ルール「変更の範囲」義務化の背景

近年の労働基準法施行規則の改正により、従業員を雇い入れる際、または契約を更新する際に交付する書面(労働条件通知書や雇用契約書)において、就業場所と従事すべき業務の「変更の範囲」を明示することが義務付けられました。これは、入社時点の条件だけでなく、その後の会社生活において「将来的にどこまで異動や職種変更の可能性があるのか」を明確に労働者へ伝えるよう国が定めたルールです。

2. 安易に「勤務地変更なし」と書くことの重大な経営リスク

「うちは基本的に転勤がないから大丈夫」と深く考えずに【勤務地:変更なし】と記載してしまうことは、会社が自ら人事権(配置転換命令権)を放棄することを意味します。これにより、将来的に会社に予期せぬ状況変化が起きた際、以下のような重大なトラブルに直面します。

  • 店舗閉鎖・拠点縮小に伴う異動が命令不可に:特定の店舗を閉鎖することになり、近隣の他店舗へ移ってもらいたい場合でも、契約書に「変更なし」とある以上、“従業員本人の同意”がなければ異動を命じることができません。
  • 本社機能の統合やオフィスの移転が不可に:業務効率化のために複数の事務所を統合したり、本社を移転したりする際にも、従業員が「契約通りこの場所から動きません」と主張した場合、それを拒否することができなくなります。
  • 業務命令違反による処分の無効化:会社側が「業務上の必要性がある」として無理に異動を命じた場合、労働契約違反として命令そのものが法的に無効と判断され、従わないことを理由とした懲戒処分や解雇もすべて違法(無効)となります。

3. 企業の経営権を守るための「正しい書式記載例」

会社が自分で自分の首を絞めないためには、現在の条件である「雇入れ直後」と、将来の可能性を示す「変更の範囲」を明確に分けて記載することが実務上極めて重要です。

【勤務地(就業場所)の正しい記載モデル】

  • ■ 危険なNG記載例(会社の権利を失くす書き方)
    就業場所:本社(変更なし)
  • ■ 安全なOK記載例(将来の可能性を考慮した書き方)
    就業場所(雇入れ直後):本社
    就業場所(変更の範囲):会社の定める事業所(または、本社の他全支店、業務上の必要により変更する場合がある)

4. 労働条件の明示に関するよくある疑問と回答

企業の人事労務担当者様から多く寄せられる、契約書面の作成に関する重要ポイントをQ&A形式で整理しました。

Q. 変更の範囲を「会社の定める事業所」と広く書くと、従業員から「転勤があるブラック企業だ」と警戒されませんか?

A. 口頭で「基本的にはありませんが、万が一の店舗閉鎖などのために法律上記載しています」と丁寧に説明すれば問題ありません。
事実として転勤がほぼない企業であっても、書面はあくまで「最悪の事態(法的なリスク)」を想定して作成すべきです。警戒を恐れて書面の権利を削ってしまうことの方が、企業にとっては遥かに大きなリスクとなります。

Q. 勤務地だけでなく、「職務内容(業務内容)」についても同様の配慮が必要ですか?

A. はい、全く同様の配慮が必要です。
業務内容の変更の範囲を「なし」としてしまうと、将来的に「営業職から内勤の事務職へ移ってもらいたい」「技術職から管理職へ昇進させたい」といった配置転換も本人の同意なしには命令できなくなります。必ず【変更の範囲:会社の定める業務】等と記載しておく必要があります。

5. 報道関係者・メディア様向け個別取材・質問会のご案内

一般社団法人クレア人財育英協会では、法改正に伴う労働条件通知書の作成実務をはじめ、最新の労務コンプライアンスやハラスメント防止対策に関するメディア関係者様からの取材・企画協力を随時承っております。

  • 内容:報道関係者・メディア・企業向け(個別取材・情報提供・コメント寄稿・書式テンプレートの提示)
  • 日時:随時対応(オンライン対応・電話取材可。貴社のスケジュールに合わせ柔軟に調整いたします)
  • 費用:無料
  • 備考:専門家(特定社労士)としての客観的なデータ提供や、中小企業が陥りがちな雇用契約書の文言ミスに関する具体事例解説が可能です。

6. 一般社団法人クレア人財育英協会の視点(当協会の役割)

法改正への表面的な対応として、ただ項目が増えたからといって「変更なし」と埋めてしまうことは、企業が自ら成長や変化の可能性を閉ざす危険な行為です。これからの時代に求められるのは、法を順守しつつも、企業の経営権や人事権をしっかりと守る「防衛型の書式設計」です。当協会が育成する『雇用クリーンプランナー』は、こうした最新の法改正情報に基づき、現場の実務書面(雇用契約書や通知書)の文言に不備やリスクがないかを的確にチェック・修正できる専門人材です。有資格者を組織に配置することで、形式的な法令順守(コンプライアンス)にとどまらない、将来の経営リスクを先回りで回避する強固な労務基盤を構築することができます。


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