2026.08.05
【社労士解説】「うちは小さい会社だから」の油断が経営崩壊を招く。健康診断未実施による50万円の罰金と、恐ろしい“安全配慮義務違反”の全貌|一般社団法人クレア人財育英協会
一般社団法人クレア人財育英協会は、小規模企業の経営者や人事担当者が陥りがちな「健康診断に対する甘い認識」が招く深刻な法的ペナルティと、多額の損害賠償リスクを解説する最新動画を公開いたしました。「健康診断は余裕のある会社がやる任意の福利厚生だ」「希望する人だけ受けさせれば問題ない」といった大きな誤解が、いかにして企業の存続を脅かすのかについて、当協会の特定社会保険労務士・小野純が徹底解説します。
1. 健康診断は「任意の福利厚生」ではなく「絶対の義務」
社員数名程度の小さな会社では、「うちは規模が小さいから全員に健康診断を受けさせる余裕はない」「希望者だけ勝手に行ってもらっている」というケースが散見されます。しかし、従業員に対する年1回の定期健康診断の実施は、会社の「努力義務」や「福利厚生の一環」ではありません。労働安全衛生法第66条等で明確に定められた、規模を問わずすべての企業が守るべき「絶対の義務」です。
2. 怠ると「50万円以下の罰金」。パート対象者の落とし穴と記録義務
健康診断の実施において、企業が陥りやすい法律違反の落とし穴は以下の通りです。これらを怠った場合、労働安全衛生法違反として会社に対して【50万円以下の罰金】が科される可能性があります。
- ① パートタイマーへの実施漏れ:正社員だけでなく、「1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上」等、一定の要件を満たすパートタイマーや有期雇用労働者に対しても、正社員と同様に健康診断を実施しなければなりません。
- ② 結果の記録・保存義務違反:「病院に行かせて終わり」ではありません。実施した健康診断の個人別結果(健康診断個人票)を作成し、5年間保存する義務があります。
- ③ 医師からの意見聴取・就業措置の怠慢:診断結果に異常の所見があった場合、会社は医師から意見を聴取し、必要に応じて「労働時間の短縮」や「作業の転換」などの適切な就業上の措置を講じなければなりません。
3. 罰金以上に恐ろしい「安全配慮義務違反(損害賠償)」のリスク
労働安全衛生法違反による「50万円の罰金」も痛手ですが、本当の恐怖は別にあります。万が一、健康診断を長期間受けさせていなかった従業員や、異常の所見を放置されていた従業員が、業務中に病気や過労で倒れてしまった場合、会社は民法上の「安全配慮義務違反」に問われます。これにより、従業員やその遺族から数千万円、場合によっては億単位の損害賠償請求を受け、企業そのものが倒産に追い込まれる「経営崩壊」のリスクに直結します。
4. 健康診断の実施義務に関するよくある疑問と回答
企業の人事担当者様から多く寄せられる、健康診断の実務に関する重要ポイントをQ&A形式で整理しました。
Q. 従業員本人が「面倒くさい」「病気が見つかるのが怖い」と言って、受診を拒否した場合はどうすればいいですか?
A. 従業員にも「受診義務」があります。会社は業務命令として強く受診を指導しなければなりません。
労働安全衛生法では、会社に実施義務があるのと同時に、労働者にも「受診義務」が定められています。「本人が行きたがらないから」と放置すれば会社の責任になります。業務命令として受診を指示し、再三の指導にもかかわらず従わない場合は、就業規則に基づき懲戒処分を検討するなどの毅然とした対応と、その指導記録を残しておくことが重要です。
Q. 健康診断の費用は、会社と従業員のどちらが負担すべきですか?また、受診している時間の給与は発生しますか?
A. 費用は「会社負担」が原則です。受診時間の給与支払いについては労使間の協議によります。
法的な義務である定期健康診断の費用は、当然に会社が負担すべきものとされています。一方で、受診している時間に対する給与(賃金)の支払いについては法律上の明確な義務はありませんが、労働者の健康確保は円滑な業務遂行に不可欠であるため、受診時間中の賃金も会社が支払うことが望ましいと行政通達で示されています。
5. 報道関係者・メディア様向け個別取材・質問会のご案内
一般社団法人クレア人財育英協会では、健康診断やメンタルヘルス対策をはじめ、中小企業が直面する労務コンプライアンスに関するメディア関係者様からの取材・企画協力を随時承っております。
- ・内容:報道関係者・メディア・企業向け(個別取材・情報提供・コメント寄稿・安全配慮義務違反の判例解説)
- ・日時:随時対応(オンライン対応・電話取材可。貴社のスケジュールに合わせ柔軟に調整いたします)
- ・費用:無料
- ・備考:専門家(特定社労士)としての客観的なデータ提供や、健康診断結果を受けた事後措置(就業制限など)の実務解説が可能です。
6. 一般社団法人クレア人財育英協会の視点(当協会の役割)
「健康診断の未実施」は、目に見えるトラブルがすぐに起きないため、つい後回しにされがちです。しかし、いざ従業員が倒れたときに会社を襲う「安全配慮義務違反」というペナルティは、企業の存続を根底から覆す破壊力を持っています。当協会が育成する『雇用クリーンプランナー』は、こうした「目に見えない労務リスク」を事前に察知し、経営者に適切な警鐘を鳴らすことができる専門人材です。有資格者が中心となって、健康診断の実施から結果の保存、医師の意見聴取といった一連のサイクルの実施状況を点検・アドバイスすることで、企業は50万円の罰金のみならず、数千万円規模の賠償リスクから完全に身を守ることができます。
