2026.07.16

【社労士解説】結論、何をすべきか?令和8年「同一労働同一賃金」改正対応で企業が最初にやるべき「3つの手順」|一般社団法人クレア人財育英協会

一般社団法人クレア人財育英協会は、令和8年10月1日施行の「同一労働同一賃金ガイドライン改正」を前に、「やるべきことが多すぎて何から手をつけていいか分からない」とパニックに陥る企業の経営層・人事労務担当者向けに、実務の全体像と最短手順を解説する最新動画を公開いたしました。今回の改正(令和8年厚生労働省令第87号、厚生労働省告示第201~203号)は、退職金や説明用資料の作成義務など非常に厄介で多岐にわたります。当協会の特定社会保険労務士・小野純が、「いきなり待遇を同じにする」という誤った対応を防ぎ、職務内容の整理から待遇改善に至る最短のロードマップを徹底解説します。

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1. 陥りやすい罠:「いきなり待遇を変える」は間違い

同一労働同一賃金への対応が迫られると、多くの企業が「とにかくパートや有期雇用の時給や手当を正社員と同じにしなければならない」と焦ってしまいます。しかし、雇用形態が異なる従業員の待遇を何でもかんでも同じにするのは不自然であり、経営的にも無理があります。法が求めているのは「すべての待遇を同じにすること」ではなく、「不合理な差をなくすこと」です。まずは「なぜ待遇に差があるのか(合理的な理由)」を証明する準備から始めなければなりません。

2. 結論!企業が真っ先に着手すべき「3つの手順」

複雑に見えるガイドライン改正対応も、以下の順番で進めることで、迷わず確実に対応を進めることができます。

  • ① 職務内容と責任度合いの整理(「それなりの差」の明確化):
    正社員と非正規社員の間で、業務の範囲、トラブル時の責任の重さ、転勤や異動の有無などを洗い出します。「これだけの責任や負担の違いがあるから、待遇に差がある」というベース(客観的なエビデンス)を作ります。
  • ② 手当等の支給目的の明文化と待遇の検証:
    基本給、賞与、退職手当、家族手当など、すべての待遇項目について「何のために支給しているのか(支給目的)」を整理します。その目的が非正規社員にも該当するかどうかを検証します。
  • ③ 待遇差の改善(是正):
    検証の結果、「均衡のとれた内容(金額)」が支給されていないと判断された項目について、はじめて規定の改定や時給への上乗せといった具体的な改善措置を実施します。この3段階を経て、ようやく「従業員に堂々と説明できるレベル」に到達します。

3. 企業が犯しがちな是正時の「4つの絶対留意事項」

手順③の「待遇差の改善」を行うにあたり、厚生労働省のリーフレット等で強く警鐘を鳴らされている留意事項です。

  • 正社員の待遇引き下げによる格差解消の禁止:格差をなくすために正社員の基本給や各種手当をパート・有期の水準まで引き下げる手法は不適切であり、原則として非正規労働者側の処遇改善(底上げ)を図るべきとされています。
  • 定年再雇用者への安易な免責の否定:「定年後の嘱託再雇用だから待遇が低くても直ちに不合理ではない」とは認められません。定年後であっても業務内容や責任の度合いが変わらない場合は、不合理と判定されるリスクがあります。
  • いわゆる「正社員人材確保論」の偏重禁止:「優秀な正社員を確保・定着させるための手当だから非正規には出さない」という会社側の主観的な目的だけで、待遇差が直ちに合理的であると当然に認められるわけではありません。
  • 無期雇用フルタイム労働者への趣旨考慮:パート・有期雇用労働法の直接の対象外である「無期フルタイムの非正規社員」であっても、均衡の考慮にあたっては本ガイドラインの趣旨を考慮した適切な制度設計が望ましいとされています。

4. 会社が今すぐ実行すべき「同一同一対応」4ステップ・17の手順(完全版)

上記「3つの手順」をさらに実務レベルに落とし込んだ、現場の人事労務担当者が実践すべき具体的なロードマップです。

【STEP 1】現状把握・分析フェーズ(早期着手推奨)

  • 職務内容の棚卸:正社員・パート・契約社員の職務内容・責任・配置範囲を一覧化(ジョブマッピング)
  • 賃金体系の整理:基本給・手当・賞与・退職金などの支給基準を明文化
  • 福利厚生・教育訓練の整理:利用・受講対象を雇用形態別に確認
  • 不合理な待遇差の洗い出し:同一職務で支給・利用に差がある項目を抽出
  • 労使間の情報共有:労働者代表・労働組合との意見交換を実施

【STEP 2】待遇差の見直し・是正フェーズ(2026年夏までに完了目標)

  • 不合理な差の是正:通勤手当・食堂利用・教育訓練など、職務に関係しない差を解消
  • 賃金・手当の基準見直し:職務・能力・成果に応じた支給基準を設定
  • 賞与・退職金の支給方針検討:同一職務内容の非正規社員にも支給を検討
  • 教育訓練・福利厚生の共通化:職務遂行に必要な訓練・施設利用を全員に提供
  • 労使協定・就業規則の改定:改正法・指針に沿った内容に更新

【STEP 3】説明義務・文書整備フェーズ(施行直前までに完了目標)

  • 待遇差の説明書面作成:採用・契約更新時に交付する「待遇差説明書」を作成
  • 説明体制の整備:管理職・人事担当者への説明研修を実施
  • 労働者からの説明要求対応:要求時に即応できる文書・根拠資料(ハンドブック等)を準備
  • 記録・保存体制:説明書面・比較資料を保存(行政対応に備える)

【STEP 4】運用・フォローアップフェーズ(施行後)

  • 定期的な待遇差点検:年1回程度、職務・待遇の差を再確認
  • 労働者意見の収集:不満・要望をヒアリングし改善に反映
  • 行政指導・報告対応:労働局からの報告徴収・指導に備えた体制整備

5. 同一労働同一賃金ガイドラインに関するよくある疑問と回答

企業の人事労務担当者様から多く寄せられる、実務の進め方に関する重要ポイントをQ&A形式で整理しました。

Q. パート社員から「正社員と同じ時給にしてほしい」と求められた場合、どう対応すべきですか?

A. 職務内容と責任の度合いが完全に一致していない限り、同じにする必要はありません。
事前に「手順①:職務内容の整理」を行っておくことで、「正社員には異動や転勤があり、トラブル発生時の責任の重さが異なるため、時給ベースで〇円の差をつけている」と客観的な資料を用いて明確に説明(反証)することが可能になります。

Q. 退職金や各種手当の「支給目的」は、どこに明記しておくべきですか?

A. 企業の公式ルールである「就業規則」または「賃金規程」に必ず明文化してください。
「なんとなく長年の慣習で払っていた」という状態が最も危険です。各手当の支給目的を規程に明記し、労働者からの説明要求があった際に提示する「説明用ハンドブック」等にもその目的を記載しておくことで、初めて適法な説明資料として認められます。

6. 報道関係者・メディア様向け個別取材・質問会のご案内

一般社団法人クレア人財育英協会では、令和8年10月施行の同一労働同一賃金ガイドライン改正対応をはじめ、最新の労働法改正やハラスメント防止対策に関するメディア関係者様からの取材・企画協力を随時承っております。

  • 内容:報道関係者・メディア・企業向け(個別取材・情報提供・コメント寄稿・ジョブマッピングの実務手法提示)
  • 日時:随時対応(オンライン対応・電話取材可。貴社のスケジュールに合わせ柔軟に調整いたします)
  • 費用:無料
  • 備考:専門家(特定社労士)としての客観的なデータ提供や、企業が最初につまずきやすい制度見直しの具体事例解説が可能です。

7. 一般社団法人クレア人財育英協会の視点(当協会の役割)

ガイドライン改正への対応で最も危険なのは、全体像を把握しないまま、その場しのぎで待遇だけをいじってしまうことです。「なぜ差があるのか」を論理的に整理・言語化するプロセスを経なければ、結局は従業員に説明できず、労使トラブルへと発展してしまいます。この「職務の整理」から「規程の改定」「説明体制の構築」までを一貫して社内でリードできる存在が、当協会が育成する『雇用クリーンプランナー』です。最新の労働法の知見と、ハラスメントを生まないコミュニケーション能力を兼ね備えた有資格者を配置することで、企業は迷うことなく最短ルートでクリーンな制度構築を実現することができます。


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