2026.07.22

【社労士解説】「個人の自由」では済まされない。社員のSNS炎上トラブルで会社が「懲戒処分」を下すための法的要件とガイドライン整備の鉄則|一般社団法人クレア人財育英協会

一般社団法人クレア人財育英協会は、従業員による不適切なSNS投稿(炎上トラブル・情報漏洩)に悩む企業の経営層・人事労務担当者向けに、SNSトラブルに対する懲戒処分の妥当性と、企業防衛のためのルール作りを解説する最新動画を公開いたしました。「SNSは個人の自由だから会社は口出しできない」という誤解と、たった一度の投稿で企業の信用が失墜する重大なレピュテーションリスク(風評被害)に対し、当協会の特定社会保険労務士・小野純が、トラブル発生前に企業が急務で整備すべき「SNSガイドライン」の鉄則を徹底解説します。

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1. 「個人の自由」が制限される法的根拠:会社員の2つの義務

SNS(X、Instagram、TikTokなど)は個人の自由な発信の場であり、原則として私生活における表現の自由は保障されています。しかし、企業と雇用契約を結んでいる会社員である以上、従業員には以下の法的な義務が課せられており、これらに違反する発信は「個人の自由」として保護されません。

  • 守秘義務(秘密保持義務):業務上知り得た顧客の個人情報、新製品の情報、社内の人事情報などの機密を外部に漏らしてはならない義務。
  • 信用保持義務:会社の社会的信用やブランドイメージを傷つけたり、名誉を毀損したりするような行為を行わない義務。

2. 懲戒処分の対象となる「3つの危険なSNS投稿」

上記の義務に照らし合わせ、具体的に以下のような内容をSNSに投稿した場合、会社の信用を著しく傷つける行為として懲戒処分の対象となる可能性が高くなります。

  • 機密情報・プライバシーの暴露:「今日来店した〇〇という客、最悪だった」「社内の〇〇さんが不倫しているらしい」など、顧客情報や社内の内部事情、他者のプライバシーを無断で公開する行為。
  • 取引先や自社への誹謗中傷:「うちの会社はブラック企業だ」「〇〇社との取引はもう切りたい」など、客観的根拠のない悪口や業務妨害に該当する内容を発信する行為。
  • 制服着用時・職場内での不適切行動(バイトテロ):会社の制服を着たまま悪ふざけをする動画や、職場の機材を不適切に扱う様子を撮影して投稿する行為(身元と所属企業が即座に特定されるため、甚大な被害をもたらします)。

3. 炎上しても「即処分」は危険!会社が整備すべきSNSガイドライン

社員の投稿が炎上した際、会社が怒りに任せて「即刻クビだ(懲戒解雇)」と処分を下すことは非常に危険です。労働契約法上、懲戒処分を行うには「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が求められます。つまり、会社があらかじめルールを定めていなければ、処分自体が無効(不当解雇)として訴えられるリスクがあります。企業はトラブルが起きる前に、以下の対策を講じる必要があります。

  • ステップ1(SNSガイドラインの策定):就業規則とは別に、より具体的で分かりやすい「ソーシャルメディア利用ガイドライン(SNSガイドライン)」を策定します。何を投稿してはいけないのか、会社名や制服を出す際のリスクは何かを明文化します。
  • ステップ2(就業規則との紐付け):就業規則の懲戒事由に、「SNS等において会社の信用を毀損する発信を行った場合」や「SNSガイドラインに違反した場合」という項目を明確に追加します。
  • ステップ3(全従業員への教育):「SNSは社外にも聞こえてしまう独り言である」という意識を持たせ、投稿前に「上司や顧客が見ても大丈夫か?」と立ち止まるリテラシー教育(研修)を定期的に実施します。

4. SNSトラブルに関するよくある疑問と回答

人事担当者様から多く寄せられる、SNSの労務管理に関する重要ポイントをQ&A形式で整理しました。

Q. 個人の趣味のアカウントで、匿名で投稿している場合でも処分できますか?

A. 匿名であっても、投稿内容から「自社」が特定され、実害が生じた場合は処分の対象になり得ます。
インターネット上では、過去の投稿の断片(風景、通勤経路、制服の一部など)から個人と所属企業が特定される「モザイクアプローチ」が容易に行われます。匿名だからといって信用保持義務や守秘義務を免れるわけではありません。

Q. 会社の文句ではなく、単に個人の趣味や政治的意見を投稿して炎上した場合はどうなりますか?

A. 個人の純粋な意見や趣味の範囲であれば、原則として懲戒処分の対象にはなりません。
会社は従業員の私生活のすべてを管理できるわけではありません。ただし、その投稿によって「〇〇社の社員がこんな発言をしている」と会社に多数のクレームが寄せられるなど、客観的に企業の業務運営に重大な支障をきたしたと認められる特段の事情がある場合は、注意指導や処分の対象となるケースもあります。

5. 報道関係者・メディア様向け個別取材・質問会のご案内

一般社団法人クレア人財育英協会では、SNS炎上などのネットトラブル対応をはじめ、最新の労働法・コンプライアンス対策に関するメディア関係者様からの取材・企画協力を随時承っております。

  • 内容:報道関係者・メディア・企業向け(個別取材・情報提供・コメント寄稿)
  • 日時:随時対応(オンライン対応・電話取材可。貴社のスケジュールに合わせ柔軟に調整いたします)
  • 費用:無料
  • 備考:専門家(特定社労士)としての客観的なデータ提供や、企業が導入すべきSNSガイドラインの具体例の解説が可能です。

6. 一般社団法人クレア人財育英協会の視点(当協会の役割)

SNSは「社外にも聞こえてしまう独り言」です。たった一度の軽率な投稿が、企業が長年築き上げてきた信用を一日で破壊してしまう時代において、企業は「起きてからどうするか」ではなく「起きないためにどうルール化し、教育するか」に注力しなければなりません。当協会が育成する『雇用クリーンプランナー』は、こうした現代特有のコンプライアンス・リスクを的確に把握し、企業防衛のためのガイドライン整備と従業員教育を推進する専門人材です。有資格者を組織に配置することで、情報漏洩や炎上トラブルを未然に防ぎ、すべての従業員が正しいリテラシーを持って働ける安全な組織運営をサポートします。


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