2026.07.09
【社労士解説】令和8年10月施行「パワハラ防止指針」改正。自爆営業(商品の買い取り強要)とSOGIハラスメントが明確なパワハラ認定へ|一般社団法人クレア人財育英協会
一般社団法人クレア人財育英協会は、令和8年10月1日に施行される「パワーハラスメント防止指針」の改正に伴い、企業が直面する新たなコンプライアンス要件と実務対応を解説する最新動画を公開いたしました。「営業ノルマ未達の補填」としての自社商品の買い取り強要や、従業員の性的指向・性自認(SOGI)に関する不用意な言動が、明確にパワーハラスメントとして認定される時代を迎えます。当協会の特定社会保険労務士・小野純が、トラブルを防ぐための規程改定から現場教育までの必須ステップを徹底解説します。
1. 令和8年10月、パワハラ防止指針改正の背景
厚生労働省の調査によると、過去3年間にハラスメント相談があった企業は64.2%に上り、そのうち73.0%が実際にハラスメントと認定されています。多様化する職場トラブルに対応するため、職場におけるパワーハラスメントの3要素(①優越的な関係を背景とした言動、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの、③労働者の就業環境が害されるもの)を満たす「具体的な例示」が、今回のガイドライン改正によって新たに追加されました。
2. 改正点①:自社商品の買い取り強要(いわゆる自爆営業)の明示
小売業や保険業界などで長年問題視されてきた、従業員に対する商品の買い取り強要がパワハラの類型に明示されました。
- ・「ノルマ達成のために自分で買え」は完全アウト:事業主や上司が労働者に対し、自由な意思に反して自社の商品やサービスの購入を強制する言動は、「業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動」としてパワハラに該当します。
- ・暗黙の強要も対象:直接「買え」と言わなくても、「成績が悪いからどうすべきか分かっているな」と購入を余儀なくさせるような言動もハラスメントと認定されるリスクがあります。
3. 改正点②:SOGI(性的指向・性自認)に関するハラスメント
ジェンダーアイデンティティの尊重に関する意識が高まる中、SOGI(Sexual Orientation and Gender Identity)に関わるプライバシーの侵害がパワハラの例示に追加されました。
- ・開示(カミングアウト)の強要:本人が望んでいないにもかかわらず、性的指向や性自認に関する情報を職場や同僚に明かすよう執拗に迫る行為。
- ・開示の禁止(隠蔽の強要):「職場の空気が悪くなるから隠しておけ」「その服装(性自認に合わせた服装)はやめろ」など、本人のアイデンティティを否定し、隠すことを強いる行為。
4. 企業が今すぐ実行すべき「4つの実務対応ステップ」
令和8年10月の施行に向け、企業はただちに社内のルールと教育体制をアップデートする必要があります。
- ステップ1(ハラスメント規程の改定):就業規則やハラスメント防止規程の「禁止事項」に、自社商品の買い取り強要とSOGIに関するプライバシー侵害を明記します。
- ステップ2(職場への周知と教育):管理職および一般社員向けのハラスメント研修プログラムを更新し、改正内容を全社員へ共有して正しい知識を浸透させます。
- ステップ3(相談窓口の担当者教育):社内外の相談窓口担当者に対し、新しいハラスメント類型が持ち込まれた際の適切なヒアリング手法と対応マニュアルを教育します。
- ステップ4(運用のPDCAサイクル):定期的な社内アンケート等を実施し、潜在的な自爆営業やSOGIハラが発生していないかをモニタリングし、職場環境の改善を図ります。
5. 今回の改正に関するよくある疑問と回答
人事担当者様やマネージャー層から多く寄せられる、法改正に関する重要ポイントをQ&A形式で整理しました。
Q. 従業員が「自発的に」自社商品を購入してノルマを達成している場合も違法になりますか?
A. 本当に自由な意思に基づいているのであれば違法ではありませんが、実態が問われます。
表向きは自発的でも、未達成時の激しい叱責や降格のプレッシャーなど、優越的な関係を背景に「買わざるを得ない状況」に追い込んでいた場合は、実質的な強要(パワハラ)とみなされ、厳しい処分の対象となります。
Q. 良かれと思って同僚の性的指向を別の人に相談・共有する行為(アウティング)も処罰の対象ですか?
A. はい、本人の許可のないアウティング(第三者への暴露)は重大なハラスメントに該当します。
SOGIに関する情報は極めてセンシティブな個人情報です。「よかれと思って」「相談に乗るため」という主観的な理由は通用しません。本人の同意なく他者に漏らすことは、今回の改正指針だけでなく、プライバシーの侵害として不法行為責任を問われるリスクがあります。
6. 報道関係者・メディア様向け個別取材・質問会のご案内
一般社団法人クレア人財育英協会では、令和8年10月施行のパワハラ防止指針改正をはじめ、最新のハラスメント対策やコンプライアンスに関するメディア関係者様からの取材・企画協力を随時承っております。
- ・内容:報道関係者・メディア・企業向け(個別取材・情報提供・コメント寄稿・規程改定のひな形提示)
- ・日時:随時対応(オンライン対応・電話取材可。貴社のスケジュールに合わせ柔軟に調整いたします)
- ・費用:無料
- ・備考:専門家(特定社労士)としての客観的なデータ提供や、実際に企業が導入すべき最新のハラスメント研修事例の解説が可能です。
7. 一般社団法人クレア人財育英協会の視点(当協会の役割)
ハラスメントの定義は時代とともにアップデートされています。かつては「営業の熱意」「ただのからかい」で済まされていた行為が、現在では明確に企業を倒産に追い込むコンプライアンス違反へと変わりました。自爆営業やSOGIハラスメントを放置することは、組織の心理的安全性を破壊し、企業存続の危機を招きます。当協会が育成する『雇用クリーンプランナー』は、こうした最新の法改正情報をいち早くキャッチし、就業規則への落とし込みから現場への教育までを一貫して推進できる専門人材です。有資格者を組織に配置することで、法改正に後れを取ることなく、多様な人材が能力を最大限に発揮できる真のクリーンな職場環境を構築することができます。
