2026.05.31

阿蘇市議のハラスメント活動継続から学ぶ、「法的拘束力なき勧告」の限界と組織防衛|一般社団法人クレア人財育英協会

この記事の結論:ハラスメント加害者が「一部の支持や功績」を盾に居座る問題は、民間企業でも頻発しています。法的拘束力や就業規則の不備を突かせないよう、組織として毅然とした「排除基準」をあらかじめ設計しておくことが不可欠です。

  • 阿蘇市職員へのハラスメントで辞職勧告を受けた市議が、議員活動の継続を表明
  • 調査特別委員会が「人事異動を巡る圧力」を明確なハラスメントと認定
  • 居座る加害者への対応策を講じるためのKCP(雇用クリーンプランナー)の視点

辞職勧告決議を受けた阿蘇市議が「任期全う」の意向を表明

熊本県阿蘇市の職員に対してハラスメント行為を行ったとして、市議会から辞職勧告決議を受けた菊池勝秀市議は、2026年5月29日、「議員を続けてほしいとの声が多く、任期まで職務を継続する」として、議員活動を続ける意向を示しました。

市議会の調査特別委員会(百条委員会等)は、同市議が人事異動を巡って圧力をかけたことを調査の上、ハラスメント行為と認定。これを受け、市議会は3月18日に辞職勧告決議案を賛成多数で可決していました。

しかし、辞職勧告決議には法的拘束力がないため、最終的な進退は本人の判断に委ねられており、同市議は来年2月の任期満了まで議員にとどまる姿勢を選択した形です。

処分の背景と問題の核心:人事権への不当介入という「悪質なハラスメント」

本件で認定されたハラスメントの内容は、「人事異動を巡る圧力」です。これは組織運営の根幹を揺るがす極めて深刻な優越的地位の濫用(パワーハラスメント)です。

議員と市職員、あるいは企業の役員・有力株主と人事担当者といった関係性では、職務上の直接の指揮命令系統になくとも、事実上の強大な権力勾配(パワーバランス)が働きます。その立場を利用して人事に介入し、自己の思い通りに動かそうとする行為は、働く者の心理的安全性を完全に破壊します。

にもかかわらず、加害者側が「続けてほしいとの声が多い(有権者の支持がある)」「組織のため、住民のため」と言い換えて職務を継続する姿勢は、ハラスメントを人権侵害と捉えず、**「政治的・業務上の損得勘定」で相殺しようとする認識の歪み**を表しています。

民間企業への警鐘:「功績」や「ルールの隙間」を盾にする居座りリスク

「ハラスメントと認定され、周囲から退陣を求められているのに、本人が辞めない」という構図は、決して地方議会だけの話ではありません。民間企業でも以下のようなケースで全く同じ問題が起きています。

・莫大な売上を叩き出すエース営業マンが、部下へのパワハラで告発されたが反省しない

・創業者一族の役員がセクハラを起こしたが、就業規則に役員の解任規定がなく処分できない

組織が「辞職勧告(退職勧奨)」という生ぬるい対応しかできない、あるいは就業規則に法的強制力を持たせた懲戒規定を定めていない場合、加害者は「ルールの隙間」や「一部の顧客・身内の支持」を盾に組織に居座り続けます。その結果、被害者はさらなる精神的苦痛(二次被害)を受け、組織の自浄能力は完全に失われます。

雇用クリーンプランナー(KCP)の視点:隙を与えない組織防衛3つの鉄則

法的拘束力のない「勧告」で幕引きを測ろうとせず、ハラスメント加害者を確実に処分・排除するために、人事・経営層が直ちに整備すべきガバナンスは以下の3つです。

  1. 「役員・外部関係者」まで対象にしたハラスメント規定の厳格化:
    一般社員向けの就業規則だけでなく、役員規程や顧問・外部委託先との契約書においてもハラスメント禁止条項を明記し、違反時は「解任」や「契約解除」ができる法的強制力を持たせます。
  2. 「人事権の独立」と介入に対する完全な防御壁の構築:
    特定の役員や外部の有力者による人事への不当な介入や圧力を「ハラスメント行為」として明確に定義し、介入があった事実を速やかにコンプライアンス委員会等にエスカレーションするルートを義務付けます。
  3. 売上や功績をハラスメントの「免罪符」にしない一貫した姿勢:
    どれほど優秀な人材や、一部の顧客から支持されている人物であっても、組織の秩序と個人の尊厳を害した場合は一転の妥協もなく厳正な懲戒処分(出勤停止、降格、諭旨解雇など)を下す実績を積み重ね、組織のメッセージを周知します。

結語:毅然とした「線引き」ができない組織は、被害者を二度傷つける

阿蘇市の事例が示す通り、加害者個人の良識やモラルに期待した「勧告」だけでは、組織のクリーンさは守れません。法的拘束力のない生ぬるいポーズは、加害者に居座る猶予を与え、現場の職員に「会社は守ってくれない」という絶望植え付ける結果になります。

ハラスメント対策において重要なのは、身内に甘くならない**「実効性のある強制力(ルール)」**です。越えてはならない絶対的な線を明確にし、違反者を厳格に排除する仕組みを持つことこそが、持続可能で健全な組織を維持するための唯一の道です。

ハラスメントのない健全な職場環境をつくるために

組織内の権力者やエース社員による無自覚なハラスメント、そしてルールを無視した居座り問題は、企業のガバナンスを揺るがす致命的なリスクとなります。一般社団法人クレア人財育英協会では、ハラスメントの未然防止と実効性のある懲戒規定・相談窓口の運用をサポートする専門家である「雇用クリーンプランナー(KCP)」の育成と認定を行っています。

「自社の就業規則や役員規程の厳格化を進めたい」「形骸化しない防衛線を築きたい」とお考えの企業様は、ぜひ当協会の資格認定プログラムをご活用ください。

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