2026.06.14

長門市議らのハラスメント認定。謝罪の場がパワハラに変貌する「和解強要」の罠とガバナンスの死角|一般社団法人クレア人財育英協会

この記事の結論:ハラスメント問題を解決しようとする際、当事者同士を安易に同席させ、「和解や謝罪の受け入れ」を迫る行為は、それ自体が深刻な二次加害(パワハラ)となります。組織のトップや仲介者は、客観的な適正手続きを守り、被害者に決断を強要してはなりません。

  • 長門市の市議、議長、副市長の言動が、職員に対するパワハラと公式に認定
  • 問題解決を試みた面談が「謝罪の受け入れを半強制させた」として加害行為に転転
  • 内輪の感情論による和解を排し、適正なプロセスを守るKCP(雇用クリーンプランナー)の視点

長門市議会、市議・議長・副市長ら3名のパワハラ行為を認定

山口県長門市において、市職員に対するパワーハラスメントを調査していた特別委員会の報告書が提出され、市議会議員、議長、および副市長の言動が公式にパワハラに該当すると認定されました。

事の発端は、市議が市職員に対して「脅しじゃない」などと威圧的な発言を行ったこと、さらに議員全員協議会の場で被害職員の実名を挙げて弁明したことでした。しかし、この事件がさらに深刻化したのはその後の対応です。議長と副市長が設定した面談の場で、職員に対して市議からの謝罪を受け入れるよう迫り、被害を訴える発言の撤回を半強制的にさせた行為について、報告書は「議長と副市長もパワハラに該当する」と結論づけました。

問題の核心:「丸く収めよう」とする仲介者の善意がパワハラになる恐怖

このニュースにおいて、企業の人事や経営層が最も恐れるべきポイントは、直接の加害者である市議だけでなく、「場を取り持とうとした議長と副市長」までがパワハラ認定されたという事実です。

組織内でハラスメントが発生した際、上司や経営陣は「大ごとにしたくない」「両者の話し合いで丸く収めたい」と考えがちです。しかし、圧倒的な権力の非対称性がある中で、被害者を加害者と同席させ、「相手も反省しているから許してやってくれ」「発言を撤回して和解してほしい」と迫る行為は、被害者にとって逃げ場のない心理的脅迫(パワハラ)そのものです。

和解の強要は、被害者の尊厳を二度踏みにじる行為であり、良かれと思った仲介者の振る舞いが組織のガバナンスを完全に破壊する引き金となります。

民間企業への警鐘:ハラスメントを「感情の和解」で処理してはならない

民間企業でも、役員やエース社員によるパワハラが起きた際、人事が間に入って「握手をして水に流そう」と解決を図ろうとするケースが散見されます。これは、ガバナンスにおける致命的な過ちです。

ハラスメント問題は、当事者同士の感情的な和解によって解消されるものではありません。ルールに基づいた適切な事実認定、環境の隔離(配置転換)、そしてしかるべき懲戒処分という「客観的な手続き(適正手続き)」を経てのみ処理されるべき事案です。内輪の論理で強引に収束させようとする姿勢は、会社そのものが加害に加担しているとみなされます。

雇用クリーンプランナー(KCP)の視点:二次加害を防ぐ「面談・和解の禁止」

トラブルを丸く収めようとする悪意なきパワハラを未然に防ぎ、適正な問題解決を行うための3つの原則は以下の通りです。

  1. 当事者同士の直接面談・対峙の厳禁:
    ハラスメントの調査や対応において、被害者と加害者を同じ部屋に同席させることを原則として禁止します。すべてのヒアリングは個別に、隔離された環境で実施します。
  2. 「謝罪や和解の強要」をハラスメント定義に明記:
    相談窓口や人事担当者、管理職に対し、「被害者に許すことを強要する行為」はそれ自体が重大なハラスメント(二次加害)にあたることを規程に明記し、教育を徹底します。
  3. 感情論を排した「手続きベースの解決」の徹底:
    加害者の反省の度合いにかかわらず、社内ルール(就業規則)に則った客観的な処分と措置(物理的な接触の遮断など)を粛々と進めるガバナンスを確立します。

結語:大ごとにしないための隠蔽が、最大の危機を招く

「和解をさせて解決したことにしたい」という組織の防衛本能は、結果として被害者をより深く傷つけ、自治体や企業の信用を失墜させる最大の原因となります。

ハラスメントが起きたとき、経営層が果たすべきは「丸く収めること」ではなく、「ルールを厳格に適用すること」です。被害者の尊厳を守るため、内輪の甘さを捨てて冷徹に仕組みを動かす勇気が、今すべての組織に求められています。

ハラスメントのない健全な職場環境をつくるために

社内で発生したハラスメントに対し、安易な話し合いや謝罪の強要で片付けようとすることは、組織全体を巻き込む重大なリスクに発展します。一般社団法人クレア人財育英協会では、被害者を守り、客観的で適正な手続きに基づいて問題を解決する専門家である「雇用クリーンプランナー(KCP)」の育成と認定を行っています。

「自社のトラブル対応フローが適切か確認したい」「二次加害を防ぐガバナンス体制を構築したい」とお考えの企業様は、ぜひ当協会の資格認定プログラムをご活用ください。

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