2026.09.16

横浜市会が市議のハラスメント防止条例案で意見募集。「立場が上の人」の言動にも外部相談窓口と第三者調査で備える|一般社団法人クレア人財育英協会

この記事の結論:横浜市会は、市議によるハラスメントの防止を目的とした「(仮称)横浜市会議員のハラスメント防止等に関する条例」の素案を公表し、2026年9月12日から30日まで市民の意見を募集しています(神奈川新聞「カナロコ」が2026年9月14日に報道)。山中竹春前市長による職員へのパワーハラスメント問題の発覚を受けて検討されてきたもので、外部相談窓口の設置や第三者による調査、改善がない場合の公表の検討などが盛り込まれています。企業にとっても、役員や管理職など「立場が上の人」の言動を、社内の力関係に左右されずに相談・調査できる仕組みを整えることが重要です。

  • 横浜市会が、議員間と議員から職員に対するハラスメントを対象とする条例素案への意見募集を9月30日まで実施しています。
  • 素案は、外部相談窓口、3人で構成する対策委員会による事実認定、議長による措置と公表の検討という流れを定めています。
  • 企業でも「上の立場の人ほど指摘されにくい」構造を前提に、独立した相談・調査ルートを用意しておくことが求められます。

横浜市会の「議員によるハラスメント防止条例」素案、その中身とは

神奈川新聞(カナロコ)の2026年9月14日の報道によると、横浜市会は市議によるハラスメントの防止に向けた条例案について、市民からの意見募集を始めました。条例案は、山中竹春前市長による職員へのパワーハラスメント問題の発覚を受けて、市会運営委員会で検討が進められてきたものです。寄せられた意見を踏まえ、次回の委員会で協議するとしています。

報道によると、条例案の適用範囲は議員間と議員から職員に対するものとし、対象となる行為はセクシュアルハラスメントやパワハラのほか、妊娠・出産・育児または介護に関わるハラスメント、誹謗(ひぼう)中傷など相手の人格や尊厳を傷つける言動とされています。横浜市会の案内では、意見募集期間は2026年9月12日から9月30日までで、電子申請、メール、FAX、郵送で受け付けています。なお、市長等特別職に関する取り組みは別途検討中とされています。

横浜市会が公表した案内資料では、外部相談窓口を設け、ハラスメントに関する識見者が相談対応や事実調査を行い、さらに調査が必要な場合は3人で構成する対策委員会に引き継ぐ流れが示されています。対策委員会が事実認定を行って議長に報告し、ハラスメントと認められた場合、議長は注意喚起や中止の求めなどの措置を講じ、改善が見られないときは氏名や事案の内容、調査結果などの全部または一部の公表を検討するとしています。素案の主なポイントを整理すると以下の通りです。

項目 条例素案の主な内容 企業が学べるポイント
対象と行為 議員間と議員から職員へのハラスメントが対象。セクハラ、パワハラ、妊娠・出産・育児・介護に関するハラスメント、誹謗中傷などを定義。 役員や管理職など、立場が上の人の言動も対象であることを就業規則や方針で明文化しておく。
相談・調査の体制 外部相談窓口を設置し、識見者が相談・事実調査を担当。必要に応じて3人で構成する対策委員会が事実認定を行う。 社内の力関係に左右されにくい外部窓口や、当事者から独立した調査担当を用意する。
認定後の措置 議長が注意喚起や中止の求めなどの措置を講じ、改善がない場合は氏名や事案の内容などの公表を検討。 認定後にどのような措置を取るのかを事前に定め、判断の基準と手順を関係者に示しておく。

「立場が上の人」のハラスメントほど、仕組みで向き合う必要がある

私たち一般社団法人クレア人財育英協会は、ハラスメントのない健全な職場環境づくりを推進する立場として、横浜市会が議員自身を対象とするハラスメント防止のルールづくりを進め、その素案を市民に公開して意見を求めている点を前向きに受け止めています。ルールを定める側が自らの言動を律する仕組みを持つことは、組織の信頼を守るうえで大切な一歩です。

この動きは、企業にとっても他人事ではありません。社長や役員、部門長など組織の中で強い立場にある人の言動は、周囲が「指摘しにくい」「相談しても人事が動けないのでは」と感じやすく、問題が表に出るまでに時間がかかりがちです。社内の相談窓口が加害を疑われる人の部下や同僚だけで構成されていると、相談そのものをためらわせてしまうおそれがあります。2026年10月1日からは、カスタマーハラスメント対策や求職者等へのセクシュアルハラスメント防止措置が全ての事業主に義務付けられます。方針や窓口を見直すこの機会に、「誰の言動であっても同じ手順で相談・調査できるか」という視点で自社の体制を点検することをおすすめします。

雇用クリーンプランナー(KCP)の視点:役員・管理職のハラスメントにも機能する相談・調査体制の要点

横浜市会の素案を参考に、企業が立場の違いに左右されない体制を整えるうえで押さえたいポイントは以下の通りです。

  1. 「誰の言動も対象」と方針に明記する:
    ハラスメント防止方針や就業規則で、役員・管理職を含む全ての人の言動が対象であることをはっきりと示し、社内外に周知します。対象範囲があいまいなままだと、上位者に関する相談が最初から諦められてしまいます。
  2. 社内の力関係から独立した相談ルートをつくる:
    人事部門の窓口に加えて、外部の専門家による相談窓口や、経営層から独立した報告ルートを用意します。相談者のプライバシー保護と、相談したことを理由とする不利益な取り扱いの禁止もあわせて徹底します。
  3. 調査から措置までの手順をあらかじめ決めておく:
    事実確認を誰が担当し、どのような基準で判断し、認定後にどのような措置を取るのかを事前に定めておきます。当事者と利害関係のない人が調査に関わる仕組みにしておくことで、結論への納得感が高まり、再発防止にもつながります。

結語:「言いにくい相手」にこそ、声を届けられる組織へ

ハラスメントの問題は、立場の差が大きいほど見えにくくなります。横浜市会の条例素案は、議員という強い立場にある人の言動を、外部窓口と第三者の調査という仕組みで扱おうとする試みであり、企業が自社の体制を見直す際にも多くの示唆を与えてくれます。

10月1日の義務化を目前に控えた今こそ、方針や窓口が「形だけ」になっていないかを確かめる好機です。役職や立場にかかわらず、誰もが安心して声を上げられ、その声が公正に扱われる職場を、一つひとつの仕組みから築いていきましょう。

立場に左右されない相談・調査体制で、組織の信頼を守るために

役員や管理職など立場が上の人によるハラスメントは、周囲が声を上げにくく、対応が遅れると被害の深刻化や人材の流出、組織の信頼低下につながりかねない重大な経営リスクです。一般社団法人クレア人財育英協会では、ハラスメント撲滅のための啓蒙活動の一環として、ハラスメント防止方針の策定や相談窓口の運用、公正な事実確認と再発防止の体制構築をサポートする専門家「雇用クリーンプランナー(KCP)」の育成と認定を行っています。

「役員や管理職の言動についても安心して相談できる窓口を整えたい」「10月1日の義務化に向けて、自社のハラスメント対策を総点検したい」とお考えの企業様は、ぜひ当協会の資格認定プログラムをご活用ください。

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