2026.09.02
就活セクハラ対策の義務化。求職者を守り、健全な採用環境を実現するための組織的アプローチ|一般社団法人クレア人財育英協会
この記事の結論:厚生労働省より、2026年10月から「求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策」が事業主に義務づけられることが周知されました。就職活動やインターンシップ、OB・OG訪問といった場面では、企業側と求職者との間に明確な立場の違いが存在し、トラブルが発生しやすい構造的課題があります。企業は今回の法改正を契機に、採用活動における明確なルールの策定や相談体制の整備を通じて、求職者が安心して活動できる公正な環境を構築する責任が求められています。
- 2026年10月より、求職者等に対するセクハラ防止措置が企業に法的に義務づけられる。
- 調査によると就職活動生の約3割が被害を経験しており、メンタルヘルスや就職意欲に深刻な影響を与えている。
- 面談ルールの明確化や客観的な相談窓口の設置など、組織としての予防・対応体制の構築が急務である。
採用活動における立場の違いとハラスメントの実態
労働施策総合推進法の改正等に続き、男女雇用機会均等法が改正され、自社の採用面接やインターンシップ、OB・OG訪問などに参加する求職者に対するセクシュアルハラスメント対策が強化されます。
厚生労働省の調査によれば、就職活動をした学生等の31.9%が就職活動中にセクシュアルハラスメントを受けたと回答しています。私的な食事への執拗な誘いや性的な冗談などが報告されており、これにより就職活動への意欲減退や通院・服薬を余儀なくされるケースも生じています。こうした問題が発生しやすい背景には、採用活動特有の構造的な課題が存在します。
| 採用活動における構造的課題 | 現場で生じやすい実態 | 求職者や企業環境への影響 |
|---|---|---|
| 立場の非対称性 | 選考を有利に進めたい求職者が、企業側の従業員の要求を断りにくい心理状態に置かれる。 | 求職者が被害を我慢して抱え込みやすく、重大な人権侵害が潜在化する。 |
| 活動場所の密室化 | OB・OG訪問などで、会社の目が行き届かない飲食店や個室での面談が行われることがある。 | 個人的な関係への持ち込みや不適切な言動が発生しやすい温床となる。 |
| 相談経路の不在 | 求職者は社外の人間であるため、企業の内部窓口への通報手段を持たないことが多い。 | 問題が放置され、企業の採用ブランドや社会的信用が著しく毀損される。 |
2026年10月の義務化に向けた企業の責務
私たち一般社団法人クレア人財育英協会は、ハラスメントのない健全な職場環境づくりを推進する立場として、企業が求職者を適切に保護する体制を整えることは、持続可能な採用活動の基盤であると考えます。
今回の義務化により、企業には「方針の明確化と周知」「相談体制の整備」「事案発生時の迅速な対応」が求められます。特に重要なのは、採用活動に関するルールを事前に明確にすることです。面談の時間帯や場所の指定、やり取りに使用するSNSの制限などを組織としてルール化し、従業員だけでなく求職者にも周知することで、ハラスメントの発生リスクを予防することが可能となります。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点:実効性のある採用ガバナンスの構築
求職者が安心して採用活動に参加できる環境を整備し、企業の信頼を高めるために、経営層や人事部門が導入すべき3つの仕組みは以下の通りです。
- 採用活動・面談における「行動ルールの厳格化」:
OB・OG訪問やインターンシップにおいて、指定時間外の面談や飲食店等の私的な空間での接触を禁止し、連絡手段を公式ツールに限定するなどの客観的ルールを社内規程に明文化します。 - 求職者向けの「専用外部相談窓口」の設置:
求職者が採用の合否への悪影響を恐れずに相談できるよう、人事部等の選考担当部署とは独立したKCPや外部機関に通報できるルートを設け、求人情報等で周知します。 - 教育機関との「連携・報告体制」の構築:
大学のキャリアセンター等から情報提供があった場合、事案を適切に調査し、加害者への厳正な処分と再発防止策を客観的に実施・報告するフローを整えます。
結語:誠実な採用活動が企業の未来を創る
求職者は、企業の未来を担う可能性を持った大切な存在です。就職活動という人生の重要な岐路において、ハラスメントによってその意欲や尊厳が傷つけられることは、社会全体にとっても大きな損失です。
企業が採用活動におけるルールを明確にし、求職者をハラスメントから守り抜く組織的な体制を構築することは、コンプライアンスの遵守にとどまらず、誠実な企業姿勢を社会に示すことになります。すべての人が安心して職業選択の機会を得られる社会の実現に向け、実効性のあるガバナンス体制づくりを進めてまいりましょう。
ハラスメントのない健全な職場・採用環境をつくるために
採用面接やOB・OG訪問におけるハラスメントは、企業側と求職者側の立場の違いから潜在化しやすく、企業の社会的信頼を大きく損なうリスクを抱えています。一般社団法人クレア人財育英協会では、ハラスメント撲滅のための啓蒙活動の一環として、採用活動における客観的なルールの策定や、求職者が安心して相談できる外部体制の構築をサポートする専門家「雇用クリーンプランナー(KCP)」の育成と認定を行っています。
「義務化に向けて、採用活動のコンプライアンスを強化するルールを整備したい」「選考に影響しない、独立した外部相談窓口を導入したい」とお考えの企業様は、ぜひ当協会の資格認定プログラムをご活用ください。
