2026.05.30
多治見市消防職員のパワハラ戒告処分から学ぶ、「言葉の暴力」と「懇親会での暴行」のリスク管理|一般社団法人クレア人財育英協会
この記事の結論:ハラスメントは職場内での暴言にとどまらず、社外の「懇親会」や「遊び」という言い訳にまで及びます。組織が一律の基準で厳正に対処し、職場外のモラル低下を防ぐ具体的なルールを周知することが不可欠です。
- 多治見市が後輩や同僚へのパワハラ行為を繰り返した30代男性消防職員を戒告処分に
- 「ミスの言いふらし」という精神的攻撃と、懇親会での「遊びと称した暴行」の実態
- 職場内外のハラスメントを一掃するためのKCP(雇用クリーンプランナー)の視点
多治見市の男性消防職員が同僚・後輩へのパワハラで懲戒処分
岐阜県多治見市は2026年5月29日、同じ所属の職員や後輩に対してパワーハラスメント行為を繰り返したとして、消防職員の男性主査(30歳代)を28日付で戒告の懲戒処分にしたと発表しました。
市によると、当該職員は2024年度から2025年度にかけて、同僚の職員に対して暴言を浴びせるだけでなく、日常的にその職員の仕事上のミスを周囲に言いふらすなどの精神的攻撃を行っていました。
さらに、この職員以外の複数の後輩職員に対しても、懇親会の席で「遊び」と称して肩を殴るなどの暴行を働いており、市はこれらの行為が地方公務員法に抵触するとして厳正な処分を決定しました。
処分の背景と問題の核心:陰湿な「ミスの晒し上げ」と、懇親会に潜む「無自覚な暴力」
本件で注目すべきハラスメントの態様は、職場における「暴言・ミスの言いふらし」と、業務外の「懇親会での暴行」という、職場の内外にわたる複層的な加害行為です。
特に「仕事上のミスを周囲に言いふらす」行為は、被害者の名誉を毀損し、職場内での孤立を狙う極めて陰湿な精神的攻撃(パワハラ6類型における『個の侵害』や『精神的な攻撃』)に該当します。指導の名を借りて他人の尊厳を公に傷つける行為は、組織のチームワークを根本から崩壊させます。
また、懇親会の席で「遊びと称して殴る」という行為は、加害者側に罪悪感が薄く、「これくらいのコミュニケーションは許されるはずだ」という深刻な認識の歪みを表しています。お酒の席であっても、立場の弱い後輩を肉体的に攻撃する行為は、ハラスメントの枠を超えた明確な「暴行罪(コンプライアンス違反)」です。
民間企業への警鐘:中堅社員(30代)の暴走と「業務外の場」の監督責任
この多治見市の消防組織特有ともいえる縦社会の弊害は、一般企業にとっても他人事ではありません。特に30代の「主査」や「主任・係長クラス」といった中堅社員によるハラスメントは、以下のような理由で発生しやすく、かつ表面化しにくいリスクを持っています。
・現場の実務を取り仕切る立場になり、自分のやり方や基準を後輩に過度に強制しやすい
・社内の親睦を深めるための「懇親会」や「社内イベント」が、加害者にとってルールを逸脱しやすい解放区になってしまう
組織が「お酒の席での出来事だから」「現場のコミュニケーションの一環だから」と黙認していると、被害を受けた優秀な若手社員は瞬く間に離職していきます。企業は職場内だけでなく、「会社の関係者が集まるすべての場所」がハラスメント防止方針の対象であるという強いガバナンスを示す必要があります。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点:職場外の暴走と陰湿なハラスメントを防ぐ3つの対策
職場での暴言や、業務外の場での無自覚なハラスメントから組織と従業員を守るために、人事・経営層が直ちに導入すべき実務的ガバナンスは以下の3つです。
- 「懇親会・イベント」におけるハラスメント適用の明文化:
ハラスメント防止規程において、「就業時間外、かつ職場外であっても、職務上の関係者が参加する懇親会や行事における行為は本規程の対象となる」ことを明記し、全従業員に周知徹底します。 - 「ミスの晒し上げ・周囲への言いふらし」の厳禁と正しい指導法の教育:
業務上のミスに対する指導は「1対1の密室を避けつつ、他者に聞こえない環境で行う」というスタンダードを確立し、周囲へ言いふらす行為は精神的ハラスメントとして懲戒対象になることを管理職・中堅社員研修で徹底します。 - 若手や後輩が「遊びの強要」を拒絶・通報できるホットラインの整備:
「先輩からのいじり」や「体罰まがいの遊び」を一人で抱え込ませないよう、匿名で相談でき、かつ人事担当者が迅速に事実を確認して引き離し(配置転換等)を行える体制を構築します。
結語:いかなる「場」であっても、他者の人格と尊厳を差し出してはならない
多治見市の事例が示す通り、加害者がどれほど「遊びのつもりだった」「悪気はなかった」と言い訳をしようとも、受け手が苦痛を感じ、法や規程に抵触すれば、それは組織から厳格に処分されるべきハラスメントです。
健全な組織運営において、従業員の安全と尊厳を守ることに例外はありません。職場での発言はもちろん、社外の懇親会の場に至るまで、**「ハラスメントを一切容認しない(ゼロ・トランス)」という一貫した一線**を引き続けることこそが、クリーンで誰もが安心して働ける職場を維持するための絶対条件です。
ハラスメントのない健全な職場環境をつくるために
職場内の陰湿な精神的ハラスメントや、業務外の懇親会における無自覚なトラブルは、企業の信頼と人財を奪う深刻なリスクとなります。一般社団法人クレア人財育英協会では、ハラスメントの未然防止と職場内外における実効性のある規程運用・指導体制の構築をサポートする専門家である「雇用クリーンプランナー(KCP)」の育成と認定を行っています。
「自社のハラスメント防止規程をアップデートしたい」「中堅・管理職向けの研修を充実させたい」とお考えの企業様は、ぜひ当協会の資格認定プログラムをご活用ください。
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