2026.09.03
北海道の江別市消防本部で20年近く見過ごされたハラスメント。「声の上げやすさ」を担保する組織づくりとは|一般社団法人クレア人財育英協会
この記事の結論:北海道の江別市消防本部において、40代の職員が20年近くにわたり複数の職員に対して暴言や暴行などのハラスメント行為を繰り返していた事案が発覚し、処分が下されました。この問題で着目すべきは、これほど長期間にわたって被害が潜在化し、誰一人として有効な声を上げられなかったという組織構造の課題です。階級制やチームワークが重んじられる閉鎖的な組織においては、内部の自浄作用が機能しにくいため、客観性と安全性が担保された外部の通報・監査体制の構築が不可欠となります。
- 2007年度から2025年度にかけて、複数の職員に対する20件もの暴言・暴行が行われていた。
- 階級や指示系統が絶対的な組織では、被害者が声を上げにくく、問題が長期化しやすい。
- 組織内の関係性から完全に独立した、安全な外部相談窓口と客観的ガバナンスが求められる。
長期化・潜在化するハラスメントと、自浄作用の限界
江別市消防本部において、20年近くにわたりハラスメントを繰り返していた職員に対し、停職3か月および降任の懲戒処分が下されました。2025年に被害職員の一人が市の相談窓口に通報したことでようやく事態が明るみに出ましたが、それまでのおよそ18年間、多くの被害者が沈黙を強いられていたことになります。
消防や警察といった人命に関わる組織は、指揮命令系統が明確であり、強固なチームワークが不可欠です。しかし、そのような環境においては、上位者の言動が「指導」として過剰に正当化されやすく、下位者が異を唱えにくいという構造的な課題を抱えています。
| 閉鎖的組織におけるハラスメントの課題 | 現場で生じやすい実態 | 組織環境への深刻な影響 |
|---|---|---|
| 「指導」という名目での正当化 | 命を預かる現場であることを理由に、暴言や威圧的な態度が不可欠な指導として容認されやすい。 | 暴力的なコミュニケーションが常態化し、コンプライアンス意識が麻痺していく。 |
| 通報への心理的障壁 | 階級や人間関係が固定化されているため、内部の窓口に通報すれば特定され、不利益を被ると恐れる。 | 被害が何十年にもわたって潜在化し、深刻なメンタルヘルス不調を引き起こす。 |
| 自浄作用の機能不全 | 周囲の人間もトラブルを避けるために見て見ぬふりをする「事勿れ主義」が蔓延する。 | 組織全体の士気と信頼性が著しく低下し、本来の能力発揮が阻害される。 |
「声を上げられる環境」をどう構築するか
私たち一般社団法人クレア人財育英協会は、ハラスメント撲滅を目指す立場として、問題が表面化したあとの厳正な処分だけでなく、「いかにして初期段階で問題を把握するか」という予防的・構造的なアプローチが重要であると考えます。
20年もの間、問題が放置されていた事実は、組織の内部窓口や日常のコミュニケーションだけでは限界があることを示しています。立場の弱い職員が、報復や評価の低下を恐れることなく事実を伝えるためには、組織の力関係から完全に切り離された客観的な仕組みが必要です。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点:長年の沈黙を破る客観的ガバナンス
ハラスメントの長期化・潜在化を防ぎ、すべての職員が安心して本来の業務に専念できる環境を構築するために、組織が整備すべき体制のポイントは以下の通りです。
- 匿名性と安全性が完全担保された「外部通報ルート」の確立:
内部の人間が関与しない、KCPや弁護士などの第三者機関が直接情報を受け取る窓口を設置し、通報者の心理的ハードルを極限まで引き下げます。 - 「指導とハラスメント」を切り分ける客観的基準の徹底:
いかなる緊急性の高い業務であっても、人格否定や暴力を伴う指導は認められないという社会通念上の基準を研修等で繰り返し周知し、組織風土を刷新します。 - 第三者による「定期的な環境監査」の導入:
通報を待つだけでなく、利害関係のない外部専門家が定期的に無記名アンケートやヒアリングを実施し、潜在的なハラスメントリスクを早期に抽出する監査体制を構築します。
結語:風通しの良い組織こそが、真のチームワークを生む
消防組織におけるチームワークは、市民の生命と財産を守る上で最も重要な要素です。しかし、恐怖や威圧によって統制された組織は、一見まとまっているように見えても、内部では深刻な不信感と疲弊が渦巻いています。
すべての職員がお互いを尊重し、自由闊達に意見を言い合える風通しの良い環境こそが、真の意味での強いチームワークを育みます。長年にわたる沈黙の構造を断ち切り、客観的な外部の目線を取り入れた実効性のあるガバナンスを構築していくことが、これからのすべての組織に求められています。
ハラスメントのない健全な職場環境をつくるために
階級や指揮命令系統がはっきりした組織において、ハラスメントは「厳しい指導」として潜在化しやすく、内部の自浄作用だけでは解決が困難なケースが多々あります。一般社団法人クレア人財育英協会では、ハラスメント撲滅のための啓蒙活動の一環として、内部の力関係に影響されない完全外部の相談・監査体制の構築や、客観的な対応基準の策定をサポートする専門家「雇用クリーンプランナー(KCP)」の育成と認定を行っています。
「長期化するハラスメントを防ぐため、独立した外部通報窓口を設置したい」「組織風土を客観的に見直し、健全な職場環境を再構築したい」とお考えの組織・企業様は、ぜひ当協会の資格認定プログラムをご活用ください。
