2026.10.11
ハラスメント調査で証言が食い違うとき、事実確認と当面の支援を分ける
ハラスメント調査で証言が食い違ったとき、何から確かめればよいのでしょうか。この記事では、確認できた事実と未確認の点を分けて記録し、結論を待つ間も相談者への支援を続けるための手順を整理します。
この記事の結論:ハラスメント調査で説明が食い違ったときは、多数決や印象で結論を急がず、どの事実が一致し、何が未確認かを分けて記録します。調査の結論を出す作業と、現在困っている人への当面の支援は、並行して進めることが大切です。
- 発言・行為の内容と、それをどう受け止めたかを分けて聞く。
- 直接の見聞き、伝聞、推測を記録上も区別する。
- 結論が出るまでの連絡方法や勤務上の配慮も検討する。
伊賀市の調査報道、主張の対立と認定を区別して読む
読売新聞オンラインは10月9日、伊賀市の市長によるパワハラ発言の疑いを巡り、市議会の百条委員会が証人尋問を終え、報告書の取りまとめを進めると報じました。記事では、関係者の主張が対立している状況が伝えられています。
報道時点で、この記事からハラスメントの認定結果を確定することはできません。議会の調査と企業内の調査は仕組みが異なりますが、説明が一致しない場面で事実をどう整理するかは、企業の相談対応でも考えたい論点です。
社内の聴取では「厳しく注意された」という評価だけでなく、日時、場所、具体的な言葉、前後のやり取りを、本人が話せる範囲で聞きます。正確に覚えていない部分を推測で補う必要はなく、記憶が曖昧であること自体を記録します。
報道を踏まえ、企業で確認したい点を整理すると次のとおりです。以下は当協会の実務上の提案であり、報道された組織の実際の運用を示すものではありません。
| 確認する場面 | 見落としやすい点 | 整えたい対応 |
|---|---|---|
| 証言を記録する | 要約と実際の発言が混ざる | 引用できる言葉と担当者の要約を区別する |
| 説明を比較する | 人数が多い方をそのまま事実とする | 直接見聞きした範囲と伝聞の経路を確認する |
| 調査が続く | 結論待ちを理由に困りごとを放置する | 現在の接触や負担、希望する連絡方法を確認する |
ハラスメント調査の記録は、事実と未確認事項を分ける
私たち一般社団法人クレア人財育英協会は、ハラスメントのない健全な職場環境づくりを推進する立場として、調査担当者が「まだ分からない」と記録できる運用を整えることを提案します。最初に作った筋書きに説明を当てはめると、矛盾する情報や追加で確認すべき点を見落としやすくなります。
当事者や関係者の聴取は、それぞれの記憶を確認できる形で行います。事前に関係者同士で説明をそろえるよう求めたり、誰が何を話したかを広く知らせたりすることは避けます。具体的な調査方法や判断に迷う場合は、独立性を確保できる専門家への相談も検討します。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点:一致点・相違点・未確認事項を分ける
一枚の整理表でも、次の三つを分けると追加の確認が進めやすくなります。
- 一致している事実を押さえる
面談が行われた日時など、説明が一致している部分を記録します。ただし、一部の一致をもって、言動の内容や評価まで一致したと扱わないようにします。 - 食い違いを具体的な問いにする
「どちらが正しいか」だけでなく、発言の有無、言葉、時間、同席者など、どの点が異なるかを分けます。確認可能な資料があれば、取得範囲と扱う担当者を決めます。 - 調査中の支援を相談する
相談者が現在困っている接触や業務上の負担を聞き、必要な配慮を検討します。配慮を行うことと、調査上の認定や処分を決めることを区別して説明します。
ハラスメント調査の結論を待つ間も支援を続ける
ハラスメント調査では、説明の食い違いがあることだけを理由に、相談を事実無根とも認定済みとも扱わないことが大切です。確認できたこととできていないことを分け、追加で調べる内容を明確にしましょう。
あわせて、次の連絡時期や相談先を当事者に伝えます。結論までの見通しが立たない場合も、連絡が途絶えないようにすることが、不安や情報の混乱を減らす一歩になります。
現場で使えるハラスメント対策を学ぶ
一般社団法人クレア人財育英協会では、職場のハラスメント防止に取り組む雇用クリーンプランナーの育成・認定を通じ、企業の継続的な職場環境づくりを支援しています。
相談対応や予防教育を担う人材を育て、社内の対策を実務につなげたいとお考えの企業様は、ぜひ当協会の資格認定プログラムをご活用ください。
