2025.12.20

ハラスメントの種類と判断・対応|主要な類型と職場の対策

ハラスメントの種類は、法律上の防止措置の対象と、場面を表す一般的な呼び名に分けると理解しやすくなります。パワハラ・セクハラ等はそれぞれ判断する要件が異なります。名称を当てはめるだけでなく、起きたことと必要な対応を確認しましょう。

最初に押さえる、法令上の主な対象

事業主には、パワハラ、セクハラ、妊娠・出産等や育児・介護休業等に関するハラスメントの防止措置が求められます。2026年10月1日からは、カスハラと求職者等へのセクハラの防止措置も義務化されています。

会社の方針を周知し、相談に対応する体制を整え、事実確認・適切な対応・再発防止を行います。相談や調査への協力を理由とする不利益な取扱いを防ぎ、関係者のプライバシーを保護することも必要です。

根拠:厚生労働省・職場におけるハラスメントの防止のために

ハラスメントの種類・呼称20項目と主な場面

法律・指針で扱う類型と、一般的な呼び名を含む一覧です。場面の例だけで該当性が決まるわけではありません。性的指向・性自認はSOGI(ソジ)とも呼ばれます。

種類・呼称 確認する場面
パワーハラスメント
(パワハラ)
叱責、業務配分、評価、隔離
セクシュアルハラスメント
(セクハラ)
性的な発言、意に反する身体接触等
妊娠・出産等に関するハラスメント
(マタハラ等)
産休相談後の圧力、退職示唆
育児休業等に関するハラスメント
(イクハラ等)
育休申出への嫌味、評価示唆
介護休業等に関するハラスメント
(ケアハラ等)
介護申出への圧力、更新不安
カスタマーハラスメント
(カスハラ)
暴言、居座り、過度要求、脅し
求職者等へのセクシュアルハラスメント
(就活セクハラ)
面接やインターンシップ等での性的な言動
モラルハラスメント
(モラハラ)
無視、嘲笑、詰問、孤立化
ジェンダーハラスメント
(ジェンハラ)
性役割の押し付け、雑務固定
SOGIに関するハラスメント
(SOGIハラ等)
暴露、からかい、噂、詮索
アルコールハラスメント
(アルハラ)
飲酒強要、断れない空気
アカデミックハラスメント
(アカハラ)
指導、評価、進路、推薦
リモートハラスメント
(リモハラ)
監視、即レス強要、私生活侵入
テクノロジーハラスメント
(テクハラ)
IT差を嘲笑、排除
ロジックハラスメント
(ロジハラ)
論破で沈黙させる
ホワイトハラスメント
(ホワハラ)
過度な配慮で必要な指導や仕事の機会が失われる状況などを指す呼称
エイジハラスメント
(エイジハラ)
年齢で決めつけ、機会剥奪
スメルハラスメント
(スメハラ)
臭いを理由に攻撃、または配慮欠如
SNSハラスメント
(SNSハラ等)
晒し、誹謗中傷、監視
ドクターハラスメント
(ドクハラ)
説明拒否、高圧的言動

より多くの呼称は、ハラスメントの種類一覧100で調べられます。

パワハラ:3つの要素をすべて確認する

職場のパワハラは、優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超え、就業環境が害されるものです。適正な業務指示・指導は含まれません。

代表的な行為類型は、身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害の6つです。これらは代表例で、すべての行為を網羅するものではありません。上司から部下への行為に限らず、関係性や業務上の必要性等を確認します。

根拠:厚生労働省・パワーハラスメント防止指針

セクハラ:性的な言動による不利益と就業環境への影響

職場の性的な言動への対応によって労働条件上の不利益を受ける「対価型」と、性的な言動によって就業環境が害される「環境型」があります。同性間でも起こり得るため、性別や上下関係だけで対象外としません。

言動の内容、本人の意に反するものだったか、仕事や環境にどのような影響があったかなどを確認します。パワハラの3要素を、そのままセクハラの必要条件にしてはいけません。

妊娠・出産、育児・介護休業等:言動と不利益取扱いを分ける

妊娠・出産等に関する言動や、制度の申出・利用に関する上司・同僚の言動により就業環境が害されることが問題となります。育児休業等については男性も対象です。

「休むなら辞めてほしい」などの言動に加え、事業主が妊娠・出産や制度利用等を理由に解雇等の不利益な取扱いをしていないかも、別に確認します。業務分担を見直し、利用する人と周囲の人に負担を抱え込ませない調整が必要です。

カスハラ:正当な苦情と、許容される範囲を超える言動を区別する

カスハラは、顧客等の言動で、業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超え、就業環境が害されるものです。苦情があることだけで一律にカスハラとは扱いません。

要求の内容や手段、時間、頻度、態様等を確認します。暴力や脅し等で危険がある場合は安全を優先し、誰が交代して、どの段階で責任者や警察等へ連絡するかを決めておきます。

求職者等へのセクハラ:採用活動の場も確認する

事業主が雇用する労働者の性的な言動により、求職者等の求職活動等が阻害されることが対象となります。面接、インターンシップ、OB・OG訪問、オンラインのやり取り等を含め、採用に関わる人の行動と相談経路を確認します。

制度の対象と各指針は、厚生労働省のハラスメント対策ページで確認できます。

呼び名に迷ったら「事実→該当する類型→必要な対応」で整理する

  1. 事実:いつ、どこで、誰が、何をしたか。本人の説明と確認済みの事実を分けて記録します。
  2. 類型と要件:パワハラ、セクハラなど、関係する類型の要件に照らして確認します。複数の問題が重なる場合もあります。
  3. 対応:安全確保、相談受付、事実確認、必要な措置、再発防止を進めます。認定前でも必要な配慮を検討します。

「なんでもハラスメントになる」と感じる場合は、指導と相談対応を分けて考える方法も参考になります。

企業が整える7つの仕組み

  • 禁止する言動と会社の方針の周知
  • 直属の上司を通さずに使える相談経路
  • 受付・安全確保・記録の手順
  • 双方の説明と資料を確認する担当・手順
  • 判断に迷う際の責任者・専門家への連携
  • 対応後の経過確認と再発防止
  • 顧客対応や採用など、担当業務に応じた教育

具体的な点検には、ハラスメント防止対策の基本と5つの確認を利用できます。

内容確認・改訂:2026年10月16日

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