2025.06.03
ハラスメント研修のつくり方|対象別の内容・実施手順・効果の確認
ハラスメント研修は、定義を覚えるだけでなく、職場で避ける言動、相談先、相談を受けたときの動きを共有するために行います。法令上求められる方針の周知・啓発と、「全員が年1回研修を受ける」という一律の義務は同じではありません。対象者の役割に合う内容と、自社に必要な実施時期を決めましょう。
法令上の防止措置と研修の関係
| 制度・時期 | 研修設計で確認すること |
|---|---|
| 2022年4月 パワハラ防止措置の全面義務化 |
中小企業も対象。方針・対応内容の周知や相談体制等が必要です。研修は周知・啓発の方法の一つです。 |
| 2024年11月 フリーランス法施行 |
同法の対象となる発注事業者にも、業務委託におけるハラスメントの相談体制等の整備が必要です。すべてのフリーランスに研修受講を義務付ける制度ではありません。 |
| 2026年10月 カスハラ・求職者等へのセクハラ防止措置の義務化 |
顧客対応、採用面接、インターンシップ等の担当者にも、自社の方針と対応手順を伝えます。 |
法律・指針が求める措置を確認したうえで、研修の方法・回数を設計します。厚生労働省「あかるい職場応援団」の研修・教育の案内も参考になります。
対象者に応じて、学ぶ内容を分ける
| 対象 | 内容と実務での使い方 |
|---|---|
| 一般従業員 | 定義と具体例、相談先、不利益取扱いを禁止する方針。自分や同僚が困ったときの相談方法を確認します。 |
| 管理職 | 指導の目的・方法、業務配分、相談を受けた際の初動。注意の伝え方と、人事に引き継ぐ場面を練習します。 |
| 相談窓口担当者 | 傾聴、記録、秘密の扱い、事実確認担当への引継ぎ。相談者の説明と確認済みの事実を分けます。 |
| 顧客対応・採用担当者 | カスハラ時の交代・連携、採用活動での性的な言動の防止。担当者が一人で判断しない経路を確認します。 |
研修をつくり、見直す5ステップ
- 職場の課題を整理する:相談内容、業務負担、アンケート等から、どの場面で迷いが生じているか確認します。相談件数が少ないことだけで問題がないと判断しません。
- 対象別に到達点を決める:「管理職が事実に基づく注意を説明できる」「受付担当が最初の質問を挙げられる」など、実行する行動を決めます。
- 短い場面で考える:動画や説明の後に、言い換えや受付の練習を行います。架空の事例を使う場合は、説明用であることを示します。
- 相談経路を再周知する:窓口の連絡先、担当者不在時の経路、相談後の流れを実際に見つけられるか確認します。
- 理解と実行を確認する:受講直後は理解度、その後は日常の行動や運用の改善を確認します。アンケートや離職率の変化だけで研修の成果と断定しません。
演習の準備には、指導前の5つの確認点と言い換え例、相談窓口の受付・記録・初動フローを利用できます。
雇用クリーンプランナーを担当者育成に活用する
雇用クリーンプランナーは、ハラスメントと労働トラブルをあわせて学ぶ民間資格です。法人向けプランでは、担当者の育成に加え、社内研修用資料・講師養成動画や相談対応の書式を提供しています。自社で説明する担当者を育て、学習内容を窓口や研修の運用につなげたい企業に適しています。
研修担当者のよくある疑問
動画を見てもらうだけで十分ですか?
動画は基礎知識を共有する方法の一つです。その後に、自社の窓口を確認する、担当する場面を練習するなど、実務につなぐ確認を加えましょう。受講したことだけで防止措置全体が完了するわけではありません。
資格を持つ担当者は何人必要ですか?
従業員数に対して特定の民間資格保有者を何人置く、という一律の法定基準はありません。拠点、業務量、不在時の対応、利害関係を踏まえて担当者と代替担当を決めます。
研修は何回行えばよいですか?
全企業共通の「年1回」で完了するものではありません。採用・昇進時、制度や社内ルールの変更時、問題が見つかったときなど、自社の状況に応じて周知・啓発と担当者教育を行います。
まず「誰が、どの場面で動けるようになるか」を決める
研修資料の量よりも、対象者が自分の仕事で使えるかを確認しましょう。会社の方針、具体的な行動、相談先を一つの研修の中でつなぎ、実施後に困った点を次の改善へ反映します。
内容確認・改訂:2026年10月16日
