2026.07.20
3度目のパワハラ認定と依願退職の闇。警察署長人事に見る「加害者の昇進」と身内に甘いガバナンスの崩壊|一般社団法人クレア人財育英協会
この記事の結論:静岡県警の警察署長が「3度目のパワハラ認定」を受けて依願退職する見込みとなった事件は、加害個人の問題を超えた組織的なガバナンスの完全な崩壊を示しています。過去にハラスメントを繰り返した人物を署長というトップに昇進させた人事の機能不全と、部下を出勤困難に追い込みながら「依願退職(多額の退職金を受け取っての自己都合退職)」で逃げ切ることを許す身内への甘さは、民間企業においても反面教師とすべき極めて深刻な腐敗構造です。
- 静岡県警東部の50代警察署長が、部下へのパワハラで3度目となる認定を受けた
- 部下(課長)は不眠に陥り出勤困難になるまで威圧され、精神的に追い詰められていた
- 懲戒免職ではなく「依願退職」という形で幕引きを図る、自浄作用を欠いた組織の怠慢
3度目の認定。なぜパワハラ常習者が「署長」になれたのか
静岡県警は7月19日、県東部の警察署長を務める50代の男性警視について、部下に対するパワーハラスメント行為を認定したと明らかにしました。
報道によれば、この署長は部下の課長に対して、眠れなくなり出勤が困難になるほど威圧的な態度で叱責を繰り返していました。さらに驚くべきは、昨年県警本部に勤務していた際にも同様の行為を行っており、今回が「3度目のパワハラ認定」であるという事実です。この一連の報道から読み解くべき、組織ガバナンスにおける致命的な欠陥は以下の通りです。
| ガバナンスの欠陥 | 事件における具体的なファクト | 企業・組織における致命的リスク |
|---|---|---|
| 加害者の昇進・登用 | 過去にパワハラ認定を受けながら、組織の顔である「署長」に昇進・配置された | 被害者保護よりも「実績や年功序列」を優先する腐敗した人事評価システムの露呈。 |
| 指導力と暴力の混同 | 部下が出勤困難(メンタル不全)になるまで威圧行為を放置した | 安全配慮義務の完全な放棄であり、休職者や離職者を量産する職場崩壊のトリガー。 |
| 依願退職という逃げ道 | 懲戒免職ではなく、本人の希望による「依願退職」で幕引きを図る見込み | 退職金が満額支給される可能性が高く、加害者に甘く被害者の救済を軽視する最悪の事後対応。 |
問題の核心:「依願退職」で許す組織に正義はない
企業の人事や経営層がこのニュースから直視すべき最大の恐怖は、被害者の人生を壊した加害者が、最終的に「依願退職」という形で守られているという事実です。
依願退職とは、労働者自らの申し出による退職(自己都合退職)であり、多くの場合、退職金が規定通り支給されます。3回もパワハラを繰り返し、部下を出勤不能にまで追い込んだ人間に対し、組織としての極刑である「懲戒免職(解雇)」を下さず、「不祥事になる前に自分から辞めてくれ」と促すのは、組織を守るための保身に過ぎません。加害者には多額の退職金が支払われ、被害者にはトラウマだけが残る。このような身内に甘い対応を見せつけられた他の職員が、組織を信頼して働けるはずがありません。
民間企業への警鐘:業績至上主義が「モンスター」を育てる
これは警察組織特有の問題ではありません。民間企業でも「営業成績が良いから」「技術力があるから」という理由で、ハラスメントの常習者を管理職や役員に昇進させてしまうケースが後を絶ちません。
しかし、ハラスメント加害者を昇進させることは、組織が「売上のためには他者の尊厳を傷つけても構わない」と公認したも同然です。一度昇進させてしまったモンスターを降格・解雇することは法的に極めて難しくなり、最終的には優秀な若手から順に絶望して辞めていきます。業績と倫理を切り離せない企業は、必ず内部から崩壊します。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点:ハラスメント常習者を排除する人事ルール
加害者の昇進を防ぎ、身内の忖度を排した厳格な処罰を下すために経営層が構築すべき3つの仕組みは以下の通りです。
- ハラスメント歴による「昇進・登用の絶対的制限」の明文化:
過去にハラスメントで懲戒や指導を受けた履歴のある人材について、一定期間または永久に管理職(役員)への昇進・登用を禁じるルールを人事評価制度に組み込みます。 - 依願退職の拒否と「退職金減額・没収規程」の適用:
重大なハラスメントが認定された場合、本人の依願退職を受理せず、懲戒解雇として処理するとともに、就業規則に基づく退職金の減額または不支給を冷徹に執行します。 - 「累積加重処罰」による再犯防止システムの導入:
1度目の指導で改善が見られず、2度、3度とハラスメントを繰り返す常習者に対しては、情状酌量の余地を与えず、段階的に解雇へ向けて処分を加重する基準を確立します。
結語:身内を裁けない組織に、未来を語る資格はない
3度目のハラスメントでようやく退職に至るという現実は、これまでにどれほどの被害者が声を上げられずに泣き寝入りしてきたかを物語っています。
ハラスメント対策において最も重要なのは、加害者の地位や実績に関わらず、組織のルールを冷徹に適用する覚悟です。加害者を昇進させ、最後は退職金を持たせて穏便に逃がす。そんな「身内への甘さ」を断ち切れない経営者に、健全な職場環境やコンプライアンスを語る資格はありません。
ハラスメントのない健全な職場環境をつくるために
ハラスメント常習者の昇進や、依願退職による甘い幕引きは、組織の自浄作用が完全に失われている証拠です。一般社団法人クレア人財育英協会では、業績や情に流されず、外部の客観的な視点から厳格な人事評価・懲戒ルールを設計する専門家である「雇用クリーンプランナー(KCP)」の育成と認定を行っています。
「ハラスメント歴のある人材の昇進制限ルールを設けたい」「重大なコンプライアンス違反に対する厳格な懲戒システムを構築したい」とお考えの企業様は、ぜひ当協会の資格認定プログラムをご活用ください。
