2026.08.20

2026年10月からのカスタマーハラスメント対策義務化。従業員を守る組織づくりに向けた社会のパラダイムシフト|一般社団法人クレア人財育英協会

この記事の結論:厚生労働省より、2026年(令和8年)10月から企業に対する「カスタマーハラスメント(カスハラ)対策」が義務化されることが周知されました。これは、これまで現場の個人の対応力や忍耐に委ねられがちだった顧客トラブルを、組織全体で解決すべき課題として位置づける社会的なパラダイムシフトです。企業はこれを法的な負担と捉えるのではなく、従業員の心理的安全性を高め、より質の高いサービスを提供するための前向きな職場環境づくりの契機として活用することが求められています。

  • 2026年10月より、事業主に対してカスハラ防止のための体制整備が法的に義務づけられる。
  • クレーム対応を個人の負担にせず、組織として方針を明確にし、従業員を守る仕組みが必要になる。
  • 客観的な対応基準と外部専門家の知見を取り入れることで、健全な職場環境の構築が可能となる。

現場の個人の努力から、組織全体での対応へ

厚生労働省は、労働施策総合推進法の改正により、2026年(令和8年)10月1日から企業に対してカスタマーハラスメント対策を講じることを義務化すると発表しました。

同省の調査によれば、過去3年間に顧客からの著しい迷惑行為に関する相談があった企業は約28%に上り、現場で働く人々の意欲低下や業務への悪影響が課題となっています。今回の法改正は、こうした現場の負担を軽減し、誰もが安心して働ける環境を整備するための重要な一歩です。企業に求められる対応の変化は以下の通りです。

これまでの職場環境の課題 法改正によるパラダイムシフト 健全な組織が享受するメリット
個人の忍耐への依存 理不尽な要求に対して、現場の担当者個人ではなく組織全体で対応する体制へ移行する。 従業員が組織に守られていると実感し、離職率の低下とエンゲージメントの向上が実現する。
曖昧な対応基準 何がハラスメントに当たるのか、社会通念に照らした客観的な方針と基準を明確にする。 現場が迷わず適切な対応をとれるようになり、通常業務への支障を最小限に抑えられる。
事後対応の遅れ トラブル発生後の事実確認や被害者への配慮、再発防止策を迅速に行う体制が構築される。 従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぎ、企業の安定的かつ持続的な成長を支える。

なぜ今、社会全体でカスハラ対策が必要なのか

私たち一般社団法人クレア人財育英協会は、ハラスメント撲滅のための啓蒙活動を通じて、多くの企業の現場の声に耳を傾けてきました。そこから見えてくるのは、カスタマーハラスメントが決して一部の悪質なクレーマーだけの問題ではなく、サービスを提供する側と受ける側のより良いコミュニケーションのあり方を模索する、社会全体の課題であるという事実です。

お客様の正当なご意見やご要望は、企業を成長させる貴重な財産です。しかし、それが暴言や長時間の拘束といったハラスメントに発展してしまえば、対応する従業員の心身を深く傷つけることになります。従業員が安心して本来の業務に専念できる環境があってこそ、すべてのお客様に対して質の高いサービスを提供し続けることができるのです。

企業に求められる「基準の明確化」と体制整備

2026年10月の義務化に向けて、企業は「カスタマーハラスメントに対する基本方針の策定」「相談窓口の設置」「事後の迅速な対応体制の整備」などを進める必要があります。

しかし、何をもってカスタマーハラスメントとするか、その線引きを社内だけで客観的に定めることは容易ではありません。だからこそ、社会通念に照らした明確なガイドラインを設け、従業員が一人で抱え込まずに相談できる風通しの良い組織風土を作ることが何より大切です。

雇用クリーンプランナー(KCP)の視点:従業員を支える客観的な体制づくり

法改正を機に、企業がより健全で働きやすい職場環境を構築するために、経営層が取り組むべき3つのステップは以下の通りです。

  1. 客観的な「対応方針・ガイドライン」の策定と周知:
    どのような言動がカスハラに該当するのか、そしてその際に会社としてどのように対応するのか(対応の打ち切り等)を明文化し、従業員への研修を通じて安心感を提供します。
  2. 心理的負担を軽減する「外部相談窓口」の活用:
    現場の従業員が上司に言い出しにくいケースも想定し、社内の人事部だけでなく、KCPなど外部の専門家に気軽に相談できるサポート体制を整備します。
  3. 事案発生時の「組織的なエスカレーション体制」の構築:
    トラブルが発生した際、担当者個人で解決させず、速やかに管理職や法務部門、外部専門家へと対応を引き継ぐ組織的なフローを確立し、現場の負担を軽減します。

結語:従業員を守ることが、企業の持続的な成長に繋がる

カスタマーハラスメント対策の義務化は、企業に対する新たなペナルティではありません。働く人々を不当なストレスから守り、より創造的で豊かなサービスを生み出すための社会的なセーフティネットの構築です。

従業員を大切にし、その尊厳を守るために組織として毅然とした体制を整える企業は、結果として社会からの厚い信頼を集めることになります。法改正をポジティブな契機と捉え、誰もが安心して働ける職場環境づくりに向けて、共に歩みを進めてまいりましょう。

ハラスメントのない健全な職場環境をつくるために

カスタマーハラスメント対策は、現場で働く従業員を孤立させず、組織全体で守り抜く体制をつくるための重要な取り組みです。一般社団法人クレア人財育英協会では、ハラスメント撲滅のための啓蒙活動の一環として、客観的な基準に基づいた対応方針の策定や、従業員が安心して相談できる外部体制の構築をサポートする専門家「雇用クリーンプランナー(KCP)」の育成と認定を行っています。

「2026年の義務化に向けて、従業員が安心して働けるガイドラインを作りたい」「現場の負担を減らすための客観的な相談体制を整えたい」とお考えの企業様は、ぜひ当協会の資格認定プログラムをご活用ください。

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