2026.09.20
山口県が就活セクハラ防止の「採用活動ルール」を策定|10月1日の求職者等へのセクハラ防止措置義務化に企業が備えるべきこと|一般社団法人クレア人財育英協会
この記事の結論:山口県は2026年9月18日、「県職員志望者等に対するセクシュアル・ハラスメント等を防止するための採用活動等に関する取扱い」(採用活動ルール)を策定し、同日から施行したと発表しました(山口県人事委員会事務局の報道発表)。改正男女雇用機会均等法により、2026年10月1日から求職者等に対するセクハラ防止措置が事業主に義務付けられることに対応したものです。ルールでは、容姿・体形を性的に評価する発言、性的指向の詮索、密室での長時間の面談、職員の私的な接触などを禁止事項として明示し、面談の実施場所・時間・体制、相談窓口の周知、違反時の措置、再発防止措置までを定めています。採用選考やインターンシップ、OB・OG訪問を行うすべての企業にとって、施行日まで残りわずかです。自社の採用活動ルールを文書化し、面接担当者に周知する対応が急務です。
- 山口県が2026年9月18日付で「採用活動ルール」を策定・施行し、禁止事項と面談の実施体制を明文化した。
- 2026年10月1日から、求職者等に対するセクハラ防止措置が事業主の義務となる(改正男女雇用機会均等法)。
- 企業に求められるのは、方針の明確化、採用活動の取扱いの明確化と周知、相談体制の整備という三本柱の整備である。
山口県の「採用活動ルール」、何が禁止され何が決められたのか
山口県は2026年9月18日、人事委員会事務局から「県職員志望者等に対するセクシュアル・ハラスメント等を防止するための採用活動等に関する取扱い」の策定等について発表しました。求職者等に対するセクハラ防止対策が事業主に義務化されることに伴う対応で、採用活動ルールは同日付で施行されています。
発表によると、事業主が講ずべき措置として、セクハラ防止方針の明確化、採用活動等に関する取扱いの明確化および求職者への周知、相談体制の整備等が挙げられ、県としてこれらに対応する形で今回のルールを整えたとされています。ルールでは、採用活動等における禁止事項として「容姿・体形を性的に評価する発言、性的指向の詮索、密室での長時間の面談、職員の私的な接触 等」が明示されました。あわせて、面談の実施場所・実施時間・実施体制、相談窓口の周知、違反があった場合の措置、再発防止措置についても規定されています。相談窓口は各任命権者が設置し、知事部局では中央県民相談室、人事委員会、人事課が対応するとされています。
ここで注目すべきは、禁止された行為の多くが「悪意ある特別な行為」ではなく、採用の現場で起こりがちな場面に潜んでいる点です。今回のルールと10月1日施行の法改正の関係を整理すると、以下のようになります。
| 項目 | 主な内容 | 企業・採用現場への影響 |
|---|---|---|
| 山口県の採用活動ルール(2026年9月18日策定・施行) | 容姿・体形を性的に評価する発言、性的指向の詮索、密室での長時間の面談、職員の私的な接触等を禁止事項として明示。面談の実施場所・時間・体制、相談窓口の周知、違反時の措置、再発防止措置を規定。 | 「何がアウトか」を担当者任せにせず文書で示す先行事例。民間企業が自社ルールを作る際の参考になる。 |
| 改正男女雇用機会均等法(2026年10月1日施行) | 求職者等に対するセクシュアルハラスメントの防止措置を事業主に義務付ける。関連する指針は2026年2月26日に告示されている。 | 採用選考・インターンシップ等を行う事業主が対象。方針の明確化・周知、相談体制の整備などの対応が求められる。 |
| 同日施行のカスタマーハラスメント対策の措置義務 | 顧客等からの著しい迷惑行為から労働者を守るため、事業主に雇用管理上の措置を義務付ける。防止指針は2026年2月26日に告示。 | 企業規模を問わず対象となるため、就活セクハラ対策とカスハラ対策を同時並行で整備する必要がある。 |
協会としての見解:採用の場は、最も「声を上げにくい」場所である
私たち一般社団法人クレア人財育英協会は、ハラスメントのない健全な職場環境づくりを推進する立場として、山口県が禁止事項と面談の実施体制を具体的な文言で明文化し、施行日を待たずに運用を開始した点に大きな意義があると考えています。「常識で判断せよ」と現場に委ねるのではなく、判断基準を文書として示したことが、実効性の出発点になるからです。
採用活動は、学生や転職希望者にとって、企業との力関係が最も非対称になる場面です。不快な質問をされても、密室で長時間拘束されても、その場で拒めば選考に響くのではないかという不安から、声を上げられないまま終わることが少なくありません。だからこそ、求職者本人の勇気に頼るのではなく、企業の側が「そもそもそうした場面をつくらない」仕組みを持つ必要があります。面談は原則として複数名で行う、個室以外の場所や時間帯を選ぶ、担当者個人のSNSや私的な連絡先での接触を禁じる。こうした運用上の設計は、求職者を守ると同時に、善意で対応した担当者が不本意な疑いを持たれる事態も防ぎます。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点:10月1日までに整える就活セクハラ対策の要点
採用選考やインターンシップ、OB・OG訪問を行う企業が、施行日までに優先して着手すべきポイントは以下の通りです。
- 採用活動における禁止事項の明文化と周知:
容姿や体形に関する発言、性的指向やプライベートの詮索など、聞いてはならない事項を具体的な言葉で一覧化し、方針として社内外に示します。抽象的な「ハラスメント禁止」ではなく、現場が迷わない粒度まで落とし込むことが重要です。 - 面談の実施場所・時間・体制のルール化:
面談は原則複数名で実施する、密室での一対一や長時間の拘束を避ける、終了時刻の目安を設けるなど、運用を仕組みとして固定します。担当者個人の私的な連絡手段による接触を禁じることも、あわせて明確にしておきたい点です。 - 求職者が使える相談窓口の設置と周知:
自社の従業員だけでなく、選考中の求職者が相談できる窓口を設け、募集要項や選考案内で周知します。相談したことによる不利益な取り扱いを行わない旨を明示し、KCPなど外部の専門家と連携して事実確認と再発防止まで対応できる体制を整えることが実効性を高めます。
結語:採用は「入社前の職場環境」である
採用活動は、その企業が働く人をどう扱う組織なのかが最初に表れる場面です。求職者は面接での一言や面談の進め方から、入社後の職場の姿を想像します。就活セクハラ対策は、法令遵守という守りの課題であると同時に、選ばれる企業であるための土台でもあります。
10月1日の施行まで、残された時間は多くありません。まずは自社の採用フローを一度書き出し、誰が・どこで・どのくらいの時間・どのような体制で求職者と接しているのかを点検することから始めてみてはいかがでしょうか。求職者も従業員も安心して向き合える採用の場を、組織の仕組みとして築いてまいりましょう。
就活セクハラを防ぐ、採用活動のルールづくりと相談体制の整備を
求職者に対するセクシュアルハラスメントは、選考中という立場の弱さから被害が表面化しにくく、発覚したときには企業の採用力とブランドを大きく損なうリスクとなります。一般社団法人クレア人財育英協会では、ハラスメント撲滅のための啓蒙活動の一環として、採用活動における禁止事項や面談ルールの策定、求職者向け相談窓口の運用、事実確認と再発防止の体制構築をサポートする専門家「雇用クリーンプランナー(KCP)」の育成と認定を行っています。
「10月1日の義務化までに自社の採用活動ルールを整備したい」「面接担当者が迷わない判断基準と相談窓口をつくりたい」とお考えの企業様は、ぜひ当協会の資格認定プログラムをご活用ください。
