2026.06.11
千葉県教委の調査が浮き彫りにした「同僚からのハラスメント」。感情の決壊を防ぐ組織デザインとは|一般社団法人クレア人財育英協会
この記事の結論:ハラスメントは「権力を持った上司の悪意」だけで起こるわけではありません。同僚同士の摩擦や「感情的になってしまった」という理由が大半を占める現状は、個人のモラル低下ではなく、職場環境の余裕のなさ(構造的ストレス)を示しています。精神論に頼らない環境の再設計が必要です。
- 千葉県教育委員会の調査で、過去1年間に8.6%の職員がハラスメント被害を申告
- パワハラ行為者の4割以上が「職場の同僚」という、横のハラスメントの実態
- 個人の感情管理に依存せず、仕組みで摩擦を減らすKCP(雇用クリーンプランナー)のアプローチ
千葉県教委のアンケート調査で明らかになったハラスメントの実態
千葉県教育委員会は、職員が安心して能力を発揮できる職場環境づくりのため、全職員を対象としたハラスメントに関するアンケート調査(令和7年度)の結果を公表しました。
調査結果によると、過去1年間に職場でパワハラ、セクハラ、マタハラ等のいずれかを受けたと感じた職員は、全体の8.6%(90名)に上りました。その中でも最も多かったのが「パワハラ(7.7%)」であり、次いで「マタハラ等(4.3%)」「セクハラ(1.7%)」という結果になっています。
問題の核心:上司だけでなく「同僚」からのパワハラが4割を超える
企業の人事・経営層がこのデータから読み取るべき最も重要なポイントは、ハラスメントの「行為者」と「理由」です。
パワハラを受けたと感じた相手として、「職場の上司(50.6%)」に次いで、「職場の同僚」が44.4%と非常に高い割合を占めています。ハラスメントと聞くと、絶対的な権力を持つ上司から部下への一方的な圧力を想像しがちですが、実際には「同僚同士の横の摩擦」が深刻化していることがわかります。
さらに、行為者側がパワハラをしてしまった理由のトップは「感情的になってしまった(66.7%)」でした。これは、悪意を持って相手を攻撃したというよりも、業務過多や人員不足といった過酷な環境の中で心の余裕を失い、感情がコントロールできずに決壊してしまった状態を表しています。
民間企業への警鐘:「個人のモラル」を責めるだけでは解決しない
この「横のパワハラ」と「感情の決壊」という事象に対し、「社員のアンガーマネジメント不足だ」「もっとコミュニケーションをとるべきだ」と個人のモラルやスキルの問題として処理しようとする企業は、根本的な解決から遠ざかります。
普通の人が感情的になって同僚に当たってしまう職場は、明らかに業務量や人員配置のバランスが崩壊しています。ハラスメントを個人の道徳心の欠如と捉えるのではなく、組織のシステムエラーとして認識しなければなりません。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点:「感情の奴隷」にならない仕組みづくり
同僚間での感情的な衝突(横のハラスメント)を防ぐため、経営層が講じるべき具体的なガバナンスは以下の3つです。
- 業務プロセスの可視化と再配分:
同僚同士で「あの人ばかり楽をしている」「自分に仕事が偏っている」という不公平感が感情的な衝突を生みます。業務量と役割を客観的なデータで可視化し、属人的な不満をシステムで吸収します。 - エスカレーションルールの徹底:
同僚のミスや対応の遅れに対し、直接感情的に指導するのではなく、必ず上長や特定の管理ツールを通じて客観的に報告・改善を促すフローをルール化します。 - 「ハラスメントになり得る」という境界線の定期教育:
セクハラやマタハラの加害理由として「自覚がなかった」が高い割合を占めている通り、何がアウトになるのかという最新の基準(境界線)を、外部専門家を交えて定期的にアップデートする機会を設けます。
結語:道徳心ではなく「環境」をデザインする
ハラスメントの撲滅に必要なのは、「仲良くしましょう」というスローガンでも、加害者を吊るし上げる魔女狩りでもありません。
人が心身の余裕を保ち、感情の奴隷にならずに業務に集中できる環境をどう設計するか。その客観的な仕組みづくりに投資することこそが、現代の企業に求められる最も確実なハラスメント対策なのです。
ハラスメントのない健全な職場環境をつくるために
横の人間関係で起きるハラスメントは、上司の目の届かないところで発生しやすく、組織の生産性を著しく低下させます。一般社団法人クレア人財育英協会では、個人の感情に依存しない仕組みづくりと、ハラスメントの未然防止をサポートする専門家である「雇用クリーンプランナー(KCP)」の育成と認定を行っています。
「自社の業務環境に潜むストレス要因を洗い出したい」「実効性のある防止策を構築したい」とお考えの企業様は、ぜひ当協会の資格認定プログラムをご活用ください。
