2026.05.30
全労連が「罰則付きのハラスメント禁止法」を要請。ILO190号条約批准に向けた法規制強化への警鐘|一般社団法人クレア人財育英協会
この記事の結論:ハラスメントを「モラルの問題」で片付ける時代は終焉に向かっています。全労連による罰則付き法制定の要請は、将来的な法規制強化の確実なシグナルです。企業は法律による強制を待たず、自社の就業規則と処罰基準を直ちに見直す必要があります。
- 全労連が厚労省と法務省に対し、ILO190号条約の批准と罰則付き法制定を要請
- 「相談せずに我慢した」被害者が25%を超える、深刻なハラスメントの実態
- 法律に先んじて自社を守るためのKCP(雇用クリーンプランナー)の実務的アプローチ
全労連が厚労省・法務省へ「罰則付きハラスメント禁止法」の制定を要請
全国労働組合総連合(全労連)は2026年5月29日、厚労省および法務省に対し、職場からのハラスメントを根絶するための要請と記者会見を行いました。
要請の最大のポイントは、日本政府に対して「ILO第190号条約(仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関する条約)」の批准を強く求めるとともに、あらゆるハラスメントを包括的に定義し、罰則規定付きの法律を制定することを要求した点です。
全労連は、現在の法制度(労働施策総合推進法など)では不十分であり、ハラスメントを「明確な人権侵害」として位置づける抜本的な法整備が必要であると訴えています。
実態調査が浮き彫りにする「沈黙する被害者」と「罰則への強い要望」
全労連が実施した実態調査によると、ハラスメントを受けても「相談せずに我慢した」という人が25%強も存在することが明らかになりました。社内窓口が機能せず、報復や不利益な取り扱いを恐れて沈黙する労働者の多さが浮き彫りになっています。
さらに注目すべきは、被害者が求める予防措置として「就業規則にハラスメント禁止と罰則を明記する(48.4%)」「法律で定義し、罰則付きで禁止する(45.3%)」という声が半数近くを占めたことです。
これは、被害者が単なる謝罪や配置転換ではなく、加害者に対する明確な制裁(罰則)と、再発を防ぐための強力なルールの介入を切実に望んでいることを示しています。
労災請求の過去最多更新と「法規制強化」への確実な足音
厚労省のデータによれば、2024年度の労災請求は過去最多となり、特に精神障害による労災認定が初めて1,000件を超え、ハラスメントによる労働者の健康被害は深刻さを増しています。
今回の全労連の要請は、労働界からの切実なSOSであると同時に、企業経営者への強い警告でもあります。ILO条約の批准と国内法の厳罰化は、世界的な潮流から見ても避けられない未来です。
「法律で罰則が定められてから動く」という受け身の姿勢では、すでに手遅れになります。企業は今すぐ、自社のハラスメント対策が「人権侵害を許さない」という厳しい基準に達しているかを点検しなければなりません。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点:法律に先んじて自社を守る3つのガバナンス
罰則付きの法律が制定される未来を見据え、人事・経営層が直ちに社内で進めるべき次の一手は以下の3つです。
- 就業規則における「ハラスメント禁止と懲戒基準」の厳格化:
法律を待たずとも、自社の就業規則においてハラスメント行為を明確に定義し、それに伴う厳正な処罰(降格や諭旨解雇など)の基準を明文化して全従業員に周知します。 - 「沈黙する被害者」を救う、独立した相談体制の構築:
「相談せずに我慢する25%」を救うため、社内の利害関係から完全に切り離された外部の専門窓口(弁護士や社会保険労務士など)を設置し、匿名性と不利益取扱いの絶対禁止を保証します。 - 経営層による「ゼロ・トランス(一切の妥協なし)」の宣言:
ハラスメントは個人のモラル問題ではなく「人権侵害」であるという認識をトップが示し、いかなる成績優秀者であってもハラスメントを行えば組織から排除するという強い姿勢を示します。
結語:厳罰化の流れは、組織の価値観をアップデートする最終通告
「この程度でハラスメントになるのか」「昔は普通だった」という言い訳は、今後のビジネス社会では一切通用しなくなります。全労連の要請が示す通り、労働者は明確な基準と罰則によって自らの人権が守られることを求めています。
自浄作用のない組織は、法律による裁きを受ける前に、人材の流出や社会的信用の失墜によって淘汰されるでしょう。法規制の強化を脅威と捉えるのではなく、自社のガバナンスをクリーンにし、働きがいのある職場へとアップデートする好機と捉えるべきです。
ハラスメントのない健全な職場環境をつくるために
法規制の強化や厳罰化の流れを前に、企業は自社のガバナンスを抜本的に見直す必要があります。一般社団法人クレア人財育英協会では、ハラスメントの未然防止と就業規則の適正な運用をサポートする専門家である「雇用クリーンプランナー(KCP)」の育成と認定を行っています。
「自社の就業規則を厳格化したい」「独立した相談窓口の運用方法を知りたい」とお考えの企業様は、ぜひ当協会の資格認定プログラムをご活用ください。
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