2026.10.12
SNSのカスハラ対策、従業員の情報が投稿されたときの初動と支援
この記事の結論:SNSのカスハラ対策では、従業員の情報が投稿されたとき、本人に反論や投稿の監視を任せきりにしないことが大切です。必要な記録を担当者が保存し、共有範囲を絞りながら、安全確認と削除等の相談を進めます。
- SNS上でも、言動の内容と就業環境への影響を確認する。
- 記録の保存と、社内でのむやみな拡散を分けて考える。
- 投稿への対応と、従業員への支援を並行して進める。
SNSのカスハラ対策を、店頭や電話と同じく組織の課題にする
徳島新聞の10月10日付社説は、公開部分でSNSに個人情報をさらす行為などに触れ、働き手を守る対策を論じています。厚生労働省の資料も、カスタマーハラスメントにはSNS等のインターネット上の言動が含まれると説明しています。
ただし、否定的な口コミや苦情がすべてカスハラになるわけではありません。要求や指摘の内容、手段、業務の事情、就業環境への影響を確認します。以下は、従業員の情報が投稿された際の初動について、本稿が提案する運用上の整理です。
投稿を見つけた人が全社員のチャットへ転送すると、守りたい情報まで広げてしまいます。まず責任者へ限定して知らせ、投稿先のURL、確認日時、表示内容などを必要な範囲で保存します。脅迫やつきまとい等の危険が疑われる場合は、安全確保と警察等への相談を優先します。
報道を踏まえ、企業で確認したい点を整理すると次のとおりです。以下は当協会の実務上の提案であり、報道された組織の実際の運用を示すものではありません。
| 確認する場面 | 見落としやすい点 | 整えたい対応 |
|---|---|---|
| 投稿を発見した | 本人が一人で監視し続ける | 担当者を決め、本人の安全と負担を確認する |
| 記録を共有する | 面白半分の転送や全社回覧が起きる | 閲覧できる人を必要な範囲に限定する |
| 削除や反論を検討する | 会社の返信で個人情報を追加する | 窓口を一本化し、運営者や専門家への相談を検討する |
投稿が消えたかだけで、対応を終わらせない
私たち一般社団法人クレア人財育英協会は、ハラスメントのない健全な職場環境づくりを推進する立場として、SNSの問題を広報だけに任せず、人事や現場責任者と連携して従業員を支えることを提案します。公開された情報の範囲や本人の不安によって、仕事上の配慮や連絡方法の見直しが必要になる場合があります。
削除の依頼や法的な対応の可否は、投稿内容や媒体によって異なります。必ず消せると約束せず、保存した情報を基にサービス運営者や専門家へ相談します。苦情に改善すべき内容が含まれる場合は、それも別途確認します。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点:発見から引継ぎまで、担当を決めておく
従業員が被害を証明し続けなければ支援されない、という運用にしないことが大切です。
- 連絡先を一つにする
投稿を発見した従業員が、誰へ連絡すればよいかを示します。休日や責任者不在時の連絡先も決め、本人へ直接返信するよう求めない方針を共有します。 - 必要な記録を守る
URL、確認日時、表示内容などを整理し、アクセスできる人と保存方法を決めます。私物端末への保存や不要な転送が続かないよう管理します。 - 支援を継続する
本人に希望を確認し、接客担当の調整や相談先の案内などを検討します。投稿対応の進捗を、伝えられる範囲で知らせ、本人が一人で状況確認を続けずに済むようにします。
情報の拡散を抑えながら、本人を孤立させない
SNSのカスハラ対策では、初動の記録、社内での情報管理、本人への支援をまとめて考えます。反論の速さだけを優先せず、誰が何を確認するかを明確にしましょう。
正当な指摘の検討と、従業員の情報をさらす言動への対応は分けて進められます。従業員が個人で背負わず、組織として対応する入口を整えることが重要です。
現場で使えるハラスメント対策を学ぶ
一般社団法人クレア人財育英協会では、職場のハラスメント防止に取り組む雇用クリーンプランナーの育成・認定を通じ、企業の継続的な職場環境づくりを支援しています。
相談対応や予防教育を担う人材を育て、社内の対策を実務につなげたいとお考えの企業様は、ぜひ当協会の資格認定プログラムをご活用ください。
