2026.10.09

介護のハラスメント対策、契約外の頼み事を職員だけで判断させないために

この記事の結論:介護のハラスメント対策では、サービスの範囲に関する説明を、個々の職員の断り方に任せないことが大切です。利用者の困りごとは受け止めつつ、契約上対応できることと難しいことを事業所として説明し、威圧や暴力などがある場合の安全確保も別に用意します。

  • 愛知県は10月8日、介護事業所の管理者等を対象とするハラスメント対策研修の案内を更新しました。
  • 契約外の依頼があったことだけで、利用者をハラスメントの加害者と決めつけません。
  • 職員ごとに回答が変わる状態を減らし、説明と調整を管理者が担います。

介護のハラスメント対策を、管理者の仕事として考える

愛知県の研修案内では、利用者や家族からの暴言・暴力、セクハラ、介護保険以外のサービスを求められることなどに触れ、管理者・リーダー層向けの研修を案内しています。職員の個人対応だけでなく、事業所として未然防止と発生直後の対応を整える視点が示されています。

現場では、「前の人はやってくれた」という言葉に職員が迷う場面があります。以前の対応の事情が共有されていないと、今回断る職員だけが冷たい人に見えてしまいます。まず、依頼内容、過去の説明、契約上の範囲を管理者が把握し、事業所としての回答をそろえることが必要です。

一方で、契約外のお願いが一度あっただけで、不当な要求と判断するのは早計です。サービスの範囲が伝わっていない場合や、生活上の別の支援が必要な場合も考えられます。依頼の内容と、威圧・暴力・執拗な言動などの態様を分け、必要に応じて関係機関との調整を検討します。

報道を踏まえ、企業で確認したい点を整理すると次のとおりです。以下は当協会の実務上の提案であり、報道された組織の実際の運用を示すものではありません。

確認する場面 見落としやすい点 整えたい対応
依頼を受けたとき 職員がその場で特別対応を約束する 内容と困りごとを聞き、事業所へ持ち帰る
対応範囲を説明するとき 担当者ごとに理由が変わる 契約や計画を踏まえ、管理者が説明をそろえる
危険を感じたとき 支援を続けるため我慢を求める 安全確保を優先し、応援・退避等の手順を使う

「断る研修」だけでは解決しない理由

私たち一般社団法人クレア人財育英協会は、ハラスメントのない健全な職場環境づくりを推進する立場として、職員が同じ説明をできるように、事業所側の判断と情報共有を整えることを重視します。断り方だけを練習しても、管理者が後から例外を認め続ければ、現場の説明は一貫しなくなります。

利用者の状態や必要な支援について専門的な検討が必要な場合は、関係職種と連携します。ハラスメント対策を理由に、一律にサービスを打ち切る運用にしてはいけません。安全と支援の継続を両立するため、個別事情を確認した上で対応を決めます。

雇用クリーンプランナー(KCP)の視点:迷いを事業所へ戻せる仕組みをつくる

以下は特定の施設の運用ではなく、管理者研修で扱える想定課題です。

  1. その場で約束しない言葉を用意する
    「事業所で確認して、改めてご説明します」と伝えるなど、職員が抱え込まない返答を練習します。返答後の連絡を放置しないよう、回答担当も決めます。
  2. 例外対応を記録する
    なぜ例外になったか、今回限りか、次回どう説明するかを記録します。個人の善意が継続的な約束と受け取られないようにします。
  3. 職員への支援も振り返る
    出来事の確認に加え、次の訪問への不安や勤務上の配慮が必要かを聞きます。困った職員を対応力不足と評価する前に、体制の問題を点検します。

利用者への説明と、職員への支援を同じ方針で進める

介護のハラスメント対策は、利用者と職員のどちらかを優先する二者択一ではありません。必要な支援を検討することと、職員に危険な言動への我慢を求めないことを同時に進める必要があります。

管理者が依頼内容と対応範囲を確認し、説明と調整を引き受けることで、現場職員の個人判断への依存を減らしていきましょう。

現場で使えるハラスメント対策を学ぶ

一般社団法人クレア人財育英協会では、職場のハラスメント防止に取り組む雇用クリーンプランナーの育成・認定を通じ、企業の継続的な職場環境づくりを支援しています。

相談対応や予防教育を担う人材を育て、社内の対策を実務につなげたいとお考えの企業様は、ぜひ当協会の資格認定プログラムをご活用ください。

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