2026.09.17
カスハラ対策義務化まで2週間、新潟の企業が「クレームとの違い」を学ぶ研修|線引きの基準を現場と共有する社内体制づくり|一般社団法人クレア人財育英協会
この記事の結論:UX新潟テレビ21は2026年9月15日、岩塚製菓グループの「里山元気ファーム」(新潟県長岡市)が、店舗での接客や電話対応を担当する社員を対象にカスタマーハラスメント(カスハラ)研修を行ったと報じました。10月1日から全ての事業主にカスハラ対策が義務付けられるなか、研修の最大のポイントは「正当なクレーム」と「カスハラ」の違いを明確にすることでした。企業は、現場任せにせず、線引きの基準と対応の手順を組織として言葉にし、社員と共有することが急務です。
- 岩塚製菓グループの里山元気ファームが、接客・電話対応を担う社員向けに、実際の事例をもとにしたカスハラ研修を実施しました。
- 講師は、商品やサービスへの指摘は「クレーム」、人や会社への攻撃は「カスハラ」と整理し、言い分が正しくても言い方ややり方がひどければカスハラになり得ると説明しました。
- 2026年10月1日から全ての事業主にカスハラ対策が義務化されるため、判断基準の明文化と周知が、企業規模を問わず求められます。
「言い分が正しくても、言い方がひどければカスハラ」研修で示された線引き
UX新潟テレビ21の報道によると、新潟県長岡市の岩塚製菓グループ「里山元気ファーム」で、店舗での接客や電話対応などを担当する社員を対象に、カスタマーハラスメントへの対応を学ぶ研修が行われました。講師はグローカルマーケティングのかんのゆうきさんで、実際にあった事例をもとに対応方法を学ぶ形式だったと伝えられています。
研修の中で講師は「お客さんの言い分が正しくてもその言い方ややり方がひどくて、働いている人が困ったり怖い思いをするなら、それはカスハラ」と説明しました。また、正当なクレームは「商品やサービスへの指摘」、カスハラは「人や会社に対しての攻撃」と整理し、「クレームとカスハラの違いが一番ポイントで、今日の研修をもとに自分たちがどうお客さんと接するべきなのかを明確に持った上で、お客さんに素晴らしいサービスを提供していただきたい」と語りました。
参加した社員からは「クレームとカスハラの曖昧だった部分が、今回の研修で明確になった」「いままでの自分の対応がどうだったかなと思い返すいい機会になった」との声が上がりました。報道は、10月1日から全ての事業主に対してカスハラ対策が義務化されることにも触れています。
研修で示された考え方を、企業が現場で使える形に整理すると以下の通りです。
| 区分 | 研修で示された考え方 | 企業・現場で求められる対応 |
|---|---|---|
| 正当なクレーム | 商品やサービスへの指摘。 | 改善につながる大切な声として受け止め、事実を確認したうえで誠実に対応する。 |
| カスタマーハラスメント | 人や会社に対しての攻撃。 | 担当者一人で抱え込ませず、上長への交代や組織としての対応に切り替える。 |
| 言い分は正しいが言い方・やり方がひどい場合 | 働いている人が困ったり怖い思いをするなら、カスハラになり得る。 | 「内容」と「手段」を分けて判断できるよう、基準を社内で言語化して共有する。 |
協会としての見解
私たち一般社団法人クレア人財育英協会は、ハラスメントのない健全な職場環境づくりを推進する立場として、義務化を目前に控えた時期に、現場の社員が「クレームとカスハラの違い」を具体的に学ぶ機会を設けた今回の取り組みを評価しています。お客様の声を大切にする姿勢と、働く人を守る姿勢は対立するものではなく、両立させるための共通言語をつくる取り組みといえます。
一方で、研修は出発点にすぎません。現場で迷いやすいのは、講師が指摘したように「言い分には一理あるが、言い方が威圧的」というケースです。その場で個々の社員に判断を委ねたままでは、我慢を重ねる人と早めに対応を打ち切る人とで対応がばらつき、結果として社員もお客様も不安を抱えることになります。研修で得た気づきを、方針・判断基準・対応手順・相談窓口という「仕組み」に落とし込むことが、10月1日以降の企業に求められる姿勢だと考えます。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点:研修の学びを「現場で迷わない仕組み」に変える3つのポイント
クレームとカスハラの線引きを、研修の一時的な気づきで終わらせないために、企業が整えておきたいポイントは以下の通りです。
- 「内容」と「手段」を分けた判断基準の明文化:
要求の中身が妥当かどうかと、言い方・時間・回数などの手段が社会通念上相当かどうかを分けて考える基準を文書にし、接客・電話対応を担う全員に周知します。自社の業態で起こりやすい場面を例示すると、現場で使いやすくなります。 - 一人で抱え込ませない対応フローと記録:
どの段階で上長に交代するか、どこで対応を打ち切るか、やり取りをどう記録するかを手順として定めます。記録は、社員を守るだけでなく、事後の検証や再発防止策の見直しにも役立ちます。 - 定期的な振り返りと相談窓口の整備:
研修後も事例を持ち寄って振り返る場を設け、基準を更新し続けます。あわせて、被害を受けた社員が安心して相談できる窓口と、相談者の不利益取り扱い禁止を明確にし、必要に応じてKCPなど外部の専門家と連携できる体制を整えます。
結語:お客様の声を大切にする会社ほど、線引きを言葉にする
「お客様の声には真摯に向き合う」という姿勢は、多くの企業が大切にしてきた価値観です。だからこそ、どこからが許されない攻撃なのかがあいまいなままだと、真面目な社員ほど無理を重ねてしまいます。今回の研修で参加者が「曖昧だった部分が明確になった」と語ったことは、線引きを言葉にすることが現場の安心につながることを示しています。
10月1日の義務化まで、残された時間はわずかです。企業規模や業種にかかわらず、自社にとってのクレームとカスハラの違いを定め、社員が迷わず動ける仕組みを整えることで、お客様にも働く人にも誠実な職場をつくっていきましょう。
クレームとカスハラの線引きを、組織の仕組みとして定着させるために
正当なクレームとカスタマーハラスメントの境界があいまいなままでは、現場の社員が判断に迷って無理な対応を重ね、心身の不調や離職につながるおそれがあります。一般社団法人クレア人財育英協会では、ハラスメント撲滅のための啓蒙活動の一環として、カスハラの判断基準づくりや対応フローの整備、社内研修の企画、相談窓口の運用をサポートする専門家「雇用クリーンプランナー(KCP)」の育成と認定を行っています。
「10月1日の義務化に向けて、自社のカスハラ判断基準を整えたい」「研修で終わらせず、現場で使える対応手順と相談体制をつくりたい」とお考えの企業様は、ぜひ当協会の資格認定プログラムをご活用ください。
