2026.09.07

企業の人事白書調査レポート2026で判明したカスタマーハラスメント(カスハラ)対策の実態と中小企業の課題|一般社団法人クレア人財育英協会

この記事の結論:株式会社日本の人事部が実施した「人事白書2026」の調査において、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策に取り組んでいる企業が全体の約3割に留まり、特に企業規模によって対応に大きな格差が生じている実態が明らかになりました。大企業で対策が進む一方、中小企業では「取り組む予定はない」という回答も一定数見られます。法改正による対策義務化が迫る中、企業は規模の大小を問わず、現場で働く従業員を守り抜くための客観的で実効性のある体制づくりを急ぐ必要があります。

  • カスハラ対策に「取り組んでいる」企業は全体の31.6%であり、小売やサービス業で比較的高い傾向がある。
  • 5001人以上の大企業では約6割が対策済みだが、1~100人の中小企業では約15%にとどまっている。
  • 人材定着とサービス品質の維持のため、中小企業こそ外部リソースを活用した組織的防衛が求められる。

企業規模によって二極化するカスタマーハラスメント対策

顧客等からの著しい迷惑行為である「カスタマーハラスメント(カスハラ)」への対応は、今日の企業経営において避けて通れない重要な人事課題です。株式会社日本の人事部が発表した「人事白書調査レポート2026」によると、カスハラ対策に「取り組んでいる」と回答した企業は全体の31.6%でした。

業種別に見ると、顧客との接点が多い「小売・流通・商社(48.0%)」や「サービス(40.0%)」での取り組みが進んでいます。しかし、ここで注視すべきは「従業員規模による対策の格差」です。調査結果から読み取れる、現代の企業が直面している構造的な課題は以下の通りです。

調査から見えた組織課題 企業規模による実態の違い 職場環境への影響とリスク
対策の進捗格差 5001人以上の企業は57.1%が対策済みだが、1~100人規模では15.7%にとどまる。 中小企業で働く従業員が矢面に立たされやすく、心身の疲弊から早期離職を招きやすい。
対策への意識の低迷 1~100人規模の企業では「取り組む予定はない」が35.5%に上る。 顧客至上主義から脱却できず、社会的なコンプライアンス要請から取り残される。
リソースの不足 専任の法務や相談窓口を持たない企業が多く、現場の個人の対応力に依存しがちである。 悪質なクレームに対し組織的な防波堤が築けず、従業員の心理的安全性が確保できない。

中小企業こそ求められる「組織としての防衛線」

私たち一般社団法人クレア人財育英協会は、ハラスメントのない健全な職場環境づくりを推進する立場として、中小企業におけるカスハラ対策の遅れに強い危機感を持っています。

「お客様からのクレームは貴重なご意見である」「波風を立てずに現場でうまく収めてほしい」。こうした従来の価値観を持ったままでは、過激化するハラスメントから従業員を守ることはできません。特に人員の限られた中小企業において、一人の従業員がカスハラによって休職や退職に追い込まれることは、組織全体の事業継続に関わる致命的なダメージとなります。

社内に専門部署を設けることが難しい場合であっても、ルールを明確化し、いざという時に外部の専門家と連携できる仕組みをあらかじめ整えておくことが、従業員に対する「会社が盾になって守る」という強いメッセージとなります。

雇用クリーンプランナー(KCP)の視点:企業規模を問わない実効的なカスハラ対策

従業員の尊厳を守り、持続可能な企業経営を実現するために、経営層が優先して整備すべき体制のポイントは以下の通りです。

  1. 「対応を打ち切る客観的基準」の明文化:
    暴言や不当な要求、長時間の拘束など、どのラインを越えれば「サービス提供を拒否する」のかを客観的に定義し、現場の従業員が迷わず対応を打ち切れる権限を付与します。
  2. 現場を孤立させない「エスカレーション体制」の構築:
    トラブル発生時、担当者個人で抱え込まずに直ちに管理者へと対応を引き継ぎ、組織全体で問題に対処するフローをルール化します。
  3. リソース不足を補う「外部専門家(KCP・弁護士等)との連携」:
    社内での対応が困難な悪質事案に対し、速やかに相談・移行できる外部機関との連携ルートを確保し、法的な根拠に基づいた客観的な防衛ラインを構築します。

結語:従業員を守る姿勢が、企業の未来を左右する

カスタマーハラスメント対策は、単なる法対応やリスク管理の一環にとどまりません。自社で働く人々の尊厳と心理的安全性をいかに守り抜くかという、企業の理念と姿勢そのものが問われる重要な取り組みです。

規模の大小にかかわらず、従業員を大切にする企業は、結果として質の高いサービスを提供し、社会からの厚い信頼を獲得することができます。来るべき義務化を見据え、社会全体でハラスメントを許さない健全な職場環境づくりを進めてまいりましょう。

ハラスメントのない健全な職場環境をつくるために

カスタマーハラスメント対策は、専任部署を持たない企業にとってはハードルが高く感じられがちですが、放置すれば優秀な人材の流出を招く重大なリスクとなります。一般社団法人クレア人財育英協会では、ハラスメント撲滅のための啓蒙活動の一環として、企業規模に応じた客観的な対応ルールの策定や、従業員を守るための外部連携体制の構築をサポートする専門家「雇用クリーンプランナー(KCP)」の育成と認定を行っています。

「従業員をカスハラから守るための具体的なガイドラインを整備したい」「社内のリソース不足を補う、客観的な外部の支援体制を導入したい」とお考えの企業様は、ぜひ当協会の資格認定プログラムをご活用ください。

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