2026.08.26

首長や議員を対象としたハラスメント条例が拡大。組織のトップを規定する外部ガバナンスの重要性|一般社団法人クレア人財育英協会

この記事の結論:全国の172自治体において、首長や議員などの特別職を対象としたハラスメント防止条例が制定されていることが明らかになりました。これまで多くの組織では、ハラスメント規制や相談窓口の対象が一般職員に限定されており、人事権や強い影響力を持つトップの行為に対する自浄作用が機能しにくい課題がありました。この条例制定の動きは、組織のトップであっても例外なくルールを適用し、外部相談窓口や公表規定を設けることで、実効性のある健全な職場環境を構築するための重要なステップと言えます。

  • 全国172自治体で特別職(首長や議員など)を対象としたハラスメント防止条例が制定されている。
  • 既存の規制や窓口は一般職のみを対象としており、トップによる問題に対応できない構造的課題があった。
  • 外部相談窓口の設置や事実確認時の公表など、客観性を担保するルールの整備が急務となっている。

既存のルールの限界と、広がる条例制定の動き

一般財団法人「地方自治研究機構」のまとめにより、自治体の首長や議員といった特別職によるハラスメントを防ぐための条例が、全国で広がりを見せていることが分かりました。2018年に東京都狛江市で初めて制定されて以降、近年その動きは加速し、現在では都道府県レベルでも導入が始まっています。

この背景には、首長や議員といった強い権限を持つ立場からのハラスメント事案が相次ぐ一方で、既存のコンプライアンス体制が十分に機能してこなかった実態があります。組織において、トップに対するガバナンスを効かせることがなぜ難しいのか、その構造的な課題は以下の通りです。

トップに対するガバナンスの課題 既存体制における実態 組織環境への影響
規制対象の非対称性 ハラスメント防止規程や相談窓口が一般職員のみを想定して作られていることが多い。 トップが加害者となった場合に対応する根拠がなく、被害が長期化・潜在化しやすい。
内部窓口の機能不全 人事権や評価権限を握るトップに対し、内部の担当部署が調査や是正指導を行うことは困難である。 被害者が報復を恐れて声を上げられず、組織の自浄作用が失われる。
責任所在の曖昧さ トップの行為を客観的に認定し、処分や公表を行う明確なプロセスが確立されていない。 問題が発覚しても事勿れ主義で処理されやすく、組織に対する社会からの信頼が低下する。

組織のトップを対象とした実効性ある体制づくりへ

私たち一般社団法人クレア人財育英協会は、ハラスメントのない健全な職場環境づくりを推進する立場として、こうした特別職を対象としたルールの整備を高く評価しています。ルールは、組織内のすべての人が等しく守るべきものであり、権限の強さに応じて例外が設けられるべきではありません。

今回各地で制定されている条例では、「外部に相談窓口を設けること」や「ハラスメントが確認された場合の公表」といった、客観性と透明性を担保する規定が盛り込まれています。内部の力関係に影響されない外部機関の介入や、事実を社会に明らかにする仕組みは、トップに対する抑止力として非常に効果的です。これは自治体に限らず、民間企業の経営層に対しても共通して求められるガバナンスのあり方と言えます。

雇用クリーンプランナー(KCP)の視点:トップの適正な業務運営を支えるガバナンス

組織のトップや役員によるハラスメントを防ぎ、すべての職員が安心して働ける環境を構築するために、経営層や管理部門が整備すべき体制のポイントは以下の通りです。

  1. 経営層・トップを明記した「ハラスメント防止規程」の策定:
    一般従業員だけでなく、社長や役員、特別職も含めたすべての構成員を対象とし、いかなる立場であってもハラスメント行為が許されない旨を規程に明文化します。
  2. 独立性を担保した「完全外部の相談・通報ルート」の確立:
    トップへの通報が内部で握りつぶされることを防ぐため、人事部や監査役を経由せず、KCPや外部弁護士等の専門機関へ直接繋がり、匿名性が保護される窓口を設置します。
  3. 事実認定と公表に関する「客観的なプロセスの制度化」:
    事案が発生した際、利害関係のない第三者委員会によって速やかに事実調査を行い、認定された場合には規定に基づき透明性をもって結果を公表する仕組みを整えます。

結語:すべての人が安心して働ける職場を目指して

トップや指導的立場にある人々は、組織を牽引し、社会的責任を果たす重要な役割を担っています。だからこそ、その高い権限に見合った厳格な倫理基準と、それを支える客観的なルールが不可欠です。

特別職を対象とした条例の広がりは、立場の違いを問わず、働くすべての人の尊厳が守られなければならないという社会的な意識の表れです。自治体だけでなく、すべての組織において、内部の力関係に依存しない実効性のあるガバナンス体制を構築し、健全で風通しの良い職場環境づくりを進めていくことが求められています。

ハラスメントのない健全な職場環境をつくるために

経営層や特別職といった強い権限を持つ立場によるハラスメントは、社内の内部窓口や既存の規定だけでは対応が難しく、組織の信頼を大きく損なうリスクを抱えています。一般社団法人クレア人財育英協会では、ハラスメント撲滅のための啓蒙活動の一環として、トップを含めたすべての構成員を対象とする客観的な対応基準の策定や、外部機関と連携した実効性のある監査体制の構築をサポートする専門家「雇用クリーンプランナー(KCP)」の育成と認定を行っています。

「経営層も含めた、透明性のある実効的なハラスメント対策を整備したい」「内部の力関係に影響されない、独立した相談・監査体制を導入したい」とお考えの組織・企業様は、ぜひ当協会の資格認定プログラムをご活用ください。

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