2026.07.13
8割の企業がカスハラ未対策。石川県の調査が浮き彫りにした「手が回らない」という中小企業の怠慢と義務化へのカウントダウン|一般社団法人クレア人財育英協会
この記事の結論:石川県が実施した大規模調査により、企業や従業員の約2割がカスタマーハラスメント(カスハラ)被害を経験しているにもかかわらず、約8割の企業が未対策であることが判明しました。2026年10月から法改正によって事業主のカスハラ対策が義務化される中、「日々の業務で手が回らない」という中小企業の言い訳は法的に通用せず、専門家(外部機関)の伴走支援による冷徹なシステム構築が急務となっています。
- 石川県内の企業1500社、従業員3千人を対象とした調査で、カスハラの深刻な実態が可視化
- 暴言や恫喝だけでなく、介護現場における暴力やセクハラといった犯罪行為に近い被害も散見
- 人手不足を言い訳にせず、専門家の知見を活用して実効性のある防衛ラインを構築するKCPの視点
石川県内のカスハラ実態調査。2割が被害経験、8割が未対策という乖離
石川県は7月10日、カスタマーハラスメント対策を検討する有識者会議を発足させました。この会議の背景には、県が今年1月から2月にかけて県内1500社とその従業員3000人を対象に実施した大規模な実態調査の深刻な結果があります。
調査結果によれば、事業者および従業員の約2割が「カスハラがある」と回答。大声での恫喝や一方的なクレームが横行しており、特に訪問介護の現場では「身体を密着させるセクハラ」や「物を投げる暴力」といった悪質な被害が報告されています。一方で、カスハラ対策については「実施していない」「把握していない」を合わせると全体の約8割に上ることが判明しました。10月に迫る法改正に向けた課題は以下の通りです。
| 現状の課題とファクト | 企業(現場)で起きている事象 | 法改正(10月義務化)に伴うリスク |
|---|---|---|
| 対策の圧倒的な遅れ | 被害が約2割に上る一方で、約8割の事業者が無防備な状態を放置している | 労働施策総合推進法の改正により、対策の未実施自体が法令違反(行政指導対象)となる。 |
| 中小企業のリソース不足 | 「経営者や総務が日々の業務を抱え、対策に手が回らない」という悲鳴 | 人手不足を理由とした安全配慮義務の放棄は認められず、損害賠償請求の対象となり得る。 |
| 現場への暴力・セクハラ | 訪問介護等での身体的密着、暴力、理不尽な暴言による精神的苦痛 | 従業員の適応障害や大量離職に直結し、事業継続そのものが不可能になる致命的ダメージ。 |
問題の核心:「忙しいから」は現場をサンドバッグにする免罪符にはならない
企業の人事や経営層がこのニュースから直視すべき最大の恐怖は、自社の従業員が顧客からの暴力や暴言にさらされている現実を前にして、多くの経営者が「忙しくて手が回らない」と放置を正当化している事実です。
有識者会議で経済団体が指摘した通り、中小企業の総務や経営陣が多忙であることは事実でしょう。しかし、経営側が対策を先送りしているこの瞬間にも、現場の従業員は理不尽な顧客対応に疲弊し、心を病んでいます。「お客様だから仕方ない」「人手がないから自分でなんとかしてくれ」と現場をクレームの盾にする企業は、10月の義務化を待たずして優秀な人材から見捨てられ、人手不足倒産という末路を辿ることになります。
民間企業への警鐘:自社で解決できないなら、外部の専門家を使え
2026年10月から施行されるカスハラ対策の義務化は、「努力目標」ではなく「法定義務」です。「ノウハウがない」「専任の担当者がいない」という言い訳は、もはや労働基準監督署にも、被害を受けた従業員にも通用しません。
自社のリソースだけでマニュアル作成や対応フローの構築が不可能なのであれば、経済団体が求めたように「専門家による伴走支援」を外部から導入するしかありません。従業員の命と尊厳を守るための投資を渋る企業に、生き残る資格はないのです。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点:中小企業を守る実効性あるガバナンス
リソースが不足する中小企業が、10月の義務化に適合し従業員を守り抜くために導入すべき3つの仕組みは以下の通りです。
- 外部専門家を活用した「対応打ち切りマニュアル」の標準化:
自社でゼロから作成するのではなく、KCPなどの外部専門家が持つ知見を活用し、暴力やセクハラが発生した際に現場が即座に対応を打ち切るための客観的基準(マニュアル)を最短で導入します。 - 「経営者直結」または「外部窓口」への即時エスカレーション:
中間管理職に余裕がない中小企業だからこそ、悪質なカスハラが発生した場合は、現場で抱え込まずに経営トップや提携する外部の専門窓口へ直接引き継ぐホットライン体制を構築します。 - 契約書や店舗掲示による「カスハラ拒否」の事前通告:
取引先との契約書や店舗の入り口に、厚労省指針に基づく「カスタマーハラスメントに対する行動指針」を明記・掲示し、理不尽な要求に対しては法的にサービスを停止する防衛ラインを敷きます。
結語:従業員を守るシステムが、企業の持続可能性を決める
石川県の調査が示した「8割の未対策」という現実は、日本全国の多くの中小企業が抱える爆弾です。
義務化のタイムリミットは目前に迫っています。「手が回らない」と嘆くのではなく、外部の知見を借りてでも、自社の従業員を理不尽な暴力から守る冷徹なシステムを直ちに構築すること。経営者のその覚悟と決断だけが、コンプライアンス時代における企業の未来を切り拓くのです。
ハラスメントのない健全な職場環境をつくるために
2026年10月のカスタマーハラスメント対策義務化に向け、中小企業が自社のみで法的な防衛ラインを構築することは困難を極めます。一般社団法人クレア人財育英協会では、リソースが不足する企業に対し、外部専門家として実効性のある対応マニュアルの策定やエスカレーション体制の構築を伴走支援する「雇用クリーンプランナー(KCP)」の育成と認定を行っています。
「義務化に向けて何から始めればいいか分からない」「専門家の知見を借りて従業員を守る仕組みを作りたい」とお考えの企業様は、ぜひ当協会の資格認定プログラムをご活用ください。
