2026.07.07
知事・議員をハラスメント対策の対象へ。連合鳥取の要請が示す「特別職」というガバナンスの盲点|一般社団法人クレア人財育英協会
この記事の結論:連合鳥取が鳥取県に対し、知事や県議といった特別職による職員へのハラスメント対策を申し入れた動きは、組織の統治構造における決定的な死角を突いています。一般の労働法や人事規程では裁けない「選挙で選ばれた権力者」の暴走を止めるには、形だけの県民運動やスローガンではなく、外部の独立した監査・処分プロセスをルール化する冷徹なガバナンスが不可欠です。
- 連合鳥取が鳥取県と鳥取労働局に男女平等平等参画社会の実現に向けた要請書を提出
- 知事や県議による県職員へのハラスメント対策、および「カスハラ防止条例」の制定検討を要求
- 「一緒に県民運動を展開したい」という行政の対話姿勢に潜む、実効性なき精神論への懸念とKCPの視点
連合鳥取による鳥取県への要請。特別職のハラスメント対策を明記
連合鳥取は、雇用や労働のさまざまな分野における男女平等参画社会の実現に向け、鳥取県および鳥取労働局に対して具体的な要請書を提出しました。
北畑仁史会長が鳥取県庁を訪れ、平井伸治知事に直接手渡した要請書には、女性管理職の積極登用や非常勤職員の処遇改善に加え、組織ガバナンスにおける極めて重要な項目が盛り込まれました。それは、顧客からの暴言等を防ぐ「カスタマーハラスメント防止条例」の制定検討と、知事や県議といった「特別職」による県職員へのハラスメント対策の構築です。鳥取県におけるハラスメントおよびダイバーシティを巡るファクトは以下の通りです。
| 要請・施策の項目 | 具体的な内容とファクト | 組織統治(ガバナンス)における重要性 |
|---|---|---|
| 特別職へのハラスメント対策 | 知事や県議(特別職)から一般県職員への権力乱用・嫌がらせの防止 | 一般の就業規則や人事権が及ばない最高権力者を対象とする、ガバナンスの最難関。 |
| 外部ハラスメント対策 | サービス相手からの過剰要求や暴言を防ぐ「カスハラ防止条例」の制定検討 | 2026年10月のカスハラ義務化を見据えた、自治体レベルでの法的防衛ラインの構築。 |
| ダイバーシティ推進 | 女性登用の行動計画作成、とっとり安心ファミリーシップ制度の理解促進 | 固定的な性別役割分担意識(アンコンシャス・バイアス)を排除する組織環境の整備。 |
問題の核心:「選挙で選ばれた強者」を身内の人事では裁けない
公共機関であれ民間企業であれ、組織の人事部門が直面する最大の壁は、「自らの人事権を握るトップ、あるいは外部の強力な権力者」へのハラスメント対応です。
地方自治体において、知事や議員は「特別職」であり、一般の公務員法や人事院勧告の懲戒基準がそのまま適用されにくい特殊な地位にあります。選挙によって有権者から付託されたという大義名分(特権意識)があるため、現場の職員への威圧的な言動や暴言があっても、身内の人事課や相談窓口は忖度と報復の恐怖から機能不全に陥ります。「知事自身もハラスメント対策の対象にせよ」という連合鳥取の申し入れは、この治外法権化しやすい権力構造の歪みを真っ向から指し示しています。
民間企業への警鐘:「県民運動」という美名に隠された思考停止
知事は連合の要請に対し、「一緒に県民運動を展開できれば。我々も働きやすい職場づくりにモデル的に取り組みたい」と応じました。県は5月から商工・農業・女性団体等と連動した県民運動をスタートさせ、女性登用の目標を掲げた企業への補助金交付などを進めています。
しかし、民間企業の経営層が留意すべきは、「運動」や「啓発」といった綺麗事のスローガンを連呼することで、本質的なガバナンスの構築から逃げてはならないという点です。アンコンシャス・バイアスの解消を呼びかけることは重要ですが、トップ自身の暴走を止める独立した通報・処分システム(仕組み)がなければ、どのような運動もただのポーズ(やってる感)で終わります。必要なのは、モデルを示すことではなく、自らを縛る冷徹なルールを執行することです。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点:最高権力者を制御する独立監査ルート
組織のトップや外部の権力者を聖域化せず、職員の安全と尊厳をシステムで守るために導入すべき3つのガバナンスは以下の通りです。
- 利害関係のない「完全外部の第三者通報窓口」の設置:
知事や役員、外部議員からのハラスメント被害を、社内の人事を通さず、外部の弁護士やKCPなどの専門家が直接受理して事実調査を行う独立ルートを確立します。 - 「カスハラ・組織外権力者」への対応打ち切り約款の整備:
民間企業における過剰な要求(カスハラ)や、自治体における議員からの不当な圧力に対し、組織として公式に対応を打ち切り、法務部門へ引き継ぐ基準をマニュアル化します。 - スローガンに頼らない「行動計画の数値管理と執行」:
女性登用やハラスメント防止を意識啓発で終わらせず、達成すべき数値目標と、違反した際のペナルティを就業規則レベルで厳格に連動させるシステムを構築します。
結語:自らの首に冷徹なルールの縄をかけられるか
「働きやすい職場のモデルになる」という言葉を形骸化させないためには、経営トップや知事自身が調査対象となり得る仕組みを受け入れる必要があります。
組織の平穏は、美しい県民運動のスローガンではなく、権力者を聖域にしない冷徹な仕組みによってのみ担保されます。自らの首に鈴をつけ、外部からの客観的な監査をシステムとして組み込むこと。その透明性のある覚悟こそが、これからの時代に選ばれる組織の絶対条件なのです。
ハラスメントのない健全な職場環境をつくるために
知事や役員などの「特別職」や、顧客からのカスタマーハラスメントは、社内の一般的な人事機能では防ぎきれないガバナンスの死角です。一般社団法人クレア人財育英協会では、精神論の啓発活動から脱却し、外部の独立した視点で権力構造を監視・是正する専門家である「雇用クリーンプランナー(KCP)」の育成と認定を行っています。
「トップの暴走を止める実効性のある監査システムを導入したい」「2026年のカスハラ義務化に合わせたルールを整備したい」とお考えの企業様や団体様は、ぜひ当協会の資格認定プログラムをご活用ください。
