2026.03.08
黒部市市長によるパワハラアンケート調査、管理職43%が被害回答。特別職だけ外れる制度の空白|一般社団法人クレア人財育英協会
【出典】「大声の時点でパワハラ」専門家が指摘 問われる“指導とハラスメント”の境界線 アンケートで管理職4割が被害訴えも…本人は否定 富山・黒部市
黒部市 市長パワハラアンケート 管理職49人中27人が被害回答
富山県黒部市では、管理職を対象にした無記名アンケート調査で、武隈義一市長から「パワハラを受けた」と回答した人が27人にのぼったと報じられています。
対象は管理職63人で、49人が回答しました。「受けた」との回答は、回答者の55%、管理職全体の43%に当たるとされています。
また、「部下や同僚がパワハラを受ける場面に居合わせた」と答えた人は29人で、回答者の59%、管理職全体の46%だったとされています。
2025年12月の報告を受け、2026年2月に管理職調査
記事によると、黒部市では2025年12月の定期調査でも、市長からのパワハラ被害を訴える報告が相次いだとされています。
これを受け、2026年2月上旬に総務管理部長が管理職を対象に無記名アンケートを実施したとされています。
市の総務管理部は2月16日、調査結果を受けて市長に対し、職員のワークライフバランスを尊重した執務マネジメントの徹底や、迅速かつ確実な決裁などを申し入れたとされています。
ペットボトル投げつけ謝罪後も、恐怖が消えていないという問い
武隈市長は、2023年3月、市役所内の打ち合わせスペースのパーティションに、飲料が入った状態のペットボトルを投げつけて破損させたとして謝罪していました。
今回の記事では、その後も職員の恐怖心が拭えていないのではないかという問いが向けられています。市長は、市を良くしたい思いが強く表に出過ぎる面があるのではないかと説明したとされています。
また、去年夏には総務課が市長に改善を申し入れ、市長は怒りの感情をコントロールするアンガーマネジメントの研修を受けたとされています。
武隈市長は大声を認める一方、「指導の範囲内」と説明
市長は会見で、大きな声を出したことはあったと思うと述べる一方、パワハラについては否定しています。
記事では、アンケートで具体的な行為として多かった回答に、勤務時間外に何度も呼び出されること、文書の決裁が遅いこと、大声を上げて怒鳴られることが挙げられています。
これに対し市長は、時間外に呼び出したことはほぼないと思うとし、大声についても人を罵倒するような言葉は使っていないとの認識を示したとされています。
一方で、厚生労働省のパワハラ定義として、優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超え、就業環境を害するもの、という3要素が紹介されています。
専門家は「大声の時点でパワハラ該当の可能性が高い」と指摘
記事では、日本ハラスメント協会の代表理事が、大声を出している時点でパワハラに該当する可能性が非常に高いと指摘しています。
さらに、今回のアンケートで「現場にいた」という第三者の回答が多いことも、行き過ぎた言動だったことを示す判断材料になりやすいと説明したとされています。
信頼回復に向けては、全面的に振り返り、改善に向けて職務を全うするという宣言を、職員だけでなく広く社会に向けて示すことが望ましいとの見解も示されています。
特別職が対象外 自治体トップのハラスメントが制度の外に置かれる
黒部市によると、役所内のハラスメントは委員会が調査して処分を行うものの、市長や副市長などの特別職は対象外とされています。
富山県でも、職員によるハラスメントの処分基準はある一方、対象は一般職に限られるとされています。知事などの特別職については、その基準を参考に対応するものの、前例がないため分からないとの説明も紹介されています。
記事では、県内では氷見市が政治倫理条例で市長のコンプライアンス違反に対する審査をルール化し、射水市でも特別職のハラスメント対策について条例化などを検討する動きがあると伝えています。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点 トップのハラスメントほど外部導線が要る
ここで露出したのは、個人の気質だけではありません。首長のような特別職が制度の外に置かれると、相談は「言った側が不利になる賭け」になります。処分だけでは戻らず、運用で決まります。
次の一手は3つです。
①初動:被害申告や目撃情報が出た時点で、面談メモを残し、必要に応じて記録・録音も含めて事実を固定します。総務や管理職だけで抱え込まず、即時にエスカレーションできる導線を作ります。
②通報設計:相談窓口と内部通報を、首長や副市長の案件でも使える状態にします。不利益取扱い禁止を明文化し、必要に応じて第三者委員会や外部窓口につなぐ手順まで定めます。
③再発防止:特別職も対象に入る条例や内部規程を整えます。心理的安全性と安全配慮義務は、一般職だけを対象にしても守れません。権限の強い側まで射程に入れて初めて機能します。
結語 「熱意」と「権限」が混ざる時、組織は黙る
市を良くしたいという思いは、強い言葉の免罪符にはなりません。熱意が権限と結びついた瞬間、部下は反論ではなく沈黙で身を守ります。
判断軸は、「罵倒したか」だけではありません。大声、時間外の呼び出し、決裁の遅れ、恐怖の蓄積を、制度が拾えるかどうかです。トップだけ制度の外に置いたままでは、ハラスメント対策は最初から半分壊れています。
