2026.04.07

福井県のコンプライアンス推進本部が始動。「今も悩む」職員507人を前に個別事案を扱わない重さ|一般社団法人クレア人財育英協会

【出典】「現在もハラスメントに悩んでいる」県職員262人、教職員245人の福井県 コンプライアンス推進本部が始動 個別の事案は扱わず…各部局の取り組みなど確認へ


福井県のコンプライアンス推進本部が始動 県庁のハラスメント防止を点検へ

福井県庁内のハラスメント防止に向けて設置されたコンプライアンス推進本部の初会議が4月6日に行われたと報じられています。

この推進本部は、前知事のセクハラ問題を受けて今年度から新たに設置されたもので、ハラスメント防止や法令・規則の順守に向けた取り組みと、その進み具合を確認する役割を担うとされています。


初会議には知事ら17人が出席 3つの指示が出された

初会議には、本部長を務める石田知事をはじめ部局長ら17人が出席したとされています。

この中で石田知事は、①外部相談窓口の周知徹底 ②風通しの良い職場づくり ③部局独自の取り組みの実践、の3点を指示したと報じられています。

石田知事は、県庁が本気で変わるスタート地点にしたいと述べ、コンプライアンスが特別な取り組みではなく当たり前の行動として根付くよう、全庁一丸で取り組みたいと語ったとされています。


実態調査では県職員262人、教職員245人が「現在も悩んでいる」と回答

一方で、前知事のセクハラ問題を受けて2月に行われた全庁的な実態調査では、県職員262人、教職員245人が「現在もハラスメントに悩んでいる」と回答していると報じられています。

数字は軽くありません。過去の問題が終わったのではなく、現在進行形で職場の中に残っていることを示しているからです。


個別事案は扱わない方針 ここに制度の限界も露出した

記事では、推進本部会議では個別の事案は取り扱わないとの方針が示され、石田知事らがこの問題に言及することはなかったと伝えています。

ここが一番重いです。全庁的な取り組みを進める会議でありながら、今も悩んでいる人たちの個別の痛みは議題に乗らない。制度の整備と、目の前の被害救済が別回線で動いていることがはっきり出ています。


論点 組織改革は「本気で変わる」と言うことではなく、痛みをどう扱うかで決まる

コンプライアンス推進本部の設置自体は前進です。外部相談窓口、風通しの良い職場、部局独自の取り組み。方向としては間違っていません。

ただ、507人が今も悩んでいると答えているなら、問われるのは理念ではなく接続です。全庁方針と個別救済が切れたままなら、組織は「変わる姿勢」を示せても、「守る機能」は持てません。


雇用クリーンプランナー(KCP)の視点 全庁方針と個別救済を切り離さない

この件の核心は、推進本部を作ったことではありません。今も苦しんでいる職員が、その制度につながれるかどうかです。ここも運用で決まります。

次の一手は3つです。
①初動:実態調査で「現在も悩んでいる」と出た回答は、集計で終わらせず、外部相談窓口や内部通報に確実につなげます。数字を出しただけで満足すると、被害は統計に回収されます。
②通報設計:個別事案を推進本部で扱わないなら、別ルートの救済導線を明確に示す必要があります。不利益取扱い禁止、守秘、対応期限まで具体化しないと、窓口は飾りになります。
③再発防止:部局独自の取り組みを任せるだけでなく、職場アンケート、管理職研修、改善の進捗確認まで回します。心理的安全性と安全配慮義務は、会議体の設置ではなく、相談後に何が変わったかで判断されます。


結語 507人の声を「参考データ」にしたままでは、県庁は変わらない

本気で変わると言うのは簡単です。難しいのは、その言葉を、今も悩んでいる人の救済に接続することです。

判断軸は単純です。会議を開いたかではありません。声を上げた人が、実際に守られる通路があるかどうかです。個別事案を扱わないなら、その代わりに何で救うのかを示さなければ、改革は看板で止まります。

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