2026.04.04

毎日新聞社の元取締役セクハラ公表。キスより深刻だった「相談が共有されない組織」の失敗|一般社団法人クレア人財育英協会

【出典】元毎日新聞社取締役がセクハラ


毎日新聞社が元取締役のセクハラ調査結果を公表

毎日新聞社は、約10年前に元男性取締役が、同社で就労していた女性に対して不適切な性的接触を行ったとする調査結果を公表しました。

問題が起きたのは、懇親会終了後に帰宅する途中のタクシー車内です。相手の意に反してキスをするなどの行為があったと申告されました。


元取締役は「酔っていて覚えていない」と説明 それでも調査は一定の真実性を認定

毎日新聞社は、外部専門家の協力を得ながら事実関係を調査したとしています。

その結果、元取締役は当時飲酒しており「酔っていて覚えていない」と説明した一方、女性の訴えには一定の真実性があり、女性の意に反してキスをするなど不適切な性的接触があったと判断しました。

ここで重いのは、加害側が記憶を失っていても、組織はそこで止まらず、行為の有無を調べ切る責任を負うという点です。


より深刻だったのは、相談が共有されず組織が動かなかったこと

今回の公表で特に重いのは、当時の会社対応です。

毎日新聞社は、女性の上司らが被害相談を受けていたにもかかわらず、女性が相談窓口に訴えるつもりはないと認識していたため、相談内容が人事部門などに共有されず、会社として組織的な対応ができなかったと確認したとしています。

さらに、女性は相談窓口の案内を受けなかったという認識だとされています。つまり、被害が起きたことだけでなく、被害が届いていたのに組織の中で止まったことが、二重の問題として露出しました。


再発防止策 研修、アンケート、規定見直し、相談窓口の周知強化へ

毎日新聞社は、被害相談を受けた場合の対応も含めた役員・社員向けの定期研修、ハラスメントに関する定期的な社内アンケート調査、ハラスメント防止規定の見直し、企業理念や社内外の相談窓口の周知徹底を強化するとしています。

また、性加害行為を含むあらゆるハラスメントを許さないことを改めて宣言し、社内で同種事案が発生しないよう取り組みを進めるとしています。


論点 加害行為より先に、組織の不作為が人を追い込むことがある

セクハラ事案では、行為そのものに目が向きがちです。ですが、職場をもっと深く壊すのは、相談したのに共有されない、案内されない、動いてもらえないという組織の不作為です。

被害者にとって本当に重いのは、嫌な目に遭ったことだけではありません。その後も、組織が自分を守る側に立たないと知ってしまうことです。


雇用クリーンプランナー(KCP)の視点 相談を「受けた人」で止めない仕組みが要る

この件の核心は、セクハラの有無だけではありません。相談が上司のところで止まり、人事部門や正式な相談ルートにつながらなかったことです。ここも運用で決まります。

次の一手は3つです。
①初動:被害相談を受けた時点で、日時、場所、行為内容、相談者の状態を整理し、必要に応じて記録を固定します。「本人が大ごとにしたくないようだから」と独断で止めないことが重要です。
②通報設計:上司が相談を受けた場合の報告義務と、人事・コンプライアンス部門への共有ルートを明文化します。相談窓口の案内を誰が、いつ、どう行うかまで具体化する必要があります。
③再発防止:研修やアンケートだけで終えず、相談が上がった後の対応履歴を点検します。心理的安全性と安全配慮義務は、窓口の存在ではなく、相談が途中で消えない設計で守るものです。


結語 組織の失敗は、加害者一人の問題より長く残る

元取締役の行為は重いです。ですが、そこで話が終わるなら、この件の本質を取り逃がします。

判断軸は単純です。被害が起きた時、その組織は誰の側に立ったのかです。相談が共有されず、窓口も案内されなかったなら、壊れていたのは一人の倫理だけではなく、会社の通路そのものです。

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