2026.04.10

東海大学のハラスメント防止研修に298人参加。相談を止めない組織だけが深刻化を防げる|一般社団法人クレア人財育英協会

【出典】2025年度東海大学ハラスメント防止研修会を開催しました


東海大学がハラスメント防止研修を開催 初等中等教育機関を含む298人が参加

東海大学は3月27日、オンラインで「2025年度東海大学ハラスメント防止研修会」を開催したと公表しました。

研修には、学園の初等中等教育機関の教職員も含めて298人が参加したとされています。大学単体の問題としてではなく、学園全体の課題としてハラスメントを扱っている点がまず重いです。


学長が示したのは、初期相談と組織対応の重要性

木村英樹学長はあいさつで、ハラスメントを受けていても初期段階でしかるべき相手に相談できていれば、大きな問題になることを防げる可能性があると呼びかけたとされています。

さらに、ハラスメントは一歩間違えれば自分自身が被害者にも加害者にもなる問題であり、この研修を自らを見つめ直す機会にしてほしいと述べたとされています。ここで置かれた軸は、善悪の断罪より先に、早く声を上げ、組織が受け止めることです。


いじめ対応で問われるのは、勇気ある相談を受け止める側の備え

春水法律事務所の田代宰弁護士は、「いじめ問題について」をテーマに講演したとされています。

民法、いじめ防止対策推進法、刑法などの法的な枠組みや、文部科学省の基本方針、重大事態の調査に関するガイドラインなどに触れながら、学校に求められるいじめ対策を解説したと報じられています。

また、実際にいじめが起きた際に、学校や自治体の基本方針に基づいて、誰が、何を、どうするのかをすぐに判断できるよう備える必要があると強調したとされています。相談者は勇気を出して相談しているのだから、受ける側もその個性を受け止めなければならないという指摘は、制度より先に態度が問われることを示しています。


教職員間と学生対応のハラスメントを再確認 予防は理解と継続でしか進まない

法学部の鈴木宏昌准教授は、「ハラスメント行為の再確認」と題して、教職員間や教員の学生に対する態度に焦点を当てて講演したとされています。

さまざまな種類のハラスメントに関する具体的な定義や、事前予防のための教育・研修の重要性を説明し、相談者に寄り添い、困っている問題の解決に向けて部署や学科内などで検討を続けることが大切だと語ったとされています。

ハラスメント防止は、一度の注意喚起で終わる話ではありません。理解し続け、現場で更新し続ける運用の問題だということです。


カスタマーハラスメントも対象 方針と外部窓口まで含めて共有

理事長室法務担当の戸倉秀二課長は、「カスタマーハラスメント」について講演し、法律上の位置づけ、防止措置の義務、学校法人東海大学における規程、事業主側の責任などを紹介したとされています。

そのうえで、学園ではハラスメントを絶対に許さない姿勢を示すために明確な方針を定めており、カスタマーハラスメントについても教職員の協力を得ながら対応策を拡充し、さらに働きやすい環境づくりを進めると説明したとされています。

また、ハラスメント防止人権委員会事務局からは、全学的な体制と相談員制度、外部相談窓口についても説明があったとされています。つまり、理念だけではなく、相談先まで可視化したということです。


論点 ハラスメント対策は「研修した」ではなく「相談が止まらない」ことで評価される

大学や学校法人のハラスメント対策は、研修を実施した時点ではまだ半分です。本当に問われるのは、相談が出た時に止まらないか、個人の抱え込みで終わらないか、外部窓口までつながるかです。

今回の東海大学の研修が示しているのは、いじめ、教職員間のハラスメント、教員から学生へのハラスメント、カスタマーハラスメントまでを一つの地図に乗せたことです。バラバラに起きる問題を、組織として一つの構造の中で扱おうとしている点に意味があります。


雇用クリーンプランナー(KCP)の視点 制度は「知っている」だけでは機能しない

この研修の本質は、知識を増やすことではありません。相談した人が途中で孤立せず、受けた側も「どうつなぐか」を判断できる状態をつくることです。ここも運用で決まります。

次の一手は3つです。
①初動:相談が来た時点で、内容、時系列、関係者、困りごとの程度を整理し、記録を残します。受けた人の善意だけで止めず、組織のラインに乗せることが重要です。
②通報設計:学部、部署、初等中等教育機関をまたいでも使える窓口、相談員制度、外部相談窓口を整え、不利益取扱い禁止を具体化します。窓口は存在するだけでは足りず、使える状態でなければ意味がありません。
③再発防止:研修の実施で終わらせず、相談後の対応、共有の仕方、再発防止策まで点検します。ハラスメント対策は、知識量より、相談が消えない通路を持てるかで決まります。


結語 研修の価値は、受講人数ではなく「次の相談」を止めないことで決まる

298人が参加したこと自体は一つの前進です。ですが、本当に問われるのは、その298人が次に相談を受けた時、誰かを守る側に立てるかどうかです。

判断軸は単純です。ハラスメントを学んだかではありません。相談者が勇気を出した時、それを組織が受け止められるかです。研修の価値は、知識ではなく、その後の通路に出ます。

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