2026.05.11

就職エージェントのオワハラが就活をゆがめる。「辞退の証拠を出せ」が学生を追い詰める構造|一般社団法人クレア人財育英協会

【出典】「内定を受けたら他社は辞退を」就職エージェントの「オワハラ」多発、違約金の請求事例も


就職エージェントのオワハラが表面化 就活支援が囲い込みに変わる時

学生の就職活動を支援する就職エージェントを巡って、内定後に就活の終了を迫る「オワハラ」が目立っていると報じられています。

本来は求人紹介や面接対策などを通じて学生を支えるはずの仕組みが、内定を得た瞬間に「もう他社は受けるな」という圧力へ変わる。この反転が、今の就活の歪みとして表に出ています。


「辞退の証拠をください」 学生が差し出したのは誓約書でした

記事では、東京都内の私立大学4年の男子学生が、紹介を受けたIT企業から内定を得た直後、担当のエージェント社員から「内定を受けたら就活は続けられませんよ」と電話で告げられた事例が紹介されています。

さらに、「他社の選考を辞退した証拠をください」と言われ、学生は「応募中の企業は辞退します」と記した誓約書を送ったとされています。断れば内定を勝手に取り消されるかもしれないという不安があったとされ、ここに、立場の非対称がはっきり出ています。

学生は、面接対策などで誠実に向き合ってくれたことには感謝しつつも、「内定をもらった後が大変だった。後輩には勧められない」と話したと報じられています。


背景にあるのは「1人100万円前後」の成功報酬モデルでした

記事によると、エージェントは人材紹介契約を結んだ企業の中から求人情報を学生に伝え、1人の内定につき企業から100万円前後の報酬を受け取るのが一般的だとされています。

中には、企業に対してまとまった人数の確保を事前に確約するエージェントもあると紹介されています。内定辞退が出れば報酬が減る。この仕組みが、学生に対して他社選考の辞退を迫る強引な営業につながっていると、記事は専門家の見立てを通して示しています。


売り手市場の裏で強まる囲い込み 就活生の10人に1人が経験

人手不足を背景に、就職市場は学生優位の売り手市場が続いているとされています。記事では、昨年春に卒業した大学生の就職率は98%で、過去2番目の高さだったと紹介されています。

その一方で、内閣府の2024年調査では、就活生のおよそ10人に1人がオワハラを経験していたとされています。選ばれる側が強く見える市場でも、内定の一つを握られた瞬間に、学生は再び弱い立場へ押し戻されます。


大学には相談が集まり始めている 違約金の示唆や辞退強要も

各大学も対策に乗り出していると報じられています。中央大学は、学生から相談があったエージェントによるオワハラの実例として、「内定辞退するなら採用コストを請求する」と金銭の要求を示唆した例や、「この場で他社に選考辞退の電話をかけて」と強要した例をホームページで公表したとされています。

また、立教大学のキャリアセンターには昨年、エージェントについて160件以上の相談が学生から寄せられたとされています。「興味のない企業を強く勧められる」といった相談事例も紹介され、センター担当者は、オワハラを受けて泣き出す学生もいたと訴えています。


国も対策を進める オワハラは「営業手法」で済まされない段階です

記事では、今年3月に文部科学省などが経済団体などに対し、オワハラをしないよう文書で要請したと紹介されています。

厚生労働省も、企業の就活ハラスメント対策をまとめた事例集を作成し、オワハラ専用窓口の設置や再現動画による啓発などを進めているとされています。つまり、学生が就活の一場面で泣き寝入りする問題ではなく、制度と業界慣行の問題として扱われ始めたということです。


論点 支援の顔をした圧力は、企業のオワハラより見えにくい

企業からのオワハラは比較的わかりやすいです。内定後に選考辞退を迫るからです。

しかし、就職エージェントによるオワハラは、「支援してくれた人」から来るため、学生が断りにくい。模擬面接もしてくれた。求人も紹介してくれた。ようやく最初の内定も取れた。その恩義が、拒否しづらさに変わる時、圧力は見えにくくなります。


雇用クリーンプランナー(KCP)の視点 採用支援の現場でも、求職者は構造的に弱い立場です

この件の核心は、エージェントが悪質かどうかだけではありません。支援者の顔をした相手でも、内定や情報を握っている時点で、学生との力関係は対等ではないということです。ここも運用で決まります。

次の一手は3つです。
①初動:内定後に選考辞退を迫られた、誓約書を求められた、違約金を示唆された時点で、メール、通話記録、メッセージ、書類を保存し、事実を固定します。
②通報設計:大学のキャリアセンターや外部窓口に、学生が早い段階で相談できる導線をつくります。「一度お世話になったから言いにくい」を放置しないことが必要です。
③再発防止:エージェント会社側も、成功報酬モデルと囲い込み圧力の関係を点検し、担当者教育と禁止行為の明文化を進める必要があります。学生の自由な進路選択を奪う支援は、もう支援ではありません。


結語 就活を終わらせる権利は、支援者ではなく学生本人にあります

内定を一つ得た時、学生はほっとします。だからこそ、その瞬間に「もう終わりですよね」と迫られると、従ってしまいやすいです。

判断軸は単純です。誰が就活を終えると決めるのかです。支援してくれた相手でも、その決定権まで持ってはいけません。オワハラの本質は、内定の先にある進路選択の自由を、他人が先に奪うことにあります。

お申し込みはこちら