2026.03.31

宮崎市のハラスメント防止条例が動き出す。全国初の設計が「守る相手」を広げた理由|一般社団法人クレア人財育英協会

【出典】全国初 ”カスハラ”はじめあらゆるハラスメントを対象 宮崎市がハラスメント防止条例を施行へ


宮崎市がハラスメント防止条例を4月施行へ 対象は外からの加害まで広がる

宮崎市は4月から、「宮崎市ハラスメントの防止等に関する条例」を施行します。

この条例は、一般職員だけでなく、特別職と議員も対象とし、さらにカスタマーハラスメントという外からのハラスメントについても規定しています。

ここが大きいです。内部の上下関係だけでなく、市民対応の最前線で起きる圧力まで含めて、組織が守る範囲を広げたからです。


全国初とされる理由 「誰が加害者か」を限定していない

宮崎市によりますと、こうしたあらゆるハラスメントを対象にした条例は、全国で初めてとみられるということです。

多くの制度は、職員同士や組織内部の問題を先に想定します。ですが実際には、外部からの理不尽な要求や暴言で職員が疲弊する場面も増えています。

今回の条例は、その現実を見ないふりをしなかった点で意味があります。


カスハラ対策を市長の責務に 職員を守ることが市民サービスの土台になる

記事では、この条例に、職員をカスタマーハラスメントから守る対策を市長に義務付ける規定が盛り込まれていると伝えています。

清山知憲市長は、カスハラで職員がメンタルを病む事例が後を絶たず、職員確保も難しくなっていると述べたうえで、働きやすい環境の整備は市民サービスの向上につながるとの考えを示しています。

つまり、職員保護は内部の福利厚生ではありません。行政サービスの質を支える前提として扱われ始めたということです。


外部相談窓口を設置 勤務時間外も受け付ける仕組みへ

条例では、弁護士と心理カウンセラーらによる外部の相談窓口も設置されます。

しかも、勤務時間外にも相談を受け付けるとされています。ここで重要なのは、相談窓口が「ある」ことではなく、困った時に本当に使える時間と外部性が確保されていることです。

内部の空気に飲まれずに話せる場所があるかどうかで、制度の実効性は大きく変わります。


論点 ハラスメント対策は、禁止より先に「守る順番」を変えること

ハラスメント防止というと、加害を禁じる話に見えます。ですが、この条例が示しているのはそれだけではありません。

誰を守るのか。内部だけか、外部対応まで含めるのか。相談は就業時間内だけか、時間外も受けるのか。そうした「守る順番」の設計が、ようやく制度の中心に来たということです。


雇用クリーンプランナー(KCP)の視点 窓口を作るだけでなく、逃げ場を制度化する

この条例の価値は、「ハラスメントをなくしたい」という理念ではありません。追い詰められた職員に、逃げ場を制度として渡した点です。ここも運用で決まります。

次の一手は3つです。
①初動:カスハラ、内部ハラスメント、議員や特別職からの圧力まで、相談を一元的に拾える整理が必要です。誰が相手でも、最初の記録と時系列の固定を迷わせないことが重要です。
②通報設計:外部窓口を置くだけでなく、守秘、不利益取扱い禁止、時間外相談の流れを明文化します。相談の後に何が起きるかが見えない窓口は、結局使われません。
③再発防止:相談件数の公表だけで終えず、どの類型が多いのか、どこで支援が途切れたのかを検証し、研修、周知、対応手順に戻す必要があります。


結語 職員を守れない自治体は、市民も守れない

カスハラを受けても耐えろ、議員や特別職からの圧力は仕方ない、内部の空気は読め。そうした前提で回る組織は、表面上は静かでも、中から弱っていきます。

判断軸は単純です。困った時に、本当に逃げられる制度があるかどうかです。宮崎市の条例が試されるのは、できた瞬間ではなく、最初の相談者をどう守るかの場面です。

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