2026.04.16
国家公務員のカスハラ対策が10月に義務化。各省庁に問われる対応手順|一般社団法人クレア人財育英協会
【出典】各省庁にカスハラ対策を義務化 国家公務員守る、10月から
国家公務員のカスハラ対策が10月から義務化へ 人事院が規則改正
人事院は4月15日、理不尽な要求や暴力といったカスタマーハラスメントから国家公務員を守るため、各省庁に必要な措置を義務付けると発表したと報じられています。
国家公務員の働き方を定めた人事院規則に項目を追加し、基本的な考えをまとめた指針も示したとされています。施行は、企業や自治体の対策義務化と同じく10月です。
各省庁に求められるのは、方針だけでなく体制整備と再発防止です
記事によると、人事院は各省庁に対し、具体的なカスハラ対策の作成、悪質行為に対処する体制整備、再発防止措置を求めています。
ここで重要なのは、単に「ハラスメントを許しません」と掲げるだけでは足りないという点です。現場で何が起きた時に、誰が、どこで、どう止めるのかまで求められているということです。
例示されたのは、暴力だけではなく長時間拘束や脅しも含む広い類型でした
人事院が例として挙げたのは、暴行やプライバシーに関わる要求、SNSへの悪評投稿をほのめかす脅し、威圧的言動、居座りや電話による長時間拘束などです。
つまり、殴る蹴るのような直接的な加害だけではありません。時間を奪う、評判を人質に取る、威圧で黙らせるといった行為まで対象に含めた形です。
相手は利用者だけではない 事業者、報道機関、議員の言動も対象になり得る
記事では、行政サービス利用者のほか、事業者や報道機関、他省庁、自治体、議員の言動も対象になり得るとされています。
ここが重いです。公務員へのカスハラは、窓口の住民対応だけに限られないからです。外部の立場が強い相手からの圧力も含めて制度の射程に入れたことで、現場の苦しさにようやく制度が追いつき始めたとも言えます。
論点 公務員は「耐える側」ではなく、守られるべき労働者だと制度が言い始めた
行政の現場では、理不尽な要求や暴言を受けても、「公務だから」「住民対応だから」と飲み込む空気が長く残ってきました。
ですが今回の義務化は、その前提を崩します。住民サービスを担うことと、無制限に傷つけられていいことは別だという線を、人事院が制度として引いたからです。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点 公務の現場ほど「我慢」ではなく「対応権限」が必要です
この件の核心は、カスハラを問題視したことだけではありません。各省庁に、対応手順と再発防止まで義務として持たせた点です。ここも運用で決まります。
次の一手は3つです。
①初動:威圧的言動、長時間拘束、脅し、プライバシー要求があった時は、日時、相手、内容、対応経過を記録し、現場判断で抱え込ませないことが必要です。
②通報設計:各省庁は、現場職員がすぐ相談できる窓口と、不利益取扱い禁止を明文化しなければなりません。上司が「もう少し耐えて」で止める構造を壊す必要があります。
③再発防止:個別対応で終わらせず、悪質事案の分析、共有、研修、外部との対応基準まで整備します。心理的安全性と安全配慮義務は、公務の名で後回しにしていいものではありません。
結語 行政サービスを守るには、まず職員を理不尽から守らなければならない
公務員は住民のために働きます。ですが、その言葉が、暴言や威圧を受け続ける義務を意味してはなりません。
判断軸は単純です。どれだけ丁寧な行政を目指すかではなく、その職員が理不尽な要求に対して「ここで止める」と言えるかどうかです。国家公務員のカスハラ対策義務化は、ようやくその出発点に立ったということです。
