2026.05.07

千葉総合リースがカスハラ基本方針を公表。「お客様対応」と「職員を守る線引き」をどう両立するのか|一般社団法人クレア人財育英協会

【出典】カスタマーハラスメントに対する基本方針


千葉総合リースがカスタマーハラスメント基本方針を明示

千葉総合リースは、「カスタマーハラスメントに対する基本方針」を公表しています。

お客さまの意見や要望に真摯に対応し、より高い満足を提供する姿勢を示す一方で、従業員の人格を否定する言動や暴力、セクシャルハラスメントなどに対しては、誠意をもって対応しつつも毅然とした態度で対応するとしています。


背景にあるのは、質の高いサービスと安心して働ける環境の両立です

基本方針では、質の高いサービスを提供するためには、従業員の人権が守られ、心身ともに健康で安心して働ける環境を整えることが重要だとしています。

ここが重要です。顧客対応を丁寧にすることと、職員に無制限の我慢を強いることは別だからです。サービスの質を守るには、まず働く人の安全が土台になります。


カスハラの定義は、厚労省マニュアルに基づく3層の線引きでした

千葉総合リースは、厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」に基づき、カスタマーハラスメントを定義しています。

それは、お客さま等からのクレームや言動のうち、要求内容の妥当性に照らして、その実現のための手段や態様が社会通念上不相当であり、その結果、労働者の就業環境が害されるものです。

つまり、クレームそのものを否定しているのではありません。内容、手段、そして就業環境への影響まで含めて線を引いているということです。


具体例として示されたのは、暴言だけでなく居座りやSNS中傷まででした

基本方針では、精神的攻撃、身体的攻撃、継続的・執拗な言動、過剰または不合理な要求、時間的・場所的拘束、差別的・性的言動、職員個人への攻撃、威圧的言動、プライバシー侵害、SNSやインターネット上での誹謗中傷などを、主な事例として挙げています。

ここで見えるのは、ハラスメントを窓口での大声や暴力だけに限定していないことです。長時間拘束やネット上の攻撃まで含めて、職員を追い込む構造として捉えています。


会社の対応は、研修・相談窓口・話し合い・外部専門家連携まで踏み込んでいます

千葉総合リースは、従業員への研修実施、従業員向けの相談窓口設置、被害にあった従業員のケアを行うとしています。

また、事案が発生した場合には、合理的な解決に向けて理性的な話し合いを行い、よりよい関係の構築に努めるとしています。そのうえで、悪質なカスハラ行為には、警察や弁護士など外部専門家と連携し、行為が継続する場合は取引を断るなど、組織として毅然と対応するとしています。


論点 企業が本当に問われるのは「どこまで丁寧にするか」より「どこで止めるか」です

カスハラ方針を掲げる企業は増えています。ですが、本当に問われるのは、掲示したかどうかではありません。

問題は、現場の担当者が一人で抱え込まずに済むか、理性的な話し合いで収まらない時に会社が本当に止められるかです。丁寧な顧客対応と、職員の尊厳を守ることを両立できるかどうかが、企業の本気を分けます。


雇用クリーンプランナー(KCP)の視点 基本方針は「掲げること」より「現場が使えること」が重要です

この方針の価値は、定義を書いたことだけではありません。研修、相談窓口、外部専門家連携、取引停止まで含めて、会社がどこで動くかを示した点にあります。ここも運用で決まります。

次の一手は3つです。
①初動:暴言、威圧、長時間拘束、SNS中傷などがあった時は、日時、内容、相手、対応経過を記録し、現場判断で抱え込ませないこと。
②通報設計:相談窓口を置くだけでなく、不利益取扱い禁止と被害者ケアを明確にし、担当者が「言ったら自分が面倒になる」と思わないようにすること。
③再発防止:理性的な話し合いで終えるケースと、警察・弁護士連携や取引停止に進むケースの判断基準を、現場に落とし込むこと。心理的安全性と安全配慮義務は、理念ではなく手順で守るしかありません。


結語 顧客との関係を守るには、まず従業員を削らない線を持つことです

企業は顧客に向き合わなければなりません。ですが、その姿勢が、従業員の人格や安全を差し出すことまで意味してはなりません。

判断軸は単純です。その会社に「ここから先は対応を続けない」と言える線があるかどうかです。千葉総合リースの基本方針は、サービスの質を守るには、まず働く人を守る必要があると明文化した文書です。

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