2026.04.15
スポーツ現場の暴力・パワハラ相談が603件。小中高生74%という数字が突きつける育成の歪み|一般社団法人クレア人財育英協会
【出典】スポーツ現場での暴力やパワハラ相談、2025年度は初の600件超え…被害者は小中高生が全体の74%に
スポーツ現場の暴力・パワハラ相談が603件 2025年度は初の600件超え
日本スポーツ協会は4月15日、スポーツ現場における暴力やパワーハラスメントなどの相談窓口に、2025年度は603件の相談が寄せられたと発表したと報じられています。
前年度から67件増えたとされ、窓口は2013年3月に開設されて以降、2022年度から相談件数が過去最多を更新し続けているとされています。相談窓口の存在が広がった面はあるにせよ、この増え方を「見える化されたから」で済ませるには重い数字です。
最多は暴言36% 無視や練習参加を認めないパワハラも23%
記事によると、2025年度の相談内容で最も多かったのは、「下手くそ」「おまえなんかいらない」などの暴言で、全体の36%を占めたとされています。
次いで、練習に参加させてもらえなかったり、無視されたりするパワハラが23%だったと報じられています。殴る蹴るのような明確な暴力だけでなく、言葉と排除によって子どもを追い込む形が強く出ていることがわかります。
被害者の74%は小中高生 小学生だけで43%という現実
被害者は小中高生が全体の74%を占めたとされています。
そのうち小学生だけで43%だったと報じられています。ここが一番重いです。自分で環境を変える力も、指導者に異議を言う力も弱い年代に被害が集中しているからです。
相談件数増加をどう見るか 理解の広がりと、止まっていない現場
日本スポーツ協会の倫理・コンプライアンス委員長は、窓口の存在が認識され、現場でも暴言やハラスメントへの理解が深まってきたと説明したとされています。
一方で、このまま件数が上がっていくのは良い状況ではないとして、今後の動向を注視していきたいと述べたと報じられています。つまり、相談しやすくなったこと自体は前進でも、現場で止められていない現実は残ったままです。
論点 暴力より先に、言葉と排除で子どもを従わせていないか
スポーツの問題というと、どうしても身体的暴力の有無に目が向きます。ですが今回の数字で目立つのは、暴言と無視、練習参加の排除です。
これは、育成の名で人格を削り、競技継続の条件を握り、従わせる構造がまだ残っているということです。特に被害者の多くが小中高生であるなら、問題は一人の指導者の資質だけではなく、指導文化そのものにあります。
複雑化する事例 移籍妨害まで出てきた
記事では、パワハラの中には選手の移籍の妨害など、以前より複雑化した事例も散見されるとされています。
ここで見えるのは、単なる暴言ではなく、進路や競技機会まで握る支配です。勝たせたい、育てたいという名目が残っていても、相手の選択肢を塞いだ時点で、それは指導ではなく統制に変わります。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点 育成現場は「相談できる子ども」を前提にしてはいけない
この件の核心は、相談窓口に603件集まったことではありません。本来は大人が先に止めるべきものを、子どもや周囲がようやく外に出しているということです。ここも運用で決まります。
次の一手は3つです。
①初動:暴言、無視、練習参加の排除、移籍妨害のような行為を「指導の範囲」で流さず、日時、場面、同席者、継続性まで含めて記録化します。
②通報設計:選手本人だけに相談を背負わせず、保護者、チームスタッフ、学校、競技団体の複数ルートで相談できる窓口を整え、不利益取扱い禁止を明文化します。
③再発防止:指導者研修を暴力禁止だけで終わらせず、暴言、無視、排除、進路への介入まで具体的に線引きします。子どもの競技継続と選択権を守る仕組みを先に置かなければなりません。
結語 「育てるため」が免罪符になる現場ほど、子どもは逃げにくい
スポーツには厳しさが必要だという言葉は、今も強いです。ですが、その厳しさが暴言や排除の言い訳になるなら、そこで育つのは技術ではなく沈黙です。
判断軸は単純です。その言動が子どもを伸ばしていたのか、それとも黙らせていたのかです。603件という数字は、相談窓口の成果で終わらせるには重すぎます。現場の文化そのものを変えろという通知です。
