2026.04.28
カスハラと求職者セクハラ対策が10月義務化。企業が今すぐ整えるべき窓口と対応手順|一般社団法人クレア人財育英協会
【出典】カスタマーハラスメント・求職者に対するセクシュアルハラスメント対策が義務化されます。
久留米市が周知した改正法 10月1日から企業の義務になる
久留米市は、カスタマーハラスメント対策と求職者に対するセクシュアルハラスメント対策が義務化されることを周知しています。
根拠となるのは、改正労働施策総合推進法と改正男女雇用機会均等法です。施行日は令和8年10月1日とされています。問題が起きてから考えるのではなく、施行日までに雇用管理の仕組みを整えておけという話です。
カスタマーハラスメントの定義 顧客対応の厳しさと理不尽は別です
職場におけるカスタマーハラスメントは、①顧客等の言動であること ②業務の性質などに照らして社会通念上許容される範囲を超えていること ③労働者の就業環境が害されること、この3つをすべて満たすものとされています。
つまり、顧客対応で強い要求を受けることすべてが対象なのではありません。線を越えた言動で、働く人の環境が壊される時に、企業はもう「現場で何とかして」で済ませられなくなるということです。
事業主に義務付けられるのは、方針だけではなく5つの措置です
カスハラ防止のため、事業主は、方針と対処内容の明確化と周知・啓発、相談体制の整備と周知、事後の迅速かつ適切な対応、対応の実効性を確保するために必要な抑止措置、そして相談者のプライバシー保護と不利益取扱い防止の措置を講じなければならないとされています。
ここで重要なのは、掲示文を作れば終わりではない点です。誰が相談を受け、誰が判断し、どこまで止め、相談した人をどう守るのかまで含めて義務になります。
求職者へのセクハラも義務化 SNSやオンライン面接も対象です
求職者等に対するセクシュアルハラスメントとは、事業主が雇用する労働者による性的な言動によって、求職者等の求職活動が阻害されるものをいうとされています。
対象には、SNSなどのオンラインを介した求職活動や、オンライン上で行われるやり取りも含まれます。採用前だから社内ルールの外、面接の場ではないから対象外、そうした逃げ道を法が先に塞いだ形です。
求職者対応で求められるのは、窓口設置と口外防止ではなく守る運用です
事業主は、求職活動等に関するルールをあらかじめ明確化し、労働者と求職者等に周知・啓発すること、相談窓口を定めて求職者に周知すること、事後の迅速かつ適切な対応を行うこと、相談者のプライバシー保護と、相談者に協力した労働者が不利益な取扱いを受けないための措置を講じることが求められます。
採用の場では、応募者の立場は弱いです。だからこそ、被害を受けた側に「嫌なら来なければいい」で押し返せないよう、企業側の責務として整理されたのです。
論点 社内だけ見ている企業は、この義務化を半分しか理解していません
ハラスメント対策というと、多くの会社は上司と部下の関係だけを思い浮かべます。ですが今回の改正は、外から来るカスハラと、採用前の求職者へのセクハラまでを射程に入れています。
つまり問われるのは、社内の人間関係だけではありません。顧客対応、面接、応募者との連絡、SNS、オンライン面談まで含めて、会社がどこで線を引き、誰を守るのかという設計そのものです。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点 制度対応の本丸は「相談後にどう動くか」です
この改正の本質は、ルールを増やすことではありません。カスハラや求職者へのセクハラが起きた時、会社が黙らせず、止めて、守る責任を持つことです。ここも運用で決まります。
次の一手は3つです。
①初動:顧客からの威圧、長時間拘束、脅し、求職者への性的言動があった時に、日時、相手、内容、対応経過をすぐ整理できる手順を決めます。
②通報設計:従業員だけでなく、求職者も使える相談窓口を整え、プライバシー保護と不利益取扱い防止を明文化します。窓口があっても、相談後の不利益が怖ければ誰も使いません。
③再発防止:方針の周知だけで終えず、顧客対応マニュアル、採用担当研修、オンライン面接の運用まで具体化します。心理的安全性と安全配慮義務は、ルールの有無ではなく、相談後の動きで決まります。
結語 義務化で問われるのは、会社が「守る側」に立てるかどうかです
顧客の声を大事にすることも、応募者を丁寧に扱うことも大切です。ですが、その言葉が働く人や求職者への我慢の強制に変わった瞬間、会社は守る側ではなく放置する側に回ります。
判断軸は単純です。問題が起きた時、その会社に本当に止まれる手順があるかどうかです。10月の義務化はゴールではありません。会社が「守る側」に立てるかを試すスタートです。
