2026.04.08
旭川中央郵便局のセクハラ提訴。適応障害の療養後に雇い止めされたと訴える元期間雇用社員の告発|一般社団法人クレア人財育英協会
【出典】「ホテルまで行くよね」勤務中に尻など触られセクハラで適応障害、療養後に雇い止め…元期間雇用社員の女性が損害賠償400万円など求め提訴 旭川中央郵便局
旭川中央郵便局の元期間雇用社員が提訴 セクハラと雇い止めをめぐり地位確認も請求
北海道旭川市の旭川中央郵便局で働いていた元期間雇用社員の女性が、同僚男性から受けたセクシュアルハラスメントをきっかけに適応障害を発症し、その後に雇い止めにされたのは不当だとして、日本郵便などに損害賠償などを求めて提訴したと報じられています。
記事によると、女性は日本郵便と男性社員に対して400万円の損害賠償を求めるとともに、日本郵便に対して労働者としての地位確認も求めています。提訴は4月6日付とされています。
訴えの内容 性的な誘いと勤務中の身体接触を受けたと主張
訴えによると、女性は2024年秋ごろから2025年2月にかけて、同僚男性から「飲みに行ったら、ホテルまで行くよね」「お金を払ってでも付き合いたい」など、性的な交際を想像させる誘いを何度も受けたとしています。
さらに2025年1月ごろには、勤務中に尻を触られたほか、太ももの間から手を入れられて下腹部を触られたと訴えています。問題の中心は、発言だけではなく、身体接触まで職場の中で起きたとされている点です。
適応障害で休業後、就労可能の診断書を拒まれ雇い止めになったと主張
記事によると、女性はその後、適応障害を発症し、2025年4月から休業したとしています。
そして2026年2月、医師から就労可能と診断され、その旨を会社側に伝えたものの、診断書の受け取りを拒否され、「業務を遂行できる健康状態ではない」として雇い止めになったと訴えています。
ここで争点になっているのは、療養のきっかけとなったセクハラだけではありません。復帰可能とされた後に、会社がどう扱ったのかまで含めて、就労継続の権利が問われています。
上司への相談後も動かなかったと主張 「様子をみましょう」で止まった訴え
女性は、同僚男性からのセクハラについて上司に報告したものの、「様子をみましょう」と言われ、対応してもらえなかったと主張しています。
その後、会社はハラスメントに当たると認定した一方で、担当者からは「口外したら厳正な対処があるので注意してください」と言われ、再発防止策も取られなかったと訴えています。
さらに、休業を余儀なくされた理由が職場に伝えられず、同僚から白眼視される状況を招いたとも主張しています。被害そのものだけでなく、相談後の対応が二次被害を広げたのではないかという訴えです。
日本郵便は「訴状が届いていないためコメント差し控える」と回答
記事によると、日本郵便は「訴状が届いていないため、コメントを差し控える」としています。
つまり現時点では、原告側の主張が表に出ている段階です。事実認定や法的評価は、今後の訴訟手続の中で争われることになります。
論点 セクハラの有無だけではなく、「相談後に何が起きたか」が問われている
この件で重いのは、被害の主張が二つの層に分かれていることです。一つは、性的な言動と身体接触そのもの。もう一つは、相談した後に上司や会社がどう動いたのかという問題です。
職場のハラスメントでは、加害行為そのものと同じくらい、その後に組織が被害者を守ったかどうかが重要です。相談が止まり、復帰の機会まで閉ざされたとすれば、問題は個人の逸脱だけでなく、会社の通路そのものにあります。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点 相談が来た瞬間に、復帰まで見据えた導線が必要です
この件の核心は、セクハラの有無だけではありません。相談を受けた後に、組織が被害者を守る側に立ったのか、それとも静かに外へ追い出す側に回ったのかという点です。ここも運用で決まります。
次の一手は3つです。
①初動:性的な発言や身体接触の申告があった時点で、日時、場所、発言内容、接触の有無、相談経過を整理し、必要に応じて記録を固定します。「様子をみる」で止めないことが重要です。
②通報設計:直属上司が動かない場合でも使える相談窓口と内部通報を整え、不利益取扱い禁止を明文化します。被害者が休業に入った後も、復帰支援と情報共有の扱いを制度として設計する必要があります。
③再発防止:会社がハラスメントを認定したなら、再発防止策、配置の見直し、職場説明の方法、復帰判断の手順まで一体で運用します。心理的安全性と安全配慮義務は、認定した事実より、その後にどう支えたかで測られます。
結語 被害を受けた人を守れない職場は、認定してもなお加害を続ける
「ハラスメントだった」と認めることは出発点です。ですが、その後に被害者が孤立し、復帰の道まで閉ざされたと感じるなら、組織の責任は消えません。
判断軸は単純です。相談が来た時、その職場は被害者の働く権利を守る方向に動いたのかどうかです。黙らせ、待たせ、戻らせないなら、その組織は加害者一人を処理しても、構造としてはまだ変わっていません。
