2026.04.02

刑務官が国を提訴。「殺すぞ」と怒鳴られたと訴える佐賀少年刑務所のパワハラ問題|一般社団法人クレア人財育英協会

【出典】「仕事お前が全部やれよ」「殺すぞ」上司のパワハラでうつ病、刑務官が国に280万円の賠償求めて提訴


佐賀少年刑務所の刑務官が国を提訴 損害賠償280万円を請求

佐賀少年刑務所に勤務する40歳代の刑務官の男性が、上司からのパワーハラスメントでうつ病を発症するなどしたとして、国家賠償法に基づき、国に280万円の損害賠償を求める訴訟を起こしたと報じられています。

提訴は3月5日付です。現時点で確定しているのは、訴えが起こされたことと、原告側が上司の言動と健康被害との関係を主張していることです。


訴状の内容 「仕事お前が全部やれよ」「殺すぞ」と繰り返し言われたと主張

訴状によると、男性は2020年頃から、所属部署の上司から「仕事、お前が全部やれよ」と怒鳴られたり、「殺すぞ」と何度も言われたりしたと訴えています。

問題として挙げられているのは、厳しい指示そのものではありません。人格や安全を脅かす言葉が、継続して向けられたとされている点です。


柔道訓練中の負傷とうつ病診断 健康被害との関係を訴えている

訴状では、2021年3月に柔道の訓練中、後頭部を3回強く殴られるなどして首などをけがしたとされています。

さらに同年7月には、うつ病と診断されたと訴えています。原告側は、一連の上司の行為が身体的・精神的被害につながったと主張している構図です。


公務災害は2025年6月に認定 訴訟では国の責任を追及

記事によると、男性は2022年1月に公務災害認定を申請し、2025年6月に認定を受けたとされています。

今回の訴訟は、その後に国の損害賠償責任まで問う段階に進んだものです。公務災害認定が出ていても、それだけで職場の責任や再発防止が尽くされたとは限らないことが見えてきます。


刑務所側はコメントを控える 争点は法廷へ

佐賀少年刑務所は取材に対し、「訴訟に関わるので回答は差し控える」とコメントしたと報じられています。

つまり、現段階では原告側の主張が表に出ている段階です。事実認定や法的評価は今後の訴訟手続の中で争われることになります。


雇用クリーンプランナー(KCP)の視点 閉じた組織ほど「言葉」と「訓練」の境界を明文化する

この件の厄介さは、上下関係が強い組織では、怒鳴ることも、訓練中の身体的接触も、「指導」の名で流されやすい点です。ですが、相手が拒否できず、健康被害まで訴えているなら、そこはもう統率ではなく支配の疑いとして扱わなければなりません。ここも運用で決まります。

次の一手は3つです。
①初動:暴言、威圧、訓練中の過剰な身体接触は、その場の指導で終わらせず、日時、場所、関係者、発言内容、けがの有無まで記録化します。必要に応じて診断書やメモを整理し、即時にエスカレーションします。
②通報設計:直属上司が加害側にいる場合でも使える相談窓口と内部通報を整え、不利益取扱い禁止を明文化します。閉じた組織ほど、外部性のある相談導線が必要です。
③再発防止:訓練、指導、叱責の許容範囲を文書化し、管理職研修と職場アンケートを継続します。心理的安全性と安全配慮義務は、厳しい現場だから後回しにしてよいものではありません。


結語 「厳しい職場だから仕方ない」で片づけた瞬間に、組織は壊れ始める

刑務所のような緊張の高い職場では、厳しさが必要だという言い分は出やすいです。ですが、厳しさと暴言、統率と脅しは別物です。

判断軸は単純です。その言動が業務を前に進めるためのものだったのか、それとも相手を黙らせるためのものだったのかです。閉じた組織ほど、その線を曖昧にした代償は重くなります。

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