2026.03.02

【トラック運転手の隠れ残業】荷待ち時間が休憩扱いになる現場。休憩の顔をした拘束|一般社団法人クレア人財育英協会

【出典】「まともには思えない」トラック運転手の“隠れ残業”が常態化 規制適用から2年、過酷労働なお


トラック運転手の「手待ち」が休憩にされるという訴え

物流施設で荷物を降ろす順番待ちの時間を、休憩とみなすのはおかしい。そんな声が西日本新聞「あなたの特命取材班」に届いたとされています。

混み合う施設では、荷降ろし開始の予測が難しいとされます。待機が発生する仕事は、運転手に限らないとも指摘されています。


福岡県の元運転手が感じた「離脱できない休憩」

長年トラック運転手として働いていた福岡県篠栗町の男性(69)は、荷降ろしが先着順のため、他車がいればその場で待つ必要があると話しています。

会社からは「業務から離脱して構わない」と言われる一方、順番の時に並んでいなければ後回しになると訴えています。結果として運転席で時間をつぶすしかないという趣旨です。

男性は施設ごとに30〜40分から1時間前後の待ち時間が発生することが多いと述べ、待ち時間は労働時間に当たるとして賃金の支払いを求めたとされています。

会社は順番待ちを原則休憩とみなし、急な移動指示や呼び出しはなく自由に離れて問題ないなどと説明しています。取材に「労働基準監督署の助言に基づき適切に対応した」と語ったとされています。

男性は退職し、両者は和解したとされています。


厚生労働省の見解と「指揮命令下」の判断軸

記事では、厚生労働省が「休憩時間は労働から離れることが保障されなければならない」とし、いわゆる手待ち時間は休憩に含まれないとの見解を示していると伝えています。

福岡県社会保険労務士会の会長である後藤昭文さん(60)は、原則は「使用者の指揮命令下にあるかどうか」であり、職場の実情に照らして評価されると説明しています。

判断のポイントとして、始業前の準備時間では「義務付けられているか」「余儀なくされているか」が挙げられています。待機時間は、労働から実質的に解放されているかどうかが基準だとされています。

例として、警備員の夜勤で仮眠時間があっても緊急対応義務がある場合は、労働時間に該当する可能性があると説明されています。


規制適用から2年でも「隠れ残業」が常態化するという声

記事では、トラック運転手の時間外労働の上限を年960時間とする規制が2024年4月に適用され、まもなく2年を迎えるとしています。

一方で、現役運転手の声として「残業時間の規制を超えないように言われ、出退勤をごまかして走っている」「1日2〜6時間ほどずらすこともある」といった実態が語られたとされています。

車両搭載のデジタルタコグラフには位置情報が残るため、荷待ちや荷役を過少申告しにくいという指摘があり、その代わりに出退勤時刻をずらす方向に向かうとも書かれています。

山口県内の30代女性は、荷待ちや荷役が「全部、休憩扱いになる」と打ち明け、4時間走行ごとの30分休憩の間に荷積みや荷降ろしをするため実質休憩がほぼない趣旨を述べています。

法規制について、1日の拘束時間は13時間以内、14時間超は週2回までを目安としていると説明されています。それでも「点呼から終了まで毎日14時間以上拘束される」との声や、「小さな企業はコンプライアンスを守っていたらつぶれる」との声も紹介されています。


雇用クリーンプランナー(KCP)の視点 休憩の名で時間を消さない運用

ここでの争点は、言葉ではなく実態です。同じ30分でも、自由がないなら休憩ではありません。運用で決まります。
①初動:手待ち時間、荷役、休憩の定義を現場の実態で整理し、運転日報やデジタコ等の記録と賃金処理をつなげます。疑義が出た時は面談メモを残し、必要に応じて記録・録音で事実を固定します。
②通報設計:相談窓口と内部通報を「使える状態」にし、不利益取扱い禁止を明文化します。運行管理側へのエスカレーション手順もセットで示します。
③再発防止:事例共有で線引きを更新します。声を上げた人が損をしない心理的安全性を整え、安全配慮義務を日々の運用として成立させます。


結語 上限の数字が「ごまかし」を育てる組織は危うい

残業上限の数字だけを守ろうとすると、時間のずらしや休憩扱いで帳尻を合わせる動きが出ます。これが常態化すると、ルールは現場で形骸化します。

判断軸は単純です。離れられない待機を休憩と呼んでいないか。記録と賃金が実態に追いついているか。休憩を誰が決め、誰が沈黙しているかが問われます。

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