2026.02.27
【カスタマーハラスメント調査2026】アルバイト被害41.9%。仕事ではなく個人が狙われ始めた|一般社団法人クレア人財育英協会
【出典】「アルバイト従業員へのカスタマーハラスメント実態調査(2026年版)」を発表
カスタマーハラスメント実態調査が示した数字
株式会社マイナビは2026年2月24日、「アルバイト従業員へのカスタマーハラスメント実態調査(2026年版)」の結果を公表しました。
直近1年以内に、自社のアルバイト従業員が顧客から「何らかの被害があった」と回答した企業は41.9%でした。前年の45.7%から3.8pt減少しています。
具体的な内容では「大きな怒鳴り声を上げられた」34.2%が2年連続で最多です。「理不尽な要望を繰り返し問い合わせられた」26.0%、「SNSに悪い口コミを書くなどブランドイメージを下げるような脅し」19.2%も挙げられています。
一方で「性的な冗談など、顧客からのセクハラ被害」や「人格の否定・侮辱的発言」は前年から増加したとされています。業務に関連するカスハラが減る局面でも、個人へのハラスメントは増える構図が示されています。
カスタマーハラスメントの定義と調査設計
本調査でいうカスタマーハラスメントは、「企業やその従業員が顧客から受ける嫌がらせ・著しい迷惑行為(ハラスメント)」を指すとされています。
調査期間は2025年12月5日から12月10日です。直近1年以内にアルバイト採用業務に携わった20~69歳の会社員(会社役員・自営業含む)を対象に、インターネットで実施されました。
有効回答数は1,500名です。各業種100名ずつになるようにウェイトバック集計を行ったと記載されています。
業種別:販売・接客で高い認知
業種別では、販売・接客(パチンコ・カラオケ等)が73.0%で最も高い結果です。次いで販売・接客(コンビニ・スーパー)が64.0%とされています。
順位は前年と同一としつつ、全体傾向と同様に販売・接客業や飲食業では前年から減少していると説明されています。下がったこと自体より、下がり方の中身を見る必要があります。
論点:業務クレームは減っても、個人攻撃は残る
「理不尽な要望を繰り返し問い合わせられた」など、業務に関連したカスハラは前年から減少したとされています。クレーム対応の延長で捉えやすい類型は、一定の抑制が効き始めた可能性があります。
しかし、性的発言や人格否定のように「個人に向けられる」ハラスメントが増えた点は別問題です。仕事の不満ではなく、人を狙う形に移ると、現場の防御は一段難しくなります。
影響:早期離職と休職・退職が増える構図
カスハラ被害があった企業では、アルバイトの1カ月以内の早期離職が「36.7%」とされています。被害がなかった企業と比べて17.9pt高い結果です。
さらに「メンタル不調による休職・退職があった」割合は48.8%です。被害がなかった企業を36.2pt上回ったと記載されています。
カスハラは、その場の一件で終わりません。定着と就業継続を折る力として出ている可能性が示唆されています。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点:処分ではなく運用で止める
対策を「行っている」企業は65.4%とされています。一方で「行っていない」企業も34.6%と記載され、対応の差が残っています。
次の一手は、理念ではなく運用の設計です。処分だけでは戻らない場面ほど、初動とエスカレーションの精度で決まります。
①初動:現場用の手順を一枚にします。「止める・離れる・呼ぶ・残す」を統一し、記録・録音、責任者への即時エスカレーションまでを固定します。
②相談ルート:相談窓口と内部通報をアルバイトまで開きます。不利益取扱い禁止を明示し、安心ではなく「通報できる条件」を整えます。
③再発防止:事例共有と研修を回します。必要に応じて外部窓口や第三者委員会も使い、心理的安全性と安全配慮義務を「運用」で担保します。
調査では「再発防止のために事例を社内で共有する」が実施割合でも効果実感でも上位です。「アルバイトとの面談で発生状況を把握する」も、効果実感が高い取り組みとして挙げられています。
結語:守る単位を「業務」から「人」に戻す
数字が微減しても、増えているのが「人格否定」や「セクハラ」なら、現場の恐怖は薄まりません。ここをクレーム対応の延長で処理すると、見落とします。
判断軸は単純です。掲示や方針ではなく、初動と通報と再発防止が回っているか。カスハラ対策は、言葉ではなく運用で採点されます。
