2026.02.25

「使えないやつ」は指導ではなく人格攻撃。鹿児島海保パワハラ減給処分が示す“公開叱責”の限界|一般社団法人クレア人財育英協会

【出典】部下に暴言「使えないやつ」パワハラで40代海上保安官を減給処分 鹿児島海保


鹿児島海上保安部が49歳海上保安官を減給処分──暴言と公開叱責をパワハラ認定

鹿児島海上保安部は、部下職員に対して「使えないやつ」などの暴言を吐くパワーハラスメント行為があったとして、49歳の3等海上保安正を減給の懲戒処分にしたと発表しました。処分は2026年2月24日付で、給与の20分の1を3か月間減給する内容です。

鹿児島海保によると、男性職員は2025年6月、同じ職場の職員に対し、他の職員の前で「使えないやつ」などと発言し、複数回にわたり強く厳しい口調で非難を繰り返したとされています。被害を受けた職員が第十管区海上保安本部に相談し、パワハラが判明しました。男性職員は調査に対しパワハラ行為を認め、反省しているとされています。


この事案の焦点──「大勢の前での暴言」が職場を壊す理由

「使えないやつ」という言葉は、業務上の改善点を指摘する言葉ではありません。人格を丸ごと否定し、立場を固定するラベルです。しかも今回は、他の職員の前で繰り返されたとされています。公開の場での叱責は、当事者を萎縮させるだけでなく、周囲にも「逆らえば晒される」という空気を広げます。

海上保安庁の現場は、緊迫した状況での判断や連携が求められる職場です。だからこそ、互いに確認し、報告し、助けを求める文化が必要になります。公開叱責が常態化すると、報告が遅れ、確認が減り、事故リスクが上がります。指導のつもりの暴言が、組織の安全文化を削るという逆効果を生みます。


相談は「十管本部」へ──外に近い導線が機能した意味

本件は、被害を受けた職員が第十管区海上保安本部に相談したことで表面化しました。これは、直属内で止められなかった問題が、より上位の組織に届いたことで是正された形です。

現場では「同じ職場の中で言いづらい」「相談すると不利益があるのでは」という不安が起きがちです。相談導線が機能するかどうかは、ハラスメント対策の成否を左右します。今回の処分は、組織として「暴言は指導ではない」と線を引いた点に意味があります。


雇用クリーンプランナー(KCP)の視点──“厳しさ”を言葉の暴力にしない3つの設計

海上保安の現場には厳しさが必要です。しかし、その厳しさは怒鳴ることでも、侮辱することでもありません。雇用クリーンプランナー(KCP)の視点から、再発防止の焦点は次の3点です。

第一に、指導の言語基準を明確にすることです。人格を否定する言葉、ラベリング、晒しを禁止し、改善点は事実と行動に限定して伝える。言ってはいけない言葉のリスト化ではなく、「どう言い換えるか」まで含めて現場で再現できる形にする必要があります。

第二に、公開叱責をやめ、フィードバックの場を設計することです。注意や改善は必要でも、公開での辱めは不要です。面談、記録、再発防止の合意という手順に移し、感情的な場面ほど「手続き」で受け止める仕組みに変えることが重要です。

第三に、相談導線と初動を強化することです。今回のように上位機関へ相談できたことは一歩です。相談した人が不利益を受けないこと、初動が遅れないこと、調査の期限があること。これが揃って初めて「言える組織」になります。


結語:暴言は現場を締めない。現場を壊す

「使えないやつ」と言えば一瞬で相手を黙らせられるかもしれません。しかし、その代償は大きい。報告が遅れ、確認が減り、助けが求められない職場になります。安全が最優先の組織ほど、言葉の暴力を許すと最終的に安全が崩れます。

鹿児島海保が「教育・指導を徹底し、再発防止に万全を期し信頼回復に努める」とコメントした通り、問われるのは運用です。一般社団法人クレア人財育英協会は、現場の厳しさを言葉の暴力にしない指導設計と、相談が機能する職場づくりを支援していきます。

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