2025.12.20
日本証券業協会(日証協)がカスハラ対応方針を公表──継続的・悪質なカスタマーハラスメントには「法的措置」を明記
【出典】日証協、カスハラ対応方針を公表 継続的・悪質なら「法的措置」明記
証券業界でカスタマーハラスメント対策を明文化──従業員の安全確保を最優先に
日本証券業協会(日証協)は12月17日、顧客からのカスタマーハラスメント(カスハラ)に対する公式の対応方針を公表しました。
株式・投信・デリバティブなど価格変動リスクの高い金融商品を扱う証券業界では、コールセンターや店舗窓口に理不尽な要求や暴言が集中しやすく、従業員の精神的負荷が大きいことが背景にあります。
日証協は、こうした状況を踏まえ、法的措置を含む対応のルール化によって、加盟各社の従業員を守る狙いを明確にしました。
東京都カスハラ防止条例の施行をきっかけに業界ルールを策定
今回のカスハラ対応方針は、2025年4月に東京都のカスタマーハラスメント防止条例が施行され、事業者にカスハラ対策が求められるようになったことなどを受けて策定されたものです。
条例という「外圧」をきっかけに、証券業界としても自主ルール(業界ガイドライン)を整備し、加盟各社が足並みをそろえてカスハラ対策を進められるようにしました。
日証協が定義するカスタマーハラスメントとは──暴力・脅迫・執拗な要求など
対応方針の中で、日証協はカスタマーハラスメントに当たり得る行為の例として、次のようなものを挙げています。
- 暴力行為(物を投げる、机を叩くなど身体・物に対する攻撃)
- 脅迫・恫喝(「訴えてやる」「会社を潰してやる」など不当な威嚇)
- 度を越した執拗な問い合わせ・要求(同じ内容を何度も繰り返す、長時間拘束するなど)
こうした行為は、社会通念上の「苦情」や「クレーム」の範囲を超えた迷惑行為であり、従業員の心身の健康に深刻な影響を与えるものとして、カスハラに該当すると位置づけられています。
継続的・悪質なカスハラには「対応打ち切り+法的措置」を明記
対応方針で最も重要なポイントは、継続的・悪質なカスハラ行為に対して踏み込んだ対応を明記したことです。
日証協は、カスハラが続く場合や悪質と判断されるケースについて、
- 顧客対応の打ち切り
- 警察・弁護士など関係機関と連携した上での法的措置を含めた厳正な対応
を行うと明示しました。
「お客様だから」といって、暴力・脅迫・過剰要求を容認しない姿勢を、業界全体の方針として示した意義は大きいと言えます。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点──金融・証券業界のカスハラ対策モデルとして
金融・証券業界は、相場変動や損失が直接クレームにつながりやすく、コールセンター・店舗・営業現場がカスハラの温床になりがちです。
今回の日証協の対応方針は、次の点でカスタマーハラスメント対策の「業界モデル」として評価できます。
① 「苦情」と「ハラスメント」を業界として切り分けた
暴力・脅迫・執拗な要求という行為のラインを明文化したことで、
「対応すべき苦情」と「拒否してよいハラスメント」の境界が、現場・顧客双方にとって分かりやすくなりました。
② 法的措置まで含めたエスカレーションの道筋を示した
対応打ち切りから警察・弁護士との連携、法的措置までをあらかじめ方針レベルで宣言したことで、
現場社員が「どこまで対応すべきか」「どこから組織に任せてよいか」を判断しやすくなります。
③ 従業員の安全確保を「業界共通の価値」と位置づけた
証券会社ごとの個別ルールではなく、日証協の名で示したガイドラインは、
「従業員の安全を守ることは、業界全体の責任である」というメッセージでもあります。
結語:投資家の声も、証券会社の従業員も守るためのカスハラ対策へ
証券・金融の世界では、損失が出れば不満や怒りが生じるのは自然なことです。
しかし、その怒りが暴力・脅迫・過剰要求という「カスタマーハラスメント」に変わった瞬間、現場で働く人の心と、業界全体への信頼が損なわれます。
日証協のカスハラ対応方針は、「正当な苦情は真摯に受け止める」「悪質なカスハラにはNOと言う」という両立の第一歩です。
雇用クリーンプランナー(KCP)は、証券会社・金融機関・コールセンターなど、リスクの高い現場でこそ、カスハラ対策と従業員のメンタルケアをセットで進めることを提案していきます。
