2025.10.24
八王子市職員108人を大量処分──通勤手当「不正受給」915万円、行政信頼の根幹が揺らぐ
【出典】読売新聞(2025年10月23日配信)
通勤手当「不正受給」で八王子市が108人の大量処分…バス申請し徒歩通勤など不正は総額915万円
通勤手当を不正受給、108人を処分
東京都八王子市は23日、市職員による通勤手当の不正受給問題で、職員97人と管理職11人の計108人を処分したと発表しました。
2019年4月から2024年9月までの間に、不正受給の総額は約915万円に上ります。
不正の内容は、バス通勤を申請していたにもかかわらず徒歩で通勤するなど、通勤経路を偽って手当を受け取っていたというものです。
市は昨年12月に職員97人から計1671万円を返納させていましたが、調査が続いているとして公表を見送っていました。
部長を停職、副市長も減給 隠蔽の疑いも
停職処分となった都市整備担当部長(59)は、4年以上にわたり計37万3556円を不正受給。
また、期間と金額が最大だった主査(60)は、約5年半で49万1778円を不正に受け取っていました。
戒告処分10人、訓告19人、厳重注意58人。
さらに監督責任として、副市長2人が減給を自主返納しました。
初宿和夫市長は記者会見で、「市民の信頼を大きく損なう事態となり、心からおわび申し上げます」と謝罪し、副市長らと深く頭を下げました。
しかし、この問題は昨年末に返納が完了していたにもかかわらず、市長への報告が今年9月まで遅れたことも判明。
初宿市長は「隠蔽の疑いがある」と述べ、弁護士や大学教授による第三者検討会を設置して、庁内の対応経緯と再発防止策を調べるとしています。
内部統制が機能不全、「信頼回復」への道は遠い
地方行政に詳しい木寺元・明治大学教授は、今回の事態について次のように指摘しています。
「管理職まで不正に関与し、内部チェックが機能していない。副市長が市長に報告しなかったのも統治上の問題。情報公開が遅れたことで、市民の信頼を大きく損ねた」
教授は、住宅手当や扶養手当の不正が新たに発覚すれば、さらに信頼が失われると警鐘を鳴らしています。
八王子市では、2008年以降、通勤・住居・扶養手当の不正受給で懲戒処分を受けた職員はゼロでした。
今回の大量処分は、市の内部統制に深刻な機能不全が生じていたことを示しています。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点──行政の「信頼資本」を取り戻すために
雇用クリーンプランナー(KCP)は、今回の問題を「信頼の管理不全」と位置づけます。
八王子市のケースは、個人の不正だけでなく、組織の倫理文化が弱体化していた結果です。
“報告しづらい”“黙っておく方が得”という空気が、隠蔽を常態化させました。
KCPは行政組織の再発防止に向けて、次の3つの改革を提言します。
① 通報・報告ルートの透明化
上司経由に頼らず、独立した外部通報窓口を常設。
不正を発見した職員が安全に報告できる仕組みを構築します。
② 「信頼倫理」の再教育
手当の不正は金額よりも「信頼の損失」が大きい。
全職員を対象に、公金の扱いと職務倫理を学ぶ研修を制度化すべきです。
③ 第三者監査の定期化
調査委員会を一度きりで終わらせず、年1回の外部監査を継続。
不正の兆候を早期に発見できる統制文化を根づかせます。
公金の不正は「金額」ではなく「信頼の問題」
市民から預かった税金を扱う行政機関にとって、最も重要なのは誠実さと透明性です。
職員一人ひとりの行動が、市民の信頼という「見えない資本」を支えています。
KCPは、行政・企業を問わず、信頼を管理する仕組みづくりを通じて、
「隠さない組織」「謝るだけで終わらない組織」への転換を支援していきます。
