2025.10.24

カスタマーハラスメントで提訴、安全配慮義務が争点に──宇都宮地裁が判断

【出典】読売新聞(2025年10月23日配信)
カスハラで精神疾患、妻が会社を提訴…上司が「警察や弁護士に相談するな」と取り合わず


カスハラで精神疾患、妻が勤務先を提訴

取引先からの理不尽な要求によるカスタマーハラスメント(カスハラ)で精神疾患を発症した男性(昨年死亡)の妻が、勤務先の安全配慮義務違反を理由に損害賠償を求め宇都宮地裁提訴しました。原告代理人によると、カスハラを巡る勤務先の安全配慮義務違反が訴訟で問われるのは異例としています。

男性は上司に相談したものの、「警察や弁護士に相談するな。お前の将来はない」と取り合ってもらえなかったとされています。


上司対応と会社の見解、労災認定の経緯

被告会社は北海道に本社を置く農業機械販売会社。男性は栃木県の営業所長だった2006年、納品を巡るトラブルで退職を迫られたとされます。これが原因で精神疾患を発症し、後に労災認定を受けました。男性は別の病気で昨年死亡しています。

妻は提訴後の記者会見で「職場の安全とメンタルヘルスケアを最優先に」と述べました。会社は「訴状を受領し次第、内容を検討して適切に対応する」としています。


論点・影響:カスハラと安全配慮義務

訴状は、顧客トラブルに関するルール未策定や、従業員の心身の健康に配慮すべき安全配慮義務への違反を主張。カスハラ対応を従業員に個人任せにしたことが争点とされています。

原告代理人は「対応を従業員に押しつける会社は責任を問われる」と述べ、組織的対応の必要性を強調しています。訴訟の行方は、企業のカスハラ対策の実務に影響を与える可能性があります。


雇用クリーンプランナー(KCP)の視点──組織的に守るカスハラ対策

カスハラは「我慢で乗り切る」では防げません。個人の耐性ではなく、組織の設計で守る発想が必要です。KCPは次の三点を提言します。

① 顧客対応ルールの策定と明示

中断・拒否の基準、エスカレーション、通報手順を明文化し、現場に周知します。

② 即時エスカレーションと記録化

上長・本社・法務への即時共有と、事実経過の記録を徹底します。

③ 外部資源への連携を妨げない

警察・弁護士・産業医・外部相談窓口との連携を妨げない方針を明記し、メンタルヘルスを守ります。


安全配慮義務の要はメンタルヘルス保護

カスタマーハラスメント対策は安全配慮義務の中核です。現場を一人にしない運用、外部とつながる仕組み、暴力的要求を断る権限設計が、従業員のいのちと職場の信頼を守ります。

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