2025.12.11
「働いて働いて」が流行語大賞に──過労自殺遺族が懸念「こんな言葉が独り歩きしては過労死はなくならない」
【出典】時事通信(2025年12月11日配信)
「働いて働いて」の流行語大賞に懸念 「言葉が独り歩き」―過労自殺遺族
首相の「働いて働いて…」が年間大賞に、過労死遺族が会見
今年の「新語・流行語大賞」で、高市早苗首相の「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」という発言が年間大賞に選ばれました。
これを受けて過労自殺遺族らが11日、東京都内で記者会見を開き、「こんな言葉が独り歩きしては過労死はなくならない」と強い懸念を示しました。
「ワーク・ライフ・バランスを捨てる」発言への批判
高市首相は自民党総裁選での当選時、自民党議員に向けて「全員に馬車馬のように働いてもらう。私自身もワーク・ライフ・バランスという言葉を捨てる」と発言していました。
こうした発言は働き方を巡って賛否を呼び、表彰式では「国民に働き過ぎを推奨する意図はない」と釈明しています。
過労自殺遺族「家族にむち打つような行為」
医師の夫を過労自殺で亡くした中原のり子さんは、「流行語大賞受賞には耳を疑った。家族にむち打つような行為だ」と憤りを語りました。
また、「働いてワーク・ライフ・バランスを捨てるというのは社会的に最もふさわしくない言葉だ。影響力の大きい立場だからこそ、言葉を選んでほしい」と訴えました。
「言葉」が働き方を正当化してしまう危うさ
日本では今も長時間労働や過労死が社会問題として続いています。
その中で、政治トップの言葉が「働き続けることこそ善」という空気を後押しすれば、職場での過重労働やハラスメントを正当化する口実になりかねません。
「働いて働いて」というフレーズが、現場でどのように使われるかが問われています。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点──流行語を「働き方を見直すきっかけ」に変えられるか
KCPは、この出来事を「危険なメッセージ」だけで終わらせるのではなく、働き方を問い直す機会にできるかどうかが重要だと考えます。
本来、政治リーダーの役割は「働き過ぎを煽る」ことではなく、「安心して働き、休み、暮らせる社会をつくること」です。
そのために必要なのは、次の三点です。
① 言葉と政策を結びつける説明責任
トップのメッセージが長時間労働の容認ではないことを、具体的な政策(残業是正・休暇取得支援など)とセットで示すこと。
② 現場での「働き過ぎ是正」のガイドライン
企業・自治体は、流行語に流されず、労働時間管理やハラスメント防止のルールを明文化し、運用を徹底すること。
③ 遺族や当事者の声を政策形成に反映する仕組み
過労死遺族・現場の労働者の声を、審議会・パブリックコメントなどを通じて政策に反映していくこと。
働き方を変えるのは「スローガン」ではなく、言葉に伴う責任
言葉は人を励ますこともあれば、追い詰めることもあります。
「働いて働いて」というフレーズが、本当に必要なのは、私たちが「どこまで働き、どこから休むのか」を問い直すための材料にすることです。
KCPは、働く人とその家族の命と生活を守る視点から、政治・企業・現場が言葉と働き方のギャップを埋める取り組みを支援していきます。
