2025.10.24

退職代行サービスの実態──弁護士運営は3割、拡大する「グレーゾーン市場」

【出典】帝国データバンク(2025年10月24日配信)
主要な退職代行サービス、「弁護士」運営は3割どまり 「設立10年以内」が7割超


全国に52法人、うち3割が弁護士法人

帝国データバンクの調査によると、本人に代わって退職意思を会社に伝える退職代行サービスを展開する法人は、全国に少なくとも52社あることが分かりました。
このうち約6割が民間企業による運営で、弁護士法人による運営は3割強にとどまります。

退職代行の市場は、人手不足による転職増加や職場トラブル回避のニーズを背景に急拡大。
2018〜2021年に設立された企業が多く、75%が設立10年以内、約3分の1が5年以内の新興事業者という結果が出ました。
業界としてはまだ歴史が浅く、法制度や運用ルールが整っていない現状が浮き彫りになっています。


平均料金は2万9000円、弁護士運営は約2倍

調査によると、退職代行サービスの平均料金(正社員・税込)は2万9410円
弁護士法人によるサービスは約4万4700円、民間企業によるものは約2万2500円と、料金差は約2倍でした。

サービス内容も多様化しています。
単に退職意思を電話で伝える簡易サービスから、有給休暇の取得交渉や貸与品返却など、オプション付きの“コンシェルジュ型”まで幅広く存在します。
しかし、こうした業務の中には弁護士法が定める「非弁行為」に抵触するリスクもあり、法的な線引きが曖昧なまま事業が拡大してきた実情があります。


「モームリ」捜査で揺れる退職代行市場

10月22日には、業界大手の「モームリ」(運営:株式会社アルバトロス)が弁護士法違反(非弁行為)容疑で警視庁の強制捜査を受けました。
アルバトロス社は弁護士資格を持たないまま顧客を弁護士に紹介し、報酬を得た疑いが持たれています。

多くの民間運営会社は弁護士監修を掲げてはいるものの、実際の業務範囲が法的にグレーな領域にあることが課題です。
東京弁護士会などは以前から注意喚起を行っており、事業撤退を余儀なくされる事業者も出始めています。


雇用クリーンプランナー(KCP)の視点──「辞める自由」を守る制度へ

雇用クリーンプランナー(KCP)は、退職代行市場を「労働者の自由を支える仕組み」として再設計すべき段階に来ていると見ています。
利用者の多くは、退職を言い出せない環境やハラスメントへの恐怖からサービスを利用しています。
それだけに、この分野には「法の秩序」「倫理性」「専門性」の3要素が不可欠です。

KCPは、退職代行ビジネスを社会的に定着させるために、次の3つの方向性を提言します。

① 法的枠組みの明確化

「伝達」と「交渉」の線引きを法律上で定義し、非弁リスクを回避するガイドラインを整備すること。

② 弁護士・社労士・労組の連携強化

退職に関する相談を専門家が分業で支援できる体制を構築し、民間サービスとの共存を図る。

③ 事業者の登録・認証制度の導入

利用者が安心して選べるよう、法令順守と情報公開を条件にした公的認証制度を設けること。


「グレー」をなくすことが信頼を生む

退職代行サービスは、退職時のトラブルを減らす有効な手段です。
しかし、法の裏づけを持たないまま拡大すれば、利用者の権利が逆に損なわれる危険があります。

KCPは、「辞める自由」を守るために、法と倫理の両輪で信頼できる退職支援の仕組みを社会に定着させていきます。

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