2025.10.09

消防職員の自殺は「パワハラが原因」──熊本地裁が認定、菊池広域連合に約8370万円の損害賠償命令

【出典】熊本朝日放送(2025年10月8日配信)
24時間勤務明け“反省会”や叱責…パワハラ認め約8370万円支払い命じる 消防職員の自殺めぐる損害賠償訴訟

熊本地裁がパワハラと自殺の因果関係を認定

熊本県の菊池広域連合消防本部に勤務していた男性係長が2020年、自殺したのは職場でのパワーハラスメント(パワハラ)が原因だったとして、遺族が起こした損害賠償訴訟で、熊本地裁は10月8日、約8370万円の賠償を命じました。
判決は、24時間勤務明けの男性の自宅で行われた「反省会」や、業務中に頻繁に電話をかけて業務知識の“クイズ”を出し、答えられないと強く叱責するなどの行為が業務指導の範囲を逸脱し、強度の心理的負荷を与えた
と認定しました。

菊池広域連合は「司法の判断を受け止め、精査したうえで対応を検討する」とコメントしています。

パワハラ相談は全国で急増、精神障害の労災認定も最多

厚生労働省によると、「同僚の前での叱責」「長時間にわたる指導」「暴言・暴力」などの行為はパワハラに該当します。
全国の総合労働相談コーナーなどに寄せられるパワハラ相談件数は年々増加傾向にあり、2024年度は7万429件と、2年前より約2万5000件増加しました。また、同年度に精神障害で労災認定を受けた1055人のうち、最も多い原因は「上司などからのパワハラ」だったとされています。

専門家は「我慢や沈黙は事態を悪化させる」として、社内の相談窓口や上司への相談、または近隣の総合労働相談コーナーへの連絡を呼びかけています。

雇用クリーンプランナーの視点──“指導”と“パワハラ”の線引きを見直す時

雇用クリーンプランナー(KCP)の観点から見ると、この判決は「職場における指導とハラスメントの境界線」を再定義する契機です。
・業務指導の名を借りた人格否定や叱責は、心理的暴力と同義
・24時間勤務後の「反省会」など、勤務外の指導はリスクが高い
・組織は「働く人の心を守る教育」と「ハラスメント再発防止の仕組み」を整える必要がある

KCPは、パワハラ防止を“コンプライアンスの義務”ではなく、“職場の信頼を守る文化改革”と位置付けています。指導と尊重の両立が、健全な組織の基盤です。

まとめ──命を奪うパワハラ、組織の責任が問われる時代へ

熊本地裁の判決は、パワハラがいかに命に直結する深刻な行為であるかを改めて示しました。
過重な叱責や勤務外の「反省会」は、“熱意ある指導”ではなく“暴力的支配”です。
働く人の命と尊厳を守るため、企業・自治体が制度と文化の両面からハラスメント防止に本気で取り組むことが求められています。

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