2026.02.13

検事自死和解「解決金1億9400万円」が突きつけたもの。“修習生以下”叱責と長時間労働を制度で止めるか|一般社団法人クレア人財育英協会

【出典】【速報】広島地検検事の自殺めぐり遺族側が国に賠償求めた裁判で和解成立 1億9400万円の解決金 ハラスメント相談窓口を周知することなどを法務省が地検幹部に通知


広島地検の検事自死をめぐる訴訟、和解成立──解決金1億9400万円

2019年に広島地検で勤務していた当時29歳の男性検事が自殺した事案をめぐり、遺族が「長時間労働」と「上司からのパワーハラスメント」が原因だとして国に賠償を求めた裁判で、和解が成立したと報じられました。遺族側代理人が2026年2月13日に記者会見を開き、東京地裁で和解が成立したと明らかにしています。

和解の内容として、国側が上司らの対応について「配慮を欠いたものだった」と認め、解決金として1億9400万円を支払うことが示されています。さらに、再発防止策として法務省が全国の地検幹部に通知を出し、勤務時間の把握に努めることや、ハラスメントに関する外部相談窓口を周知することなどを求める枠組みが盛り込まれたとされています。


遺族の主張──長時間労働と「修習生以下」叱責が引き金になった

報道によると、遺族は、男性検事が長時間労働に置かれたことに加え、当時の上司から「(司法)修習生以下」などの侮辱的な叱責を受けたことが原因になったと訴えていました。検察の現場は、事件対応の緊迫性、期限、責任の重さから、個人の負荷が極端に増えやすい職場です。

その中で、人格を貶める言葉が、単なる指導として流通してしまうと、被害は見えにくくなります。「厳しさ」や「鍛える」という名目が、過重労働とパワハラを同時に温存させる構造があったのではないかという点が、今回の和解が突きつけている論点です。


和解条項の核心──「金銭」より「通知」が問われる

今回の和解のポイントは、解決金の大きさだけではありません。法務省が全国の地検幹部に対して、勤務時間の把握とハラスメント相談窓口の周知を求める通知を出すという点に、制度としての意味があります。

遺族側の父親は、「職場の環境が良くなり、二度と子どものような事案が起きないことを目指してやりとりをしてきた。この結果を前向きに受け止めている」と述べた一方で、「決して、検察庁の対応はお題目で終わってほしくない」と訴えています。ここに、再発防止の難しさが凝縮されています。

通知は出すだけでは変わりません。現場の運用が変わるか、相談が機能するか、勤務時間が実際に減るか。和解の価値は、次の一年で測られます。


広島地検のコメント──「職場環境の醸成に努める」

自死した男性検事が勤務していた広島地検は、「本件のような事案が二度と発生しないよう、職員が心身ともに健康で職務に精励できる職場環境の醸成に努める」とコメントしています。ここでも問われるのは、言葉の強さではなく、具体策と運用です。


雇用クリーンプランナー(KCP)の視点──再発防止の鍵は「時間」と「言葉」と「外部性」

検察のような権限組織では、上下関係が強く、成果や責任が個人に集中しやすい。そのため、過重労働とパワハラが同時に起きても、本人が声を上げにくい構造があります。今回の和解条項は、その構造に対して「勤務時間の把握」と「外部窓口の周知」という二点で切り込んでいます。

雇用クリーンプランナー(KCP)の視点では、実装の焦点は次の3点です。

第一に、勤務時間把握を「形式」ではなく「負荷の可視化」にすることです。記録するだけで終われば、過労は止まりません。案件数、夜間呼び出し、休日対応など、実負荷を見える化し、配分を変える仕組みが必要です。

第二に、叱責の言葉を「指導の文化」から切り離すことです。「修習生以下」のような人格を下げる表現は、指導ではなく攻撃です。言ってはいけない言葉の基準を明文化し、管理職研修と評価に連動させる必要があります。

第三に、外部相談窓口を「周知」だけで終わらせず「使える」状態にすることです。匿名性、報復防止、相談後の保護、初動の期限。これらが揃わなければ、職員は相談しません。権限組織ほど、外部性がない相談窓口は形骸化しやすいからです。


結語:再発防止は、和解金ではなく「現場の習慣」を変えたかで決まる

1億9400万円という解決金は大きな数字ですが、亡くなった命は戻りません。遺族が求めたのは、金銭よりも「二度と繰り返さない」仕組みだったはずです。和解条項に通知が含まれたのは、その意思の反映だと受け止めるべきでしょう。

勤務時間を減らす。侮辱的叱責を止める。相談が本当に機能する。これらは宣言ではなく運用です。一般社団法人クレア人財育英協会は、権限組織における過重労働とハラスメントを「文化」ではなく「制度と運用」で止める支援を続けていきます。

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