2026.02.06
岡山大学「深夜6時間電話」アカハラ停職処分。長時間連絡は指導ではなく支配、非常勤を守る運用設計へ|一般社団法人クレア人財育英協会
【出典】【岡山大学】女性教員(60代)を停職2か月の懲戒処分「最大6時間・深夜にわたる長時間の電話連絡」アカデミック・ハラスメントに認定
岡山大学が女性教員を停職2か月──非常勤講師への深夜・長時間電話をアカハラ認定
岡山大学は、60代の女性教員が非常勤講師に対し複数のアカデミック・ハラスメント(アカハラ)行為を行ったとして、停職2か月の懲戒処分にしたと公表しました。報道によると、問題となった行為は2024年4月から11月ごろにかけて発生し、深夜に及ぶ長時間の電話連絡が複数回あったとされています。
電話は1回あたり2時間から最大6時間に及び、内容は業務に関するものだったと大学は説明しています。非常勤講師から大学に相談があり、大学が調査した結果、就業規則違反としてアカハラと認定し、2025年12月25日付で停職2か月の処分を決定したとされています。
なぜ今公表したのか──「学生対応のため一時復帰」後に再び停職へ
今回の特徴は、処分決定から公表までのタイムラグです。女性教員は2025年12月25日付で停職処分となっていましたが、学生への対応が必要だったため、大学は一時的に女性教員を職務に当たらせていたと説明しています。
学生対応が終わり、2026年2月4日から3月下旬までの停職期間に再び入るタイミングで、大学は事案を公表したという流れです。大学側は「学生への影響を最小化する」という合理性を示していますが、同時に、ハラスメント事案における「透明性」と「被害者保護」のバランスが常に問われる領域でもあります。
深夜に2〜6時間の連絡は何を奪うのか──時間と境界線の侵害
今回の報道で最も重要なのは、「電話内容が業務に関するものだった」とされている点です。業務の相談や指示は必要な場合もあります。しかし、深夜に及ぶ長時間連絡が常態化すれば、それは業務指導ではなく、生活時間と心理的境界線を侵害する行為になり得ます。
特に非常勤講師は、雇用の安定性や評価関係の面で、常勤教員に対して断りにくい立場に置かれやすい。連絡を切り上げたい、深夜は対応できない、と言いづらい構造がある中で、2〜6時間の電話が複数回続くことは、「やりすぎ」では済まない負荷になります。
非常勤という立場が抱える「言いづらさ」──アカハラの温床
アカハラは、研究指導や教育指導の名のもとに、評価関係や契約関係の優位性を背景に起きやすいハラスメントです。非常勤講師は、ときに授業運営や担当継続が事実上“裁量”で左右されることがあり、教員からの要求に対して「拒否」が難しくなりがちです。
今回のように、相談が大学に持ち込まれ、調査・処分につながったことは、相談導線が機能した側面も示します。一方で、同様の負荷を受けても相談できずに沈黙している非常勤がいる可能性も否定できません。だからこそ、制度として「非常勤を守る運用」を組み込む必要があります。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点──大学が整えるべき「連絡のルール」と「相談の外部性」
大学におけるハラスメント対策は、処分の重さだけで決まりません。再発防止の実効性は、日常運用の設計で決まります。雇用クリーンプランナー(KCP)の視点から、今回の事案で特に重要なポイントは次の3つです。
第一に、業務連絡の時間帯と手段をルール化することです。深夜の電話連絡が複数回、しかも長時間という時点で、組織として「連絡の境界線」が曖昧だった可能性があります。緊急時の例外を残しつつ、連絡は原則メール、時間外は翌営業日に回す、電話は一定分数で切り上げるなど、運用ルールが必要です。
第二に、非常勤が安心して相談できる外部性を確保することです。学内の力関係の中では、相談自体がリスクに感じられます。匿名相談や学外相談窓口、報復防止の明文化、相談後の担当継続に不利益が生じない保証など、「言える構造」を整えることが不可欠です。
第三に、学生対応と処分の関係を透明化することです。今回、学生対応のために一時復帰させたという説明は理解できますが、ハラスメント再発防止の観点では、代替体制の整備や引き継ぎ設計こそが本筋です。学生の利益と被害者保護を両立するためにも、教員個人に戻すのではなく、組織で回せる仕組みが必要です。
結語:長時間連絡は「熱意」ではなくリスク、大学の信頼は運用で回復する
深夜に最大6時間の電話が複数回という事実は、熱意や指導の範囲を超え、境界線を侵す行為として扱われるべきです。アカハラは暴言だけではなく、「時間」と「生活」を奪う形でも起きます。
岡山大学が停職処分を行い公表したことは一つの区切りですが、信頼回復は再発防止の運用で決まります。一般社団法人クレア人財育英協会は、大学が非常勤を含む教育現場の働き方を守り、連絡のルールと相談の外部性を実装できるよう支援していきます。
